その 5



私達は良い家族に生まれ育ったと思っています。 父は良き父、
母は良き母でした。

毎年、夏休みとなれば、海、キャンプ、山登り、と家族全員で
旅行に行き、冬休み、春休みはスキーに行きました。 私には
それが当たり前の家族でしたが、今思えばかなり恵まれた家族
だったと思えます。

父は一生一つの会社にサラリーマンとして勤めました。 母は専業
主婦です。 一時期母がヤクルトおばさんをやりましたが、家計の
大きな助けになるようなことではなかったと思います。

父だけの収入で、子供3人を私立の大学に行かせたんだから、私達
は本当に感謝しなければなりません。

私達にとっては良い両親でしたが、夫婦としてはどうだったのでしょう?


母は昭和14年生まれ(父と同じ歳)、5人兄弟の長女として育ち
ました。 妹二人、その下に弟二人がいます。 母の父親(私から
みればおじいちゃん)は、早くに亡くなり私はおじいちゃんに
会ったことはありません。 この家族を支えたのが、母の母親(私
からみればおばあちゃん)です。 この家族はお金がなくて、そうとう
苦労したそうです。 不思議なことは、そうは言っても、みんな結構
明るい性格だというところです。 それは、亡くなったおじいちゃんが
そういう明るい人だったところによるそうです。 でも、このおじい
ちゃん、悪いところもあって、結構の酒飲みだったそうです。

おばあちゃんはまじめーな人です、それを受け私の母も真面目な人です。
それが理由かわかりませんが、男の人にはもてなかったようです。
私の父と知り合ったきっかけというのは、結婚相談所です。
当時、公的の結婚相談所というのがって、二人はそこで出会いました。
母の結婚の条件というのが、酒を飲まない人、サラリーマンだった
そうです。 父はその条件にぴったりの人です。

何回かのデートの時母は、“この人はなんて口数の少ない人だろう”
と思ったと言います。 このひらめきが、30年後にこんな大きな
歪みとなって消えないで残っていようとは母には知る由もありません。

それでも、晴れて結婚 ! 二人は20代最後同士、当時としては
かなり遅めの結婚でした。

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