棟に積み上げられている此の瓦は熨斗瓦といいます。焼成時に反ったり剥れたりしてクセがありますので解体時に選別するのですが・・・
降り棟を解体してみて殆どが写真の様な両端下がりのかなり剥れている熨斗瓦でした。通常は両端上がりの反り熨斗瓦(天神熨斗)と半々位には使われているものですが珍しい事例です。寺社の棟は反らせますので天神熨斗が適しているのですが今回は現存瓦を再利用する原状回復工事ですのでこのまま使用します
解体風景。粘土は風化して顆粒状態・瓦礫状態です
鬼瓦の脱落の原因はこの部分。鬼瓦の支持銅線の固定部は細い銅釘一本で薄い野地板に打ちこんであるだけでした。降り棟の通りには垂木がありませんので釘での一本留めは通常はいたしません。
24ミリ厚の貫木を垂木に渡してビス止めし、貫木からステンレス線を出して鬼瓦を固定します。社殿は全て鬼台がありませんので 従来通りに熨斗瓦二段積み漆喰仕様で対応します。
利根丸も仮外しして結束用ステンレス線を出して白南蛮仕様で取り付け直します
平瓦は施工対象外ですが降り棟下だけはズレを直しながら南蛮葺きで調子をとっておきます。降り棟の途中にステンレス線を結び付けた雪止め金具を入れて降り棟と絡め、下方向のズレを中間でも防止します
棟を反らす為の「削ぎ熨斗」と反りを若干緩くする為の半端熨斗を自作して結束しながら棟を積み始めます。三段目は天辺の丸瓦まで届く長いステンレス線で結束します
隅棟も仮外し解体し白南蛮で結束しながら積み直します
上記の様な工事を拝殿の表裏(降り棟+利根丸+隅棟)×4セット いたしました。
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