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天の王朝
ETとの交信は可能か
今から約18年前の、1987年4月に創刊された「ボストンクラブ・超能力と経営の科学」という月刊誌に私が書いた原稿。第一話はテレバシー交信、第二話は幽体離脱について取材したことをまとめました。本当は四部作で第三話はアトランティスの記憶を持つ人たちを取材して輪廻転生を取り上げ、第四話は惑星間の転生について書こうと思ったのですが、「ボストンクラブ」自体が廃刊となり、第三話と第四話は取材・執筆途中で日の目を見ませんでした。ここでは「ボストンクラブ」に掲載された第一話と第二話(近日公開予定)を公開します(一部手直ししていますが、ほぼ原文のまま。そういえば若い頃、こういう原稿を書いたなと思って読み返したところ、自分で言うのも変ですが、結構面白かったです)。
◎ETとの交信は可能か?(1987年5月15日発刊の『ボストンクラブ2』より)
宇宙人と交信できたら素晴らしいだろうな、とはSF好きの少年ならずとも科学者をはじめ多くの人が夢見る宇宙のロマン。「宇宙人やUFOなど存在するはずがないのに、まして交信などばかばかしい」と一笑に付す懐疑的な人もいるかもしれないが、昨年(1986年)11月には日航機長がアラスカ上空でUFOを目撃し、大々的に報道された。また、宇宙人と交信しようと、現実にアメリカ・バージニア州のグリーンバンク電波天文台を使った電波交信によるオズマ計画、巨大アンテナで宇宙からの信号を見つけ出そうというNASAのサイクロプス計画、ET(地球外生命)へのメッセージプレートを搭載した惑星探査機パイオニア10,11号などによるSETI(地球外文明探査)計画などが進行中だ。
では、実際に宇宙人と交信している人がいると言ったら、それを信じることができるだろうか――。
これから紹介するのは、どういう理由からか、あるいはたまたま、宇宙人との交信が始まってしまった、という人たちの話である。宇宙人の存在を信じる、信じないは別にして、とにかく彼らの話を聞いてみようではないか。
▼振り子で絵を描く
茨城県日立市大みか町の画家海後人五郎さん(68歳=以下すべて当時)は1974年5月、当時大阪大学工学部工作センター長の正木和三さんが、テレビで棒磁石に銅線をつなげて作った振り子の振れ方で正確判断しているのを見て、これを絵画に応用できるのではないかと考えた。
早速、自分で振り子を作り、それを手に持ち白い紙の上で「絵を出してください」と念じた。すると振り子がひとりでにある方向に引っ張られるように動き出し、その軌跡に従って鉛筆でなぞっていくと絵が完成したというのだ。
何日か経って、試しに「宇宙音楽の楽譜」と念じて絵を描いたところ、本当に心和む楽譜のような絵が出てきた。「ならがきっと宇宙人がいるにちがいない」と思った海後さんは、心の中で宇宙人に呼びかけた。その途端に振り子が反応、宇宙人との交信が始まったという。
交信は、YES、NOやアルファベットの書かれた紙や板を前に、海後さんが宇宙人に問いかけ、それに対し振り子が動いて答えてくれるという方法。それによると、応答したのは地球から三百三十光年離れた「ヨリズーダカ」という星に住む宇宙人。彼らは超能力開発装置の設計図を送ってくれたり、1981年7月から一年間かけて完成させた20号のキャンパス206枚を横につなげて書いた全長約150メートルの大作「カムナガラノミチ」の制作を手伝ってくれたりした、という。
これだけなら、「何だ、それなら昔からあるコックリさんと同じではないか」と思われるかもしれないが、海後さんのケースの違うところは、1975年ごろのあるとき、「あなた方に会いたいのだが」と交信したら、宇宙人が「ではいついつ、どこどこで会いましょう」と日時と場所を指定。実際にその日にUFOが現われ、複数の人が目撃している点だ。しかも、ある日の晩、「実体化してはいなかったが、点滅する光体として、私と家族に会いに来た」と言う。
海後さんの交信は、いわば振り子を媒体とした一種のテレパシー交信といえそうだが、それが芸術家の精神世界だけの話なのか、現実に起こりうる現象なのかは後で言及することにして、では次の話はどうだろう。
▼二人の絵が一致
