それではワインの感想などを書いて進めていきます。
もう一度リストを載せます。
1
キューリング・ギロー Kuhling-Gillot
(Rheinhessen) 京橋ワイン(輸入元)
"Qvinterra" trocken 2010 糖度:7.2 g/l 酸度:8.4g/l
2 キューリング・ギロー Kuhling-Gillot (Rheinhessen) 京橋ワイン "Qvinterra" feinherb 2010 糖度:14.5 g/l 酸度:8.3g/l
3
プリンツ Prinz
(Rheingau) 稲葉
"vom bunten Schiefer" feinherb 2010 残糖:10.9g/l 酸度:9.1g/l
4
ファン フォルクセン Van Volxem
(Saar/Mosel) ラシーヌ
"Schiefer" 2011 残糖:7.0g/l
5
カール エルベス Karl Erbes
(Mosel) 稲葉
Ürziger Würzgarten
feinherb 2011 残糖:21.0g/l 酸度:7.2g/l
6
アダム A.J.Adam
(Mosel) ラシーヌ
Dhroner Hofberg
feinherb 2011
7 ヘイマン・ルーヴェンシュタイン Heymann-Löwenstein (Mosel) ザ・ヴァイン Winninger Uhlen "Laubach" 2007
8
エムリッヒ・シェーンレバー Emrich-Schönleber
(Nahe) 稲葉
Monzinger Frühlingsplätzchen
Kabinett 2005

すみません6番のアダムのボトルが見当たらなかったのでこの画像には抜けています。
そして 前の記事
で書いたように8つのポイントを軸に進めていったのですが、1から5のワインのポイントになるところをあげておきます。
トロッケンとの違いは?
産地ごとに違いはあるのか?
ファインヘルプの味わい(甘み)の幅の広さ
この三点を軸に気にしてもらいながら飲み進めていきました。醸造所の説明なども少ししたりましたがそういう部分は省いて書いていきます。
まずは同じ醸造所のトロッケンとファインヘルプ(1と2)の飲み比べをしてどう違うのかを感じてもらいました。
風味は同じでファインヘルプのほうはふくよかなフルーティーさがあるという違いがあってとてもわかりやすい例でした。甘いのではなく果実みという部分でトロッケンと味わいが異なるというのがわかりやすかったと思います。酸度が同じような数値なのも比較としてわかりやすかったと思います。
ギローの輸入元の情報によるとトロッケンのほうは赤色粘板岩の複数の畑からで、ファインへルプのほうは石灰質土壌の畑のブドウも混ざっているとのことです。
トロッケンより華やかな香りがするのは残糖を残して途中で発酵が止まっているからというだけではなくそういう土壌の要素も影響があるのかもしれません。ただ単に同じ質の果汁で残糖分が違うというのではなくトロッケン、ファインヘルプとニーズ(その味わいに必要要素)に合せて葡ぶどうを選んで醸造をしているという事をうかがい知る事ができます。
3のプリンツは感覚としての甘みは1と2の中間で、残糖の数値的にもそうだったのは良い例になったと思います。
2のようなフルーティーはあまりなく辛めという感覚がありました。トロッケンに近くてしっかりと骨格のある味わいでした。といってもトロッケンぽいかといわれるとそうでもないのが面白いのです。
ファインヘルプではザールも入れておきたいと思い、後述しますがフォルクセンはファインヘルプを語るときに重要な造り手なので、本当はたくさんのザールのワインをいれたかったのですが(僕の好きなペーターラウアーとか。日本で現在は入手できませんが)、一種類しか無理だったのでファン・フォルクセンを選びました。
ラシーヌでは現在はフォルクセンはこのワインしか在庫がなかったのでフォルクセンの中では一番値段の安いこれになったのですが(3月に何種類か入るそうです)、残糖が7g/lということで興味深い題材となりました。フォルクセンはトロッケン、ファインヘルプなどラベルに記載していないのでそういう区別をつけていないのでトロッケン内の数値であってもトロッケンとはしていないのです(そういうこだわり、考えについてはその3であらためて述べます)。この醸造所ではもしかしたらファインヘルプという言い方を使っていないかもしれませんが分類する場合にはファインヘルプという自由度のあるくくりの言葉があてはまります。
1のトロッケンと4は残糖値がほとんど一緒です。でもこちらのほうがふくよかな味わいでファインヘルプというくくりでもなんら問題はないと思いました。ヘクタールあたりの収量をかなり減らしてワイン造りをしているフォルクセンだからこそ残糖が少なくてもこういう味わいになるのだと思いますが。
5のエルベスは今までのより甘く感じると思ったのでこの位置に持っていきました。
しかし実際にはそんなに甘みを感じませんでした。それまでのより少しは甘みはありましたが数値ほどの差は感じませんでした。2009年のはもっと甘さを感じたやわらかい味わいだったのですが。
これは残糖値だけでは感覚での甘みの基準にはならないということなのですが、予想外にこのワインがその良い題材となってくれました。
酸やミネラル分、糖度の高いブドウ果汁からの果実み(実際の糖分ではなく)などさまざまな要素がある中での甘みなので数値よりももっと甘く感じたり辛く感じたりするのです。このワインは酸は高くないのですが、ミネラル感、複雑みがあるので(ヴィンテージ、土壌両方の要素が関係しているかと)そんなに甘くは感じなかったのです。
ファインヘルプはハルプトロッケンのように数値での規定がないので、上に書いたように感覚上ではハルプトロッケンの味わいをハルプトロッケンの規定を超えていても同じような味わいにすることができるのです。ファインヘルプは、規定にとらわれない幅広い味わいにすることができるといえるのと同様に、規定にとらわれず毎年その造り手がイメージする同じような味わいにすることができる、ともいえるのです。
ポイントに挙げている、トロッケンとの違い、味わいの幅の広さ、ということについてはある程度ここまででもふれました。
産地の違いということについても少し書きます。この話はセミナーではしなかったのですが。
僕はある程度地域ごとの味わいのイメージというのができているのですが、今回飲んたワインについてはあまり当てはまらかったです。価格帯の低いグーツワインには地域の個性は出るかと思っていたのですが必ずしもそうではないということです。
当然のことではありますが土壌の要素というのは味わいの個性に大きな影響を与えるのですが、今回のは全てシーファー(粘板岩)の土壌だったということが地域のイメージとは異なるということにつながったのだと思います。良い造り手は土壌、ぶどうの個性を活かした造りをしているということです。ちょっと抽象的でわかりにくくてすみません。
ここまでは低価格帯のファインヘルプの話をしてきました。
ファインヘルプは他の国にはない味わいだし飲みやすいのでこういうタイプがドイツワインをあまり飲んだことのない日本人には受け入れられやすいのかなーと考えています。特にワイン愛好家というまでではなくワインを飲む人たちにです。甘みといっても酸があることが重要ということも知らない方のために付け加えておきます。そして甘い、ではなく「甘み」です。ここで挙げたワインはトロッケンよりは「甘み」はあるけれど甘くはないのです。
心地よい甘みは日常にとけこみやすいでしょうし、軽い甘みは日本人の白いご飯のあるふつうの食卓の食事にあわせやすいと思っています。和食に限らず日本人の味付けの日常に並ぶ料理ということです。
このセミナーの記事の最後にはワインのリンクも貼ろうと思っていますので興味を持った方は試しに飲んでいただけたら幸いです。
次回はまた違うベクトルのファインヘルプの話です。
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