「結論」
ヤミ金業者が,貸金業を否定するのは極めて困難である。
ヤミ金業者に対しては,重い刑罰が規定される無登録業を武器に,
積極的な告訴をすべき。
「理由」
貸金業法は,
「貸金業」を,次のとおり定義しています。
「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。」(貸金業法2条1項本文)
この
貸金業を行うものは,貸金業登録をしている登録貸金業者とは概念が異なり,貸金業法は、登録貸金業者を,
「貸金業者」と定義しています(貸金業法2条2項)。
さて,ヤミ金には,
無登録業者と登録業者の二通りがある
ことは既に書いたことがあります。
前者は,当初から貸金業の規制から免れるためのもので,
貸金業法上,最も重い刑罰が規定されています(10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金)(貸金業法47条2号,同法11条1項)。
同法47条2号は,
次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2.第11条第1項の規定に違反した者
と規定され,
同法11条1項は,
第3条第1項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。
とされています。
つまり,
構成要件的には,単純で,
1 貸金業登録を受けていないこと
2 貸金業を営んでいること
となります。
1は,登録業者か否かは,容易に判明することです。
登録期間も分かります。
2ですが,
結局, 「業として行うもの」のみが大きな争いとなるということになります。
業として行うというのは,
不特定又は多数の者に対して,反復継続すること
(反復継続する意思があれば足り,実際に反復継続していたことを必要とするものではない)
です。
ヤミ金で問題となる,高金利規制や取立規制によるものとして,刑罰規定を適用しようとしても,実は,極めて難しいものです。ヤミ金自体が,書類を残さず(あえてです),領収書もなく,契約書もなく,
しかも扱うのは現金ということで, 高金利か否か,すぐには判別できない,
取立規制にしても,権利の範囲内による合法的な取立は許されるのだから,それとの境目の問題,更に,現場を押さえなければ何ら物的証拠が残りにくい
という問題点があります。
しかし,無登録営業は,違います。
そもそも,貸金というのは,貸しては返すということが,同一債務者において繰り返されるのが普通です。
とすれば,顧客が,不特定又は多数
であれば,
ヤミ金業者が,
業ではないとして免れることは,ほとんどできないことになるはずです。
困難な高金利規制や取立規制を考慮することなく,
しかも最も重い刑罰の一つを理由に,
告訴・告発ができる
ということになります。
この意味は非常に大きいと考えます。
無登録営業の指摘は,
ヤミ金に対する大きな武器となると考えます。
「もっと詳細に!」
まずは結論的な短い文を前に,
もっと詳細なことの情報開示のための文章を,それより後に書くようにして,これからは,分けて書きたいと思います。
前半部分だけをみれば,足りるときは,それでいいとできるような工夫です
「結論」を先に書き,「理由」を後に書いたのも,この理由です。(また,かえるかもしれませんが・・・)
(今まで書いてきたのは,取り敢えず,できるだけ
というところでやろうと思います)
「業として行う」の「もっと詳細」
例えば,宅建業法で規制されるものも,「業として行う」ものが,宅建業とされますが,
Webサイトでは,このように書いてあります。
愛知県宅地建物取引業協会 不動産開業マニュアル(http://www.aichi-takken.or.jp/kaigyo/manual/m31.html)
不特定多数の人を相手とし、宅地や建物に関して「売買」「交換」「媒介」を反復又は継続して行うものを言います。これらの取引を宅地建物取引業(宅建業)と呼び、いわゆる「不動産業」を指しているわけです。
北陸地方整備局建政部 Webサイトでは,
(http://www.hrr.mlit.go.jp/kensei/sangyo/fudousan/license.html)
■宅地建物取引業の免許制度について■
宅地建物取引業法(昭和27年6月10日法律第176号)
業として行うものとは、営利を目的として不特定多数の者に対して継続的又は反復的に行うもので社会通念上事業の遂行と見られる程度のものをいいます。
と書かれています。
面白いことに,後者は,行政解釈といえるものですが,営利目的は,通常,業としてとは関係がなく,必要ならば,法文上「営利の目的をもって」と別に書かれるのが普通です。
そのため,
「業として行う」には,
「営利の目的」
は必要がない(関係がない)
と考えられます。
恐らく,後者は,解釈としては,誤りで,前者が正しいと考えられます。
実際,「業として行う」というのは,一回限りでも,認定される可能性がある,かなり広い概念で,その広範囲性と貸金業法の改正により,
例えば,貸金業法2条1項ただし書きの除外事由に該当しない行為について,かなり影響を与えています。
例えば,グループ内の企業内貸付も,貸金業に該当しますし,
下記のWebサイトでは,公益法人から,一般財団法人に移行した場合,貸金業登録が必要となることを書いています
(除外事由は,かなり狭いと考えて頂くのが,簡単な説明としては妥当です。)
財団法人 愛媛県教職員互助会
第1回組織検討会について
(http://www.himego.join-us.jp/ikou/kentou.html)
貸金業法の適用・保険業法の適用
例えば、貸付事業は、公益法人であったときは、会員の福利厚生事業の一環として取扱いされていましたが、一般財団法人へ移行した場合、条文どおりの解釈で、貸金業法が適用されることになります。貸金業法には、登録受けて「貸金業者」として貸付を行わなければならないと定義されています。
従来,無登録営業は,出資法上の高金利規制と比較して,それと同程度の規制でしたが,
現在の法の対応は,明らかに,無登録営業を重くみています。
無登録で貸金業を営むことについて厳しく規制することで,貸金業の規制を免れることを予防したとみてよいでしょう。
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