川崎市の主婦A子さん(40)は昨年(1986年、以下同様)11月30日、海後さん宅に知人の紹介で訪ねて「あっ」と驚いた。海後さんが10数年前、油彩で描いた「人間の元型」という抽象画と、A子さんが約10年前、南米・パラグアイで「人間って何だろう」と何の気なしに描いた水彩画が、構図や色から描いたものまで非常によく似ていたからだ。また、海後さんが1974年に振り子で描いた油絵「宇宙人の食卓」の中の島が、A子さんの別の絵の中の島のようなものと描線がとてもよく似ていることもわかった。
海後さんの二つの絵はそれまで未公開だからA子さんが真似できるはずがなかった。
「海後さんがこんな絵を描いていたとは知らなかった。偶然にしては似すぎている」とA子さん。海後さんも「最初、見たときにはビックリしました」と話す。
A子さんが海後さんを訪ねたのは実は、宇宙人について話を聞くためだった。というのは自分自身、昨年9月下旬ごろから、宇宙人の仕業としか思えないような不思議な出来事が身の周りで起きだし、その理由を自分なりに確かめようとしたのだ。
その出来事というのはまず、白や赤や青色に輝く飛行物体・UFOを昼夜の区別なく頻繁に見るようになった。話はそれだけで済まず、さらに衝撃的なことが起きた。同年10月10日未明、自宅で作詩をしていると、自分の書いた日本語の詩が突然、英語になって頭の中に現われた。「あっ」と思った次の瞬間には、どんどんと英語の文章が自然にあふれ出した、というのだ。
「決して自分で作った訳でなく、宇宙からの誰かが心に英語で語りかけてくるのです。英語の不得意な私がいままでみたこともないような難しい単語や文章を書くはずありませんから」と話すA子さんはそれ以来、ほとんど毎日のように英語でメッセージを受け取るようになった。
海後さんに会ったからといって、この交信の謎が解けたわけではなかったが、A子さんは「全く遠く離れた二人が同じ絵を描くということは、宇宙には“テレパシー信号”を含むいろいろな波長の情報が流れていて、たまたま海後さんや私がそれをキャッチしてしまったのでは・・・」と思うようになった。“宇宙人”は今でも時々、途切れ途切れではあるが、戦争や大事故による汚染などについて英語で伝えてくるという。
▼宇宙の声との対話
A子さんより一年半早く、テレパシー交信が始まったというのは、夫婦で翻訳会社を経営する東京都渋谷区の北川恵子さん(33)。
1985年3月16日昼、自宅で休んでいた北川さんの頭の中に、不意に「視覚と聴覚の間のような感じ」で、文字が音声と影像を伴って浮かび上がってきた。その文字をワープロでたたくと文章になった。
最初は一方的に向こうから詩の形式でメッセージを送ってきた。意味は暗喩に富み難解だったが、文章ははっきりしていた。そのうち数ヶ月たってから、その“声”との対話ができるようになった。
そのころ、北川さんに疑問が生じ始めた。これはただの幻聴か何かで、私の頭が変になっただけなのではないかしら、と。しかも“声”は、北川さんにモノに依存する日常の価値観を捨て、意識を改革するように言い続けた。
困った北川さんは「私は聖人でも何でもない普通の人間です。別の偉い人のところへ行ってください」と念じつつ、わざと“声”が聞こえないふりをしたり、“声”の勧めることと逆なことをしたりして抵抗した。それでも“声”は辛抱強く語りかけてきたため、一ヵ月後に根負け。「1985年12月からは“声”と積極的に付き合うことにした」と言う。
それからというもの“声”は、次から次へといろいろなことを北川さんに教えたり、立体影像を目の前に現したりするようになった。火山の爆発や原発事故の予知、外国での誘拐事件の真相、宇宙や霊界、人類の隠された歴史などについて。それらについては、すべて筆記したり絵に描いたりして記録を取っている。また、“声”の主は「オリオン星系団」から来るらしいこともわかったという。
▼テレパシーは可能か
言語その他の感覚的な手段によらず、遠くにいても心の中の感情や思考を伝えたり読み取ったりすることをテレパシーという。これまで紹介した3人の場合はいずれもテレパシー交信といえそうだが、果たしてそんなコミュニケーション手段は可能なのだろうか――。
電気通信大学、ハワイ大学などの情報工学の教授を歴任、現在は超常現象の研究で知られる日本サイ科学会会長関英男さん(81)は、宇宙人とのテレパシー交信の可能性を積極的に肯定する一人。
