シェラに着くまでの、長く疲れた1日

【旅の手配】 タパチュラ 国境でやられたっ! エル・サルコ やっと着いたシェラ

そうと決まったらまず航空券。
成田からLAまでの一番安い航空券を買い、LAからは貯めていた航空会社のマイレージを使い無料航空券を貰った。
メキシコ国内なら、どこまで飛んでも必要マイル数は一緒だと言うので、一番シェラ寄りのグアテマラとの国境の街・タパチュラ行きの航空券をもらった。

タパチュラに泊まるなんて人は少ないと思う。
普通陸路の旅人なら素通りか、もし泊まるんであってもタパチュラはグアテマラ国境付近の街なので、物価の安いグアテマラ側に泊まるだろう。

だからか、その時私が持ってたガイドブックに街の情報は載って無いし、ネットで調べても殆ど情報が無い。
ただ、危ない街だと。
タパチュラには深夜に着くから、初日の宿は予約した。
ネットで見つけられた、タパチュラで唯一のホームページがあるホテルだった。


【タパチュラ】

実際にタパチュラに着く。
深夜なのに空気がむわ~っとして蒸し暑い所だった。
田舎な空港なのでバスは無い。
けど乗合タクシーがあり、それも人がいなくなったら終わりだけど、現地通貨をおろしたりしてもたもたしてた私も最終のタクシーに間に合った。
ほんと危なかった。

無事に宿に着き、チェックイン。
1泊2千円。その辺りの物価&他の宿と比べて、今思えば高かった。
この旅の最高級ホテル。


次の朝、チェックアウトをして、まず観光案内所を目指す。
帰国便もタパチュラ発で、飛行機の時間的に発つ前日にタパチュラに1泊した方が良さそうだったので、観光案内所で安宿をチェックしておこうと思って。

タパチュラは本当に蒸し暑い。
昼間ならなおさら。サウナ。少し歩いただけで汗が流れ出る。
バックパックを担いで歩き周るのが辛い。

でも観光案内所を探すのに、1時間くらいかかった。
宿から歩いて5分の所だったのに。
わたしのスペイン語がおかしかったのか、宿の人に観光案内所は何処?と聞いているつもりなのに旅行会社を教えられた。
違う。
他の人に聞いても旅行会社を教えられたり、適当な事を言われたりで。

そう、ラテンの人は親切心からか、知らない事でもご親切に教えてくれる。
当時はそれを知らなかった。


街を歩いていて、ライフルを持った警備の人が銀行の前などのいたる所にいる。
その光景から、ここは本当に治安が良くないんだ、と思う。
その銃を持った警備員がいるうちは良い。
だけど夜は彼らは居なくなり、警察のパトロールは見なかった。


そしてようやく観光案内所に到着。
安宿街をチェックして、グアテマラへはどのバスに乗ったら良いかを聞く。
するとグアテマラ行きのバスチケットを売ってる所を教えてくれて、そこに行き、発覚した。

観光案内所で『グアテマラ行き』と言ってたら、観光案内所の人はグアテマラの首都である『グアテマラ“シティ”行き』と思ったらしい。
そこは目的地のシェラを通り越してだいぶ先の方。
教えてくれたのは私が望んでた国境行きのローカルバスとは違って、長距離バスチケットを売っている旅行会社だった。

その旅行会社に着いた時も、最初は「グアテマラに行きたい」と言っていたので、旅行会社の人も“グアテマラシティ”に行くもんだと思ってた。
そうとは知らずに初めてのメキシコだったので、チケットの値段を見て結構物価が高いんだなぁ、と思いながら。

で、世間話で「国境を越えた後はケツァールテナンゴに行く。」と言うと、旅行会社の人は「え゛!?」みたいな感じで、焦ってバス会社に電話をかけた。
ケツァールテナンゴへはこのバスからどう行くんだ?と訊いていたんだろう。
私はやっと違うと気付いたけど、国境を越えてケツァールテナンゴの方に行くと言うし、あまりの暑さから、もう良いや、とゆう気になり、そのバスチケットをシェラの近くだと言うエル・サルコとゆう所まで買った。


