Pastime Paradise

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第2部 それいけ!姫子

「うわさの姫子」 あらすじ


第2部 それいけ! 姫子

 姫子達が通う明星小学校は、一流校・赤月中学を目指し、勉強一本やりの厳しい学校だ。そんな中、真樹達が校則で禁じられているスキーに行く計画を立てているのを耳にした姫子達は、自分達もスキーに行くことに。
 真樹の鮮やかな滑りに比べ、姫子達は全員初めてということで失敗ばかり。真樹にバカにされた姫子は滑り始めたものの止まらなくなってしまう。身を挺して助けてくれた長い金髪の男性は、足をくじいた姫子を抱きかかえてロッジまで運んでくれ、立ち去った。

 新学期が始まった。姫子とチッチ、ネコちゃん、そして真樹達(真樹、メガ六、ナットウ)もまた同じクラスになり(フーコだけ隣のクラス)、美人で頭の良い 笠井さん も今年から同じクラスになった。そして、新たなクラス担任になったのは…
「ボン・ジュール、ムッシュ、マドモアゼル、ジュ・スイ、ピエール・志賀」
偶然にもスキー場で怪我をした姫子を助けてくれた金髪の男性、 ピエール・志賀 先生だった。
 フランス人と日本人のハーフで、大学を出たばかりのピエール先生は、たちまちクラスの人気を集めた。しかも、勉強一本やりの学校を、ピエール先生の正義感が自由で楽しい雰囲気に変えていった。
 そんな或る日、学級委員を決めることになった。委員長の座を狙う笠井さんと姫子が投票で同数になり、笠井さんの提案で次の試験で成績の良かった方が委員長になることに。
 何とかして委員長になりたい笠井さんは、試験前日に姫子達を自宅のパーティーに招待し、姫子のジュースにこっそりお酒を入れて酔わせてしまう。そして姫子は二日酔いで起きられないだろうから…と自分は勉強せずに寝てしまった。
 翌朝、寝坊はしたものの何とか間に合った姫子はテスト用紙を見てビックリ!なんと、ちょうど前夜あてずっぽうに勉強したところだったのだ。難なく問題を解くことが出来た姫子の点数は笠井さんを上回り、晴れて姫子が委員長になった。
 委員長になれなかった笠井さんと、ピエール先生のモテモテぶりをひがむ真樹達は、何とかしてピエール先生を学校から追い出そうと、何かと先生を困らせる。

 そして迎えた夏休み、姫子達は林間学校へと出掛けた。
 みんながテントや食事の準備をしている間も勉強していた笠井さんは、チッチと口論になり、怒って荷物をまとめて帰り始めた。日も暮れてきて危ないから、と後を追った姫子は山の中で笠井さんを庇って毒蛇に咬まれ、意識朦朧となってしまう。
 夜になっても戻らない二人を心配したピエール先生と真樹達は、姫子達を探しに出た。二人を見つけた真樹は、姫子が毒蛇に咬まれたと聞くとすばやくナイフで姫子の腕の傷口を切り裂き、毒を吸い取る。この真樹の応急処置のおかげで姫子は一命を取り留めたのだった。

 2学期になり、新しい委員長は男子を買収した笠井さんが選ばれた。
 運動会でリレーのアンカーに選ばれた姫子は、当日、階段でわざとぶつかってきた笠井さんのせいで転倒し、右腕を傷めてしまう。また、仮装大会で真樹に恥をかかされた笠井さんは、ある条件を出す。それは、もしリレーに負けたら真樹に自分のボーイフレンドになり、他の女の子には絶対に優しくしない―というもので、真樹は負けるはずがないと安易に引き受ける。
 いよいよリレーが始まり、第一走者の真樹からずっとトップを走っていたが、腕を痛めているアンカーの姫子がバトンを落として負けてしまった。真樹は困りつつも、止む無く笠井さんのボーイフレンドになることに。
 真樹と付き合い始めた笠井さんは、或る日姫子に「岡くんとキスしちゃったの」と告げる。そして、相変わらずベタベタする笠井さん&内心嫌々ながら約束のため仕方無しに一緒に歩く真樹の二人と、たまたま帰りが一緒になった姫子達は、隣町の不良中学生達に絡まれるが、空手部員で喧嘩が得意な真樹が一人でやっつけた。
 今日の真樹、格好よかったなあ…などと入浴中に思い出して始めはニヤけていた姫子だったが、笠井さんのキスしたという言葉に、やがて一人涙するのであった…(T T)

