その１３

この叔母だと思います。

母は弟への対し方が下手です。というか、弟のひきこもりへの
対し方が下手と言ったほうが良いかもしれません。なにをどうして
よいかわからないのでしょう。自分と夫の仲が上手く行っていない
今、弟の存在は家の中で、夫とのクッション的な存在で丁度良いと
思っているようです、母はそうは思っていないかもしれませんが、
私にはそう見えるのです。

父は全く何もいいません。心の中では、一人前になって欲しいと
思っているに違いないのですが、心配しているのか、諦めているのか
元気づける事もしなければ、端からみれば、“ほっといてる” と
見えます。

父は、弟の性格から、特効薬は、何もいわず、そっとしておいてあげ
れば、そのうち良くなるはずだ、と思っているようです。

それが、数ヶ月ならまだしも、弟のひきこもりも初期から数えると、
もう５ー６年のことになってしまっています。そっとしておいて
あげるのが、やさしさなのでしょうか？それが一番良い特効薬なので
しょうか？

一度は自殺を考えた弟のひきこもりです。家族は何もしなくて良い
のでしょうか？以前書いた、私のいとこの自殺。父は、いとこの
父親に対して、ものすごい怒りで、“お前の教育方針が彼を
自殺に追いやったんだ！” とでも言うような態度でした。このいとこ
の父親（私からみれば母方の叔父）を怒れるほど、私の父は、弟
に対して立派な父親なのでしょうか？弟は、自殺さえしなかったもの
の、自殺を考えた人間です。そんな息子を持つ私の父は、いとこの
父とさほど変らないのではないか？と私は冷静に見てしまいます。

今思うと、このいとこの自殺で、その当時いとこの家族は彼に対して
どう接していたのでしょう？まったくそんな気があるか知らなかっ
たか、“最近、変？”と思い当たることはなかったか、いとこに
相談する相手はいなかったのか？などなど、いとこの死から学ぶ
ことはあるはずです。

弟の本格的なひきこもりは、父と母の仲が悪くなっていった時期と
重なると書きました。それが直接の原因でなくても、弟を良い方向へ
向わせる要素にはなっていません。弟は非常に繊細な心の持ち主です。
私と一番下の弟はどちらかというと、図太い神経で、繊細さに欠けます。
弟は、父と母の関係をまともに受けてしまっています。自分が仕事を
見つければ両親の仲は良くなる、自分が立ち直れば両親の仲は良くなる、
と同時に自分が家に残っていないと両親の仲が心配。弟はきっとこんな
風に思っているはずです。でも部屋からでるのが怖いと、、、

弟は今、両親と同居で、両親の年金に頼って暮らしていることになり
ます。

弟は、ひきこもりやうつ病用の薬は一切飲んでいません。薬を飲むのは
嫌がっているようです。血の病気をした時飲んだ薬の副作用にいまだ
に悩まされているからだと思います。

話は前後しますが、ひきこもり初期に、カウンセラーを利用した事が
ありました。私はアメリカの感覚で、心の病気は心理学や精神学の
エキスパートに話を聞いてもらうのが第一歩と考えていたからです。

その時はたしか市が経営するような場所からのカウンセラーの先生と
話をしたようです。結局良い結果は生まれなかったのですが、私が
その先生を良くないと思った理由は、弟はこれからどうしたいか？
という質問に、学校へ行って何かの技術を習いたい、と答えたそう
です。先生は、“もう大学も卒業しているんだから、そんな人生の
選択はおかしい” というような返事をしたそうです。私は心理学
も精神学も全くの素人ですが、挫折しかけている人間の“良い方へ
向いたい” という希望をへし折るような回答しかできない
カウンセラーってカウンセラーの資格ないと思うのです。

よって弟はカウンセラーと話をすることにも意味がないと思っている
ようです。

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