文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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観劇・読書メモ 5

平成22年6月1日~8月7日の実況です。項目ごとに、日付を遡る形で記載しています。 8月8日以降の続きは こちら
(遡って 平成22年2月8日~5月31日 の実況はこちら)

観 劇:
【観劇マナー】
上演中、
コンビニのビニール袋 ノド飴の小袋 のシャカシャカ音は、 劇場じゅうに響きます。
ビニール袋は 手元に置かず 足元に。 ノド飴は 開演前に口に含む。 これが大事なマナーです。


220807 佐渡裕藝術監督プロデュースオペラ2010  キャンディード @ Bunkamura オーチャードホール   Alex Jennings (Voltaire, Pangloss, Martin 役) 、Jeremy Finch (Candide 役) 、Marnie Breckenridge (Cunegonde 役) 、Beverley Klein (老女役) 、Bonaventura Bottone (大審問官、入国審査官、Vanderdendur 役) 、Ferlyn Brass (Cacambo 役)
(ことしはキャンディード祭りだ。オーソドックスな帝劇のジョン・ケアード版と異なり、こちらは昨今のオペラの流儀に倣って時代設定を現代に置き換え、米国文明への風刺をテンコ盛りにした 「シャトレー劇場版」 だ。これはこれで楽しめたのだが、帝劇で正統派版を3回も観ていたから ついていけたのであって、いきなりこのシャトレー劇場版を観たら唐突さの連続に苦しむだろう。
最後の Make Our Garden Grow の合唱パワーとメッセージ力に、電気が走った。
アンサンブルは、脚線美の来日ダンサーたちと、ひょうごプロデュースオペラ合唱団の日本人。)


220719  ピーターパン @ 東京国際フォーラム (ホールC)  笹本玲奈 (ピーターパン役) 、橋本じゅん (海賊フック船長・ダーリング氏役) 、神田沙也加 (ウェンディ役) 、神原麻由 (かみはら・まゆ、ダイガー・リリー役) 、比企理恵 (ひき・りえ、ダーリング夫人・ジェーン役)
(高い期待をさらに上回る、隅々まで磨きのかかった、いい舞台だった。初日公演は、笹本玲奈さんのピーターパン150回目の記念ステージ。こうしてピーターパンへの8年ぶりの再出演がかなったのだから、「ミー&マイガール」 のサリーの再演、再々演も玲奈さんで決まりですね! 
最後の場面、あどけなさにあふれたあのひとが大人になってしまったことを知る瞬間の衝撃のシーン。自らも時を経て、それでも純粋さを失わない、そういうピーターパンを演じるのには、いまの笹本さんこそ 「適齢期」 なのかもしれない。
ピーターパンの空飛ぶシーン (バク転・戦闘シーンつき) は、腹筋や腰にたいへんな負担がかかるのですが、笹本さんは軽やか。千穐楽まで、ご安全に! 神田沙也加さんも、最後のシーンで がらりと大人の役へ切り替えるキレがあざやかで、好演。
終演後、ホリプロのファンクラブで、笹本さんを囲んでの写真撮影があり、ぼくも笹本さんのすぐ右後ろに立たせてもらいました。)


220717  東京二期会オペラ劇場  La Damnation de Faust (ファウストの劫罰) 原語のフランス語上演 @ 東京文化会館 (上野)  作曲: Hector Berlioz、管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団、福井 敬 (ファウスト役) 、小泉詠子 (マルグリート役) 、小森輝彦 (メフィストフェレス役) 、白河直子 (メイン・ダンサー) 、演出: 大島早紀子
(満足度の高い公演だった。ダンスの配合が絶妙。第3部の 「鬼火の踊り」 から第4部の舞台変化の華麗さ。あふれるばかりに銀花が降る最後の場面は忘れられない。マルグリート役のはずだった林美智子さんが、体調不良で出演できず、小泉詠子さんが代役に。林さんの早い回復をお祈りします。林美智子さんの写真の晴れやかな美しさに惹かれて券を予約した公演だっただけに、残念だった。公演冒頭に、二期会の栗林理事長から、代役についてのおことわりの挨拶があった。)

220716  エネミイ @ 新国立劇場小劇場   高橋長英、林 隆三、瑳川哲朗、高橋一生、高橋由美子、梅沢昌代、粕谷吉洋
(高橋由美子さんが出ているので、観にいった。いいなぁ、彼女のやんちゃな感じ。どんなにやんちゃでも、かわいいんだよ。あと、「錦繍」 で好演の高橋長英さんの演技も見たかった。テーマの三里塚がらみは辟易だったけど、答えがない割には巧みな料理だった。)

220712 スタジオライフ公演  じゃじゃ馬ならし @ 博品館劇場   作: ウィリアム・シェイクスピア、訳: 松岡和子、上演台本・作詞・演出: 倉田 淳、出演: 青木隆敏、曽世海司、山本芳樹、松本慎也
(シェイクスピア原作のちからで、後半は引き込まれた。キャストは全員男性の劇。音楽劇だが歌が微妙にはずれることがあり、11曲で一度も拍手を取れなかった。群舞も揃っていない。チケット 5,800円だから批判はできないが、このレベルと帝劇レベルの差にちょっと気が遠くなる。観客は数名を除き女性で占められていて、熱いファンがいることをうかがわせた。トークショーには、台本・作詞・演出の倉田淳さん (女性) も出てきてくれた。)

