コモリ目線(ロングバージョン)

コモリ目線(ロングバージョン)

Dec 2, 2003
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いわゆる「街頭インタビュー」というやつなのだが、その中で出会った
一組のカップルが、妙に印象に残っている。

初めから仲睦まじい様子だった二人は、こちら側の「雑誌に載って
くれないか」という無理な要望に快く応じてくれ、さっそく
路上にての写真撮影となった。

髪をストレートに垂らした女性は、終始明るい表情で、こちらに愛想の
いい笑顔を向けている。
一方、短髪に切れ長の目をした男性は、イギリス人が着るような細身の


「じゃあ撮りま~す!」

というカメラマンの一言によって、一枚、二枚とシャッターが
切られていった。

相変わらず笑顔を振りまいている女性は、カメラを覗き込み、ピカピカの
表情で撮影に応じている。
一方の彼氏は対照的に、口を真一文字に結びながら、モデルのように
ギッとこちらを睨めている。

いつもの通り、パシャパシャとシャッターが切られていき、ここらへんで
撮影終了かと思いきや、パートナーのカメラマンが冗談っぽくこう言った。

「彼女。彼氏に気をつけなよ~。彼、自分の見映えばっかり
 気にして、あなたのこと、まったく見てなかったから……」


ゆるみ、代わりに少年のような笑顔がこぼれた。そして間髪を
入れずカメラマンが、

「そう、その表情だ。ソラッ。ソラ、もう一枚!」

と言って、立て続けにシャッターを切ったのである。
快活に笑っている彼氏の顔を見て、彼女の方も嬉しくなったのか、


やがて撮影が終わり、僕らは礼を言ってから、気持ちよく別れた。

その日の夕方にフィルムを現像しに行き、仕上がってきた写真を
見て、少し胸が震えた。

ナイスガイの彼氏のキマッた表情や角度、そのモデルのような目つき
より何より、写真映りや見てくれをいっさい無視した彼の方が、
はるかに魅力的で、きらめくルックスをしていたのである。

もちろん、雑誌の写真としての仕上がりも断然そちらの方がよく、
僕は数あるカットの中から、ためらうことなく二人の笑い合っている
一枚を選んだ。

男性、女性に関わらず、人はみな、自分が一番カッコいい、あるいは
カワイイと思った表情で、鏡に映ろうとする。
しかしどんな人であれ、その人のナンバー1の表情は、白い歯をいっぱいに
見せたまぶしい笑顔に違いない。

アルバイト先の社長にいつも言われている、

「いつも笑っていろ。人からバカにされるくらいに」

という言葉が、強く胸に響いた。






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Last updated  Dec 3, 2003 06:33:31 PM コメント(1) | コメントを書く


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