温故知新

2004.07.15
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障碍者だからといって甘えてはいけない。


電話が鳴ったので出ると、聞き覚えのある声だった。
相手が名前を名乗るか名乗らないかのうちに、私は謝った。
その声は、駐車場を借りている不動産屋の奥さんの声だった。

一瞬のうちに、今月分の支払いを滞らせていること、
すでに今月も中旬であることに思い当たったのだ。

早速、娘を連れて、ATMでまとまったお金を下ろし、
不動産屋へ向かった。

そこには奥さんと、旦那さん、あと知らない誰かがおり、旦那さんの方と話していた。

奥さんは私を見ると笑顔で近寄ってきた。

娘が生まれる前からの付き合いで、1ヶ月に1回会う割には、話すことに抵抗のない人だった。
隠しようがないこともあり、娘の障碍のことも話しており、
入院や手術のことも、前もって駐車場代を支払う際に軽く伝えていた。
それは間違いなく、私の人間としての徳ではなくて、商売人としての相手の才能が優れているのだろう。

よろしければ来月分も払いたい、旨を伝え、遅れたことを謝った。
すると、
「お子さんのことで色々と大変でしょう。仕方ないわよ~。」
と笑ってくれた。
私はすぐに、

と、再び頭を下げた。

そうして、少し雑談をして、二ヶ月分支払ってきたのだが、
その帰り道、ふと、気がついた。

あの場面。
もし奥さんが言ってくださったことに対して、私が、

と答えたら、それが障碍児の親としての甘えになったのではないか。

誰だって忙しい。
その奥さんだって、私のせいで電話を1本かけるハメになり、来月分の処理もしなければならなくなり、
迷惑をかけられ、忙しさを増やされているわけだ。

いくら病院や療育が忙しいといったって、入院しているわけでもなく、また、夫もいる。
最悪、電話連絡することだって出来るはずだ。

そこを、障碍児のせいにしてしまえば、
障碍児という絶対的な水戸黄門の印籠を見せられた感じで発言を封じられてしまい、
なんだかおかしい、と思うモヤモヤ感だけが残ってしまう人もいるかもしれない。

あまり考えて発言したわけではなかったが、きっと良い発言だったのだろう、と、思った。
と、同時に、あまり考えてこなかった分、
障碍児免罪符をつきつけられ、憤懣やるかたない気持ちを抑えていた人もいるかもしれない、
と、思ったら、こわくなった。





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Last updated  2004.07.15 08:51:42
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