 翌日、喧嘩がバレた真樹は空手部の主将に怒られ、今度喧嘩をしたら試合はおろか、クラブへの出入りも禁止にすると告げられる。そこへ、メガ六が一通の手紙を持ってきた。喧嘩した隣町の中学生からの果たし状だった。
 “彼女を返して欲しくば、一人でつくし河原まで来ること”
 喧嘩したら退部だと分かっていながらも、やはりそのまま放っておけない真樹はつくし河原へ一人で向かおうとするが、真樹を案じる姫子達に体育道具室に閉じ込められてしまう。
 しかし、そうはしても姫子もまた笠井さんを放っておけず、男の子のような格好に着替えて一人でつくし河原へと向かい、真樹に成りすまして中学生達を相手に持参した木刀で喧嘩に挑む。
 その頃ようやく道具室の扉を体当たりで開けた真樹は、姫子が単身つくし河原へ向かったと聞き、急いで自分も河原へと走った。
 女の子だということがバレた姫子がやられそうになった時、真樹が到着する。
「真樹、出てきちゃだめじゃない!ケンカしたら退部に…」
「うっせえな!退部がどうだってんだ!心配でほっとけるかって」
「えッ!? 心…配って…あたしのこと?」
「い…いちいち言わせるない!ばかやろう」
 互いに相手を心配して照れあう姫子と真樹だったが、真樹が中学生に叩きのめされて倒れてしまう。姫子と笠井さんが真樹に駆け寄り、笠井さんは涙ながらに
「彼を殺すなら、あたしから先にやってよ!」と言い放つ。
 その真剣さに打たれた(呆れた)中学生達は、喧嘩をやめて帰っていった。

 笠井さんと姫子は病院に担ぎ込まれた真樹の傍らにいたが、真樹が気が付くまで居ると言う姫子に対して笠井さんは、真樹に愛されているのは自分なので、二人っきりにしておいてほしいと言う。その言葉にショックを受けつつも病室を後にしようとする姫子だったが、
「危ないッ!姫子、行くな!」
真樹がうわ言で姫子の名を呼んだ。その言葉に姫子は思わず
「行かないわ、どこへも。あたしはここよ。ごめんなさい、笠井さん…、帰れないあたし…。あたし…あたしも…彼が…好き。すきなのよおッ!!」と、叫んでしまう。
 その声で目を覚ました真樹が目にしたのは、傍らで泣き崩れている姫子と、ショックで青ざめて病室から駆け出す笠井さんの姿だった。

 次の日、PTA役員を務める笠井さんのお母さんが学校に乗り込んできた。真樹が不良と喧嘩し、自分の娘が巻き込まれてケガをしたと言い、また、真樹が以前から娘に言い寄っては恋人になれと脅していたと告げる。
 早速職員会議にかけて停学なりの手を打たなければという教頭に、姫子達は本当はその逆だと話すが、笠井さんのお母さんは信じようとしない。結局この場は真樹を信じるというピエール先生に任すことにし、姫子は笠井さんの家へ向かう。
 学校で本当のことを話して、と頼む姫子だったが、真樹のことを好きだからこそ許せないという笠井さんの言葉に、自分が笠井さんを傷付け、その傷を更に広げに行っただけなのでは…と悩む。
 そして次に向かった病院では、何も知らない真樹がじっとしていられず、空手の練習に励んでいた。ベッドに潜った真樹の
「おれ…頭なぐられて気絶してた時さ…おかしな夢みちゃった。おまえがおれのこと好きだって叫んだみたいな。そんな気がして目がさめたら、おれの横におまえがいてさ…。現実かと思っちまったよ」
との言葉に、姫子は
「真樹…夢じゃないわ…。ほんとに言ったのよ。…あたし」
そう言ってくるりと真樹に背を向けた。
暫し姫子の後姿に視線を送っていた真樹も、同じように姫子に背を向けて答えた。
「……、ありがと…。おれも…」
 そこへチッチやネコちゃんが姫子を呼びに来たので、真樹を病室に残し、みんなで笠井さんとピエール先生がいる土手(?)へと向かう。
 真樹のことを愛していたが、見事に失恋してしまった…と涙ながらに訳を話す笠井さんに、ピエール先生は精一杯愛したのであればその時の素直な気持ちを大切にすべきだと諭す。そして、君が自分で見つけたレールが間違っていたと気付いたなら引き返したまえ、失敗することは恥ずかしいことなんかじゃないんだよ、と笠井さんに優しく語りかける。
 そのピエール先生の言葉に、笠井さんはやっと本当のことを話してみんなに謝る決心をし、学校へ駆け出そうとする。そこで木陰に隠れていた姫子達が現れ、みんなは無事仲直りを果たすのであった。

 みんな みんな ぼくの かわいい生徒。

 まだ 青く 固い つぼみたち。

 春の 息吹をうけ、
 素直にのびやかに そだってくれ。

 いつの日か、
 美しく 花ひらく ために…。

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