関さんによると、最近のアメリカなどの研究では、人の脳の尾状核には宇宙から来るいろいろな波長を捕まえることができる無数の“アンテナ”があり、その尾状核のすぐそばにある視床の中の前核が無意識と意識の回路をつなげたときに“アンテナ”が捕まえた情報が認識され、テレパシー交信ができるということがわかってきた、というのだ。
「私も何人か実際に交信している人を知っている。知的宇宙生命の間ではそれが当たり前になっているのではないか」と、関さんは主張する。
関さんのような考えは今のところ、一部の研究家が唱えているだけで、広く知れ渡り、認められているわけではない。
日本の大学レベルで唯一、公的に超能力の研究を専門に進め、郵政省の「未来通信メディア研究会」のメンバーでもある防衛大学人文科学教室の大谷宗司教授は次のように語る。
「超心理学の分野では、テレパシーはESPカードなどを使った実験を重ねたところ、統計的に実在することが証明されている。ただ、そのことがすべての科学者に認められてはいないのが実情だ。私の研究でもテレパシーといったESP現象があることはわかっているが、どういう条件で、また、どうして起こるかについては、いまだに謎だ」
もっとも大谷教授は、宇宙人とのテレパシー交信については、「宇宙人が存在するかどうかも証明されていないので、仮定の話については何も言えない」と話している。
▼ETの存在は
仮にテレパシーが、大谷教授らが言うように実証されたものとするなら、後は地球のほかに知的生命がいることさえわかれば、宇宙人と交信できたとしても不思議ではない。
宇宙人肯定論者は「世界中でUFOが目撃されている。この銀河系だけでも二〇〇〇億個の星が集まっており、しかも、宇宙には銀河系のような星の大集団が無数にある。その中で知的生命がいないと考えるほうがおかしい」と主張。一方、宇宙人否定論者は「UFOを見たなどというのは大体が錯覚か幻覚。何千、何万光年も離れたところから地球に来られるはずがない。今までだって一度も、人類の前に現われたことがないではないか」と反論する。
これでは水掛け論で一向に結論が出そうもないが、ここで、肯定論者にとっては強力な味方を紹介する。その人は、「宇宙人は実は、結構昔から何度も地球に来て、地球人と交流しているようなんです」というユニークな説を古典文学の観点から唱える富山大学人文学部の山口博教授だ。
山口教授は、現在知られている浦島太郎の話が作られた室町時代よりもはるか前の奈良時代、丹後の国の風土記に浦島説話の原典があることに注目。詳しく調べたところ、浦島が海で釣りをしていたのは同じだが、そこに現われたのは五色に輝く亀だった。その亀に一人の美しい女性が乗っており、浦島に「天上の仙家の人なり。風雲の彼方より来た」と名乗った。
浦島はその美女に眠らされたかと思うと、あっという間に大きな島に着いた。そこは玉を敷いたような光り輝く大地で、すばる(プレアデス星団)や雨降り星(アルデバラン)と名乗る人々に出迎えられ、輝く宮殿に入った、となっている。
「もうこうなると、浦島は輝く亀、すなわち円盤に乗って、宇宙へ行ったという話が、後の室町時代になって、『助けた亀に連れられて竜宮城へ行った』と、当時の人にも理解できるように勝手に解釈された、と考えたほうが自然なんです。ほかにも竹取物語とか、ETとの交流説話を思わせる古典はかなり多いんです」と山口教授は言う。
確かに、江戸時代の随筆集『梅の塵』と、滝沢馬琴が日本各地に残っている珍しい話を集めた見聞録『兎園小説』の二つには、1803年、茨城県の浜辺に上半球がガラス、下半球はキラキラ輝く金属でできた円盤型の船が“漂着”し、中に美女が入っていたという話が詳細な円盤の挿絵付きで載っている。
また、元禄の作家・井原西鶴の『西鶴諸国ばなし』には、寛永二年の話として、「姿の飛び乗物」に不思議な女性が乗っており、それが飛ぶときは火の玉のようだった。珍しい話なので書き残しておく、と記されている。
山口教授はこれらを踏まえて、「もし現代において、宇宙人と交流していると主張する人がいるなら、それを頭から否定することはできないと思う。もちろん、一つ一つのケースを吟味しなければなりませんが、本当に現代版浦島さんがいるかもしれませんよ」と指摘する。
▼宇宙生命体の“忠告”
