悲劇



ぎらぎらと
血がにじむ。
君のぬるい体液を
気のふれた私の
餌にして。

私の声も、私のうたも、
私の、唇をもってしても、
届かない君よ。
思想の無いその血で
私を薄めてください。

こんな世界なんて
いつだって抜け出せる
もうすぐさっさと動き出して
私は見捨ててしまう

腫らした傷は
どんなにか痛いだろう
そこで君はやっと知るんだ
痛みを、舐めとる私を。
刃のように
研ぎ澄まされた感性が
いかにいさぎよく
見捨てていくのかを。
君は知るんだ。


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