220710 ギンギラ太陽's  遊園地3兄弟の大冒険 @ 東京ドームシティ シアターGロッソ   作・演出・かぶりモノ造型・宣伝美術: 大塚ムネト 出演: 大塚ムネト、立石義江、杉山英美、上田裕子、中村卓二、古賀今日子、中島荘太、石丸明裕、新田 玄
(福岡の劇団ギンギラ太陽's は、平成20年12月に新幹線をネタにした Born To Run を観てひときわ楽しく、今回も待ちに待った公演。やや中だるみも感じられたが、実際の歴史を丹念に反映させたシナリオからはふるさとへの愛情が120%感じられる。カーテンコールのあとの、到津 (いとうづ) の森公園の実写映像がまた、バカ受け。いい夕べ。)

220703 わらび座ミュージカル  アトム @ パルテノン多摩 大ホール   三重野葵 (みえの・あおい、トキオ役) 、碓井涼子 (うすい・りょうこ、マリア役) 、椿 千代 (お茶の水博士の弟子 神楽坂町子役) 、岡村雄三 (悪役科学者 スーラ役) 、柳瀬亮輔 (介護ロボットのアズリ役) 、宮本昌明 (怪力ロボットのダッタン役)
(6月20日の新宿公演に引き続き、2度目の観劇。ステージの10人にまとまりができ、どこに出しても恥ずかしくない仕上がりになった。シナリオの暴言場面の言葉をもう少し練れば、申し分なし。)

220627 キャンディード  ジョン・ケアード版ミュージカル @ 帝国劇場   作曲:Leonard Bernstein、台本改訂・演出: John Caird、出演: 市村正親、井上芳雄、新妻聖子、村井国夫、坂元健児、阿知波悟美 (あちわ・さとみ) 、駒田 一 (はじめ)
(千穐楽公演を観た。電流がじんじん来た。この作品の深い世界が、3回観てようやく神経まで届いた。)

220623  哈姆雷特 (「ハムレット」 中国語版) @ 劇団四季 自由劇場   王 斑 (ハムレット役) 、原 雨 (オフィーリア役) 、張万昆 (ポローニアス役) 、鄒 健 (ホレイショー役) 、キョウ麗君 (「キョウ」 は、龍のしたに共; ガートルード役) 、徐 昴 (クローディアス役)
(北京人民藝術劇院の来日公演。日本でいえば、帝劇の主力キャストが遠征したようなものだろう。レベルが高かった。とくにオフィーリアを演じた原 雨さんが、妖艶とはかなさを併せもち絶品。発狂したオフィーリアを演じる歌声と素足のうつくしさ。ポローニアスを演じた張万昆さんは村井国夫さんの風貌だし、ホレーショーを演じた鄒 健さんは渡辺いっけい さんの雰囲気。ガートルードのWキャストの史蘭芽さんや、貴婦人らの役の呉 娯さん、孫 琳さんも、はなやかだった。中国語がもっと理解できると思って行ったのだが、訳文の格調が高かった。中国語の分からないひとには、字幕の文字数があまりに少なすぎたかも。)

220620  わらび座ミュージカル  アトム @ 新宿文化センター   良知真次 (らち・しんじ、トキオ役) 、五十嵐可絵 (いがらし・かえ、マリア役) 、椿 千代 (お茶の水博士の弟子 神楽坂町子役) 、速水けんたろう (悪役科学者 スーラ役) 、三重野 葵 (介護ロボットのアズリ役) 、碓井涼子 (ちょい悪のエミ役) 、宮本昌明 (怪力ロボットのダッタン役)
(愛媛県の坊っちゃん劇場 「鶴姫伝説」 で主演した碓井涼子さんからの案内があって、観に行った。)

220619 ミュージカル  シカゴ @ 赤坂ACTシアター   米倉涼子  (Roxie Hart 役) 、Amra-Faye Wright  (Velma Kelly 役) 、河村隆一  (Billy Flynn 役) 、大澄賢也  (Fred Casely 役) 、田中利花  (Mama Morton 役) 、金澤 博  (Amos Hart 役) 、H. Masuyama  (Mary Sunshine 役)
(去年秋の来日公演がピカ一で、「この世界を米倉涼子さんが一体どうやって演じるのだろう」 と思ったものだ。期待感が強すぎ、今回の米倉涼子主演公演はガッカリだった。作品そのものがすばらしいから、楽しいひと時に違いはないけれど。
Amra-Faye Wright さんもカタコト日本語で頑張っていたけど、「ガンバッテマスネ」 の世界でしかない。つたない日本語の科白を聞くたびに、「所詮、芝居さ」 と念押しされてる感。河村隆一さんのビリーも甘すぎだし、田中利花さんは おとなしすぎた。マスヤマさんの裏声メアリーは、科白がよく聞き取れない。この作品を東宝の一流キャスト・スタッフが手がけたら、どんな仕上がりになるか見てみたい。)


220615  キャンディード  ジョン・ケアード版ミュージカル @ 帝国劇場   作曲:Leonard Bernstein、台本改訂・演出: John Caird、出演: 市村正親、井上芳雄、新妻聖子、村井国夫、坂元健児、