海後さんに振り子で絵を描くヒントを与えた前出の正木和三さん(70)=岡山市下石井=も、“高次元の宇宙生命体”からインスピレーションやテレパシーによって、精神文明の尊さを知らされた、とする一人。
1981年に阪大退職後、現在はインターフェロンなどの抗がん剤製造で知られる「林原」(本社・岡山市)の生物研究所に勤務。1974年ごろから始まった宇宙からのインスピレーションによって、直流型電気スタンド、磁気マッサージ器など、これまでに二〇〇種に上る新製品を発明した。
正木さんのユニークなところは、何とその“生命体”から3ヶ月に1回の割合で、ゴルフの新打法をテレパシーで教わることだ。
50歳で健康のためゴルフを始めた正木さんは、“生命体”の助けを借りて、次々に「自然落下打法」などの新打法や新理論を開発。60歳のとき、関西シニアゴルフ選手権に初出場で初優勝してしまった。今でも一日に2,3回は三〇〇ヤードは飛ばすことができるという。
正木さんによると、“生命体”がゴルフを教えるのには理由がある。飛ばそうとか、勝とうという欲望や雑念を捨て、力を抜いて無我の気持ちになったとき、ゴルフはうまくいく。これは何事にも当てはまるということを、ゴルフを通じて教えてくれている、というのだ。
正木さんはまた、次のようにも話す。
「名声欲とか金権欲とかいった目の前にある物質的で低俗な欲望は捨てなさい。素直な心になり、人のために無償で尽くすということが宇宙の法則なのです。人類は豊かさを精神の調和に求めず、物質ばかりに求めてしまい、とうとう人を威圧し、殺すための核兵器まで造ってしまった。宇宙人は精神文明の豊かさを忘れた地球人に警告を与えているのです」
正木さんらの言うことが本当なら、宇宙人はあらゆる方法で地球人と接触し、人類に忠告してくれていることになるが、ならば、人類の眼前に公然と宇宙人が姿を現さないのはなぜか――。
世界中のUFO情報を集めて研究し、自宅でUFOライブラリー(図書館)を開いている東京都品川区東五反田の貸しビル業荒井欣一さん(63)は「最近では日航機長が目撃するなど、UFOの存在を疑う余地はありません。だが、実は私自身、まだ見たことがないんです。公式に出現しないのは、他の惑星の生物にショックを与えてはいけないという宇宙の不文律があるからか、あるいは、これまでは調査の段階で、地球人が彼ら宇宙人をちゃんと理解できるか調べていたからではないか。いずれにしても、これからもっと頻繁に現われるようになるのでは・・・」と推測する。
結局、その理由は誰にもわからないまま、一方でETとのコンタクトは、海後さんや正木さんのように10年以上前から始まり今も続いているものから、A子さんや北川さんのように最近始まったものまであり、これからますます盛んになる気配すらある。
▼いま、何をすべきか
「もし、世界中の人がみんな一斉に闘争的想念を捨てて、みんなのために何か奉仕しよう、という平和的想念に切り替えられたなら、人類の未来は輝かしいものになる。そのことを教えるために、宇宙人は許される範囲で世界中の人々とコンタクトしているのです。そして、その数は今後、どんどん増えていくはずです」と、あるテレパシー交信者は語る。
海後さんは芸術家の立場から、「漢和大辞典によると、国民の民という字は、権力者にとって都合のいいように、ひとみのない目を針で刺され、ものをわからなくされた奴隷という意味なんです。宇宙人は、その閉ざされた目を開けて、豊かで自由な精神世界の大切さを悟るように教えている。権力者側は、民に奴隷でいてもらいたいので、その事実を懸命に隠そうとする。いまこそ、人類の一人一人が奴隷の呪縛を解き、意識改革しなければならない」と話す。
ここで紹介した人たちが実際に体験したというETとの出会いやテレパシー交信といった現代の常識を超えた現象――。
それらを信じられない人は、懐疑主義者というより、地球人類が唯一の知的生命だとうぬぼれた人々にすぎないのか、あるいはUFOコンタクティー(接触者)が幻の世界で夢を追っているだけなのか、それは読者一人一人が判断するしかない。しかし、もし、読者の中で「ひょっとしたら宇宙人は存在し、交信している人がいてもおかしくない」と思う人がいるなら、宇宙に心を向けて、耳を澄ましてみたらどうだろうか。意外と、宇宙からのメッセージがあなたにも聞こえてくるかもしれない。
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