バスの時間まで数時間ある。
バックパックを担いだまま街をうろうろする。
名前だけは日本人な日系人だと言う現地人が話し掛けてきて暫く話したり、ネット屋へ行ったり、公園でたばこ吸ったり、市場でご飯を食べたり。

ちなみにそのタパチュラで食べたタコスはどの店も今までで一番シンプルながらも、めちゃくちゃ美味しかった。
ワカモレも無く、タコスに肉を乗せただけ、だったかな。焼いたセボージャが付け合せのように皿によそられる。
でも、マジで美味かった。
行ったなら、ぜひお試しあれ。


そしてバスの発着所にもなっている、そこからだいぶ離れたバス会社に行く。
暑い中、本当に一生懸命歩いた。
途中にローカルバスのターミナルがあり、ほんとならここから国境行きのバスに乗るハズだったんだろうな~なんて思いながら、もう買ってしまったチケットを持ち、ひたすら歩く。

やっと辿り着いたバス会社で、「バスはケツァールテナンゴまでは行かないからエルサルコとゆう所から違うバスに乗れ」と言われ、なんだかよく解らんけど、とりあえず言われた通りにバスに乗った。

バスに乗ると直ぐに映画が始まり、可愛い乗務員のお姉さんが美味しくないハンバーガーや合成着色料バンバン入ってそうな飲み物を出してくれる。
バスはガラガラ。
隣の席も周りの席も空いてたから、他の乗客とは話さなかった。


【やられたっ!】

そして国境。
乗務員のお姉さんに、「バスを降りて国境で出入国手続きをして。そのまま真っ直ぐ行った所でバスは待っているから戻ってきてね。」と言われ、バスを降りて歩き出す。
と、早速やられた。

しばらく歩くと野良両替のおっさん達が寄って来た。
「グアテマラ入国料に必要だから」と言われ、実際の入国料よりかなり多くグアテマラの通貨・ケツァールを買った。
実際のレートよりは多少は高いだろうとは思っていたけど、かなり高かった。
ふと振り返るとバスのお姉さんがこちらへ歩いてくるのが見えた。
それを見たおっさん達は素早く散っていった。
その時点でやっと、やられた事に気付く。
$20くらい損をした。

私はかなり疲れてた。
タパチュラで暑い中バックパックを担いでずっと歩き回って、スペイン語がよくわからん私には、宿の人や観光案内所や街の人、バスのお姉さんと話す事さえも、いっぱいいっぱいだった。

普通ならレートとかを調べた上で両替をする。
でもずっと気を張ってたから、かなり疲れが出てたんだろう。
やってしまった。

それは自分の中で凄くショックだった。
スペイン語で文句もろくに言えない自分が凄く悔しかった。
凄く悲しくなった。


【エル・サルコ】

そして国境の手続きを終えてちゃんとバスに戻れ、バスはまた走り出す。
暫く走り、お姉さんに「エルサルコに着いたよ、ここからケツァールテナンゴへは違うバスに乗って。」と言われ、バスを降りる。
街のバスターミナルかと思いきや、イメージしてた所とは大分かけはなれてる。

実際降りた所は何も無い山の中に道だけがある。もう夕方で暗くなり始めてた。
異国の寂しい山の中で一人ぽつんと。
かなり泣きそうになる。
そして何処へ向かうのか、とぼとぼ歩く。

もうすっかり暗くなった山道。
せめてアスファルトの道なだけマシだと思いながら歩いていると、派手なペイントをしたバスが近づいてきた。
バスから「シェラ~!」と呼びかけられる。
そして通り過ぎていく。

私にはやっと見つけた光のように見えて、「シェーラ―――!!」とありったけの声を出して叫びながらバスに向かって走った。
涙目で。
するとバスは数十メートル先で停まってくれた。

バスに乗り、「シェラに行きたい」と告げる。
そして運転手は「シェラ行きだよ。」と、バックパックを自分の足元に置いてくれ、奥の席に私を座らせる。

アメリカのスクールバスのお下がりでボロボロのバス。
そして運転席あたりの操縦の器材は、これで良いのかってくらいシンプルで、いわばスカスカ。
そのわりには上の方にピラピラした運動会みたいな飾りを付けて、ラテンの音楽がガンガンに流れてて、お客でぎゅうぎゅうのバス。
これをチキンバスと言う。

グアテマラで会った旅人はみんな、このチキンバスは乗り心地が悪くて嫌いとか、酔うとか、シートがボロボロなうえ狭くていつもぎゅうぎゅうに混んでて最悪だと言い、好きだと言う人には会った事がない。
けど、私は好き。
あんな途方に暮れて泣きそうだった私を拾ってくれた、このシェラ行きの楽しそうなチキンバス、どれほど嬉しかったか、どれほど安心したか。


チキンバスチキンバスってこんなの。


バスで隣に座ってたのは小学生の女の子。
マニアックなルートで来たから、外国人の私が凄く珍しいらしい。
そう、その後会う旅人やグアテマラに住む日本人に「エルサルコ経由で来た。」と言っても、誰もが「どこ?それ?」と言う、超――マニアックルートで来た。

隣の女の子が、もの凄く恥ずかしそうに私に話しかける。興味深々に。
「どこから来たの?」「日本から。」「それはどこ?」「中国は知ってる?」「うん。」「中国の近くだよ。」
子供は本当に外国人が珍しいらしく、私が一言言う度に、前の席に座ってる友達に照れながら「日本だって、ふふっ。知ってる?」その友達も照れたような笑顔で「知らない、どこ?」って。
私も凄く新鮮だったけど、彼女達も凄く新鮮だったらしい。

「両親は何処に住んでるの?」解らなくて、「?」「パパとママは何処に住んでるの?」と聞かれ、早速勉強になった。
勉強したのはお父さんは“パドレ”。 “パパ”はジャガイモも事だった。
この土地でもお父さんの事は“パパ”と言うんだ、と。
その他にも子供と話してた1時間位、とても勉強になった。

子供達は遅い時間なのに学校帰りだそう。
とても田舎なので、いつもバスで通学してると言う。
そして2人とも、山の中にポツンとある民家の前で降りて行った。


【シェラに着いたが】

そしてとうとうシェラに着く。
でもシェラだと言われた所は建物の間で、現在地が全然わからん。
だから、旧市街の公園に行きたいと言った。
公園からならガイドブックの地図があるから解る。
したら、運転手はちょっと困った顔をしながら、公園まで行ってくれて降ろしてくれた。
きっとルートに無い所までわざわざ行ってくれたんだろう。

でも、そこは“新市街”の公園だった。
新市街の公園にも旧市街の公園にも、似たような円形の建物がある。
だから、最初は全然気付かなかった。

私はやっと目的地に着いた、と、ガイドブックに載っていた宿を探す。
でも全然見つけられない。
私の持っていたガイドブックは地図がよく間違ってるので、一部では『地球の迷い方』とも呼ばれている本。
だから、ガイドブックがおかしいんだと思って、かなり探したけどダメ。
1時間位迷い続けた末に、終いにタクシーに頼る。

着いたガイドブックに載ってた安宿は満室だったけど、違う宿を確保した。
宿にはパティオがあり、そこには小さいながらもヨーロッパにありそうな白い噴水がある。
部屋はボロいがトイレ・シャワー付きの個室で、壁には額に入った絵が飾られた可愛い感じの部屋。
予定の倍額、500円くらいした。

が、まあ良い。疲れた。許す。
とにかく目的地に着いた。とうとう。


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