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ネズミちゃんです。
なんといっても「出っ歯」が特徴です。
でも この出っ歯、
よく見てみてください。
写真を拡大してみると、
上下とも
皮膚をつきやぶって、
出ています。
そうなんです。
この出っ歯、
上下とも
唇の上下から皮膚を突き破って飛び出ているのです。
大きく飛び出した歯は、
地中で土を掘るのに使います。
堅くて丈夫で、スコップの役割をします。
誰もが知っている地中で暮らすモグラは、
手を使って土を掘ります。
でもこのネズミは、
この歯を使って土を掘り、
何百メートル、何キロもの長い長いトンネルを掘って暮らしています。
ではなぜ、
皮膚を突き破って歯が飛び出ているのか。。。
それは、
口を大きく開けなくても 土を掘れるようにするためです。
このような口の構造のおかげで、
口を閉じたまま、出っ歯をスコップとして器用に使って土を掘ることができます。
口を閉じたまま土を掘れるので、
口の中には 土が入りません。
土を掘るために口を大きく開けていたら、
口の中が土まるけになりますよね。
それを避けるために
このような口の構造になっています。
すごいですね。生き物の進化って。
さて、
出っ歯が特徴のこのネズミちゃん。
見ての通り、
毛がありません。
つまり、はだかです。
なので、
このネズミの種類は、
「ハダカデバネズミ」といいます。
裸(ハダカ)と 出歯(デバ)で ハダカデバネズミ。
そのままですね。覚えやすいです。
ハダカデバネズミはとても不思議な生き物で、
研究者たちの間では注目されている謎多き生き物のひとつです。
実は、
寿命が約30年と とても長いです。
一般的なネズミは、約2~3年ほどです。
みなさんがペットとして飼う
ハムスターもそのくらいですよね。
それが、
このハダカデバネズミは 30年と 超ご長寿です。
なので、
長生きの研究、老化耐性の研究としても注目されています。
そしてもうひとつ。
高度な社会生活を営んでいます。
群れの中に階級があり、
一番上が 女王ねずみ、
二番目が 王様ねずみ、
三番目が 兵隊ねずみ、
4番目が 働きねずみ となっています。
蜂(ハチ)の社会と似てますね。
女王ねずみは、
一番大きく、子供を産むのは 女王ねずみしかできません。
そして、その相手になるのが、
王様ねずみです。
他の兵隊ねずみや働きねずみたちにもオスメスありますが、
子供を産めない体になっています。
しかし、
女王ねずみが死んだとき
他のねずみが女王ねずみになりますが、
そのとき女王ねずみに選ばれたねずみは
そこで子供を産める体になり、体もデカくなります。
不思議ですね。
ひとつの群れの中にいるハダカデバネズミは、基本的に全員が血縁関係者となります。
つまり、親子や兄弟、家族の中で交配が繰り返され増えていきます。
一般的な種では、
こうしたケースでは、奇形が増えやすくなりますが、
ハダカデバネズミではそういった傾向がみられません。
これもまた不思議な点のひとつです。
3番目の階級の兵隊ねずみは、
食べられる役割をもっています。
もし巣穴にヘビなどの天敵がやってきたとき。
兵隊ねずみは、率先して食べられに行きます。
食べられている間に、
他のねずみたちが穴をふさぐなどして
内部への敵の侵入を防ぎます。
食べられることで
その間、時間かせぎするのですね。
自分を犠牲にすることで、敵から仲間を守るという
すさまじい役割を持っています。
その下の階級の働きねずみは、
女王ねずみが産んだ子ねずみの世話や保温、
巣穴の掃除やエサの採取など、
周りの雑務をこなします。
これらの階級に従った役割がそれぞれのねずみに存在します。
とても高度で複雑な社会システムだと思います。
そしてもうひとつ。
先ほどお伝えしたように 寿命が約30年にもなります。
一般的に長生きすればするほど「ガン」が発症しやすくなりますが、
ハダカデバネズミは、
「ガン」に非常になりにくい生き物です。
少し前までは、
絶対にガンにならないといわれていたくらいです。
動物としてとても特異的な体質だと思います。
長寿の研究もそうですが、
ガン予防、老化防止などの医学的な研究としての注目度も高まりつつあります。
