はぃ、ど~もAries です。
第2回は俺のTOP3に入る作家、森博嗣さんが作品「スカイ・クロラ」の3作目「ダウン・ツ・ヘヴン」までを。
主人公のカンナミやクサナギは空の中でしか「生きて」いられない。地上を穢れた汚い場所として嫌い、死ぬ時も「ソラ」の中でという気持ちが強く描かれている。
彼らキルドレは燃料補給の際など、否が応でも地上に降り立たなければならない。
彼らが本来の姿でいられない場所へだ。彼らは空の中では孤独ではない。
誰にもそのような場所が無いだろうか?
例えば、俺で言えば高校があてはまると言えるかもしれない。
どんなに時が過ぎても、高校から知り合った彼らとの間にある隙間は埋まらない。
笑っていても笑っていない。
俺の笑顔は、彼らの被る仮面の上で踊っているだけ。
かといって、家の中にエデンがある訳ではなく、どこか常に浮いている。
だから、本がある。俺は夜のベランダで心に膝枕をしてやる。
自分のなかで唯一自分を飾る、造る必要がない場所。
そこで出会ったキルドレたちには何処か仲間意識が生まれてしまう。
空を飛んでいるときだけ笑えるクサナギ
本を読んでいるときだけ涙を流せる俺
そこは誰にも犯される事の無い、俺だけのエデン。
このシリーズに共通して注目すべきは、何よりもあの戦闘シーンだろう。
絶え間なく記される無数のカタカナ文字に、飛行機に疎い方は一見混乱してしまうと思われる。
だが、あの軽快なテンポに乗って読み進めれば、表紙に描かれているような青空と、そこで踊る彼らがイメージできるはず。
ちなみに、飛行機について多少知識のあった俺には、頭の中で見事な戦闘機のダンスが映像になって浮かび、かなり良い感じでした~♪
戦闘中出てくる用語は知らべて見るといいですね。
今まで森ミステリーとは一味違う今回のシリーズ。
人間の孤独、大人、子供、生、死。
このシリーズは森さんらしさが滲み出た、ある意味本当の「森作品」と呼べるかと思います。
このシリーズはまだ終わってません。続きが出て、それを読み次第載せていきたいと思います。
お気に入りの一文
「なぜかその孤独は、私を骨のずいまで暖めるのです。」
さて、知っている人には怒られるかな?(笑
実はこれは2作目「ナ・バ・テア」の解説での、よしもとばななさんの一言です。
作品内の言葉では確かに違いますが、しかしこの一言はこのシリーズの作品を読み終えたときの気持ちを素直に表現してくれていました。正直、この一言にはしびれます。やはり、作家と言うのは自分の気持ちを忠実に表現できるすごいものだと再認識。
是非、この作品で皆様にも温まってほしいものです。
『ナイフ』 May 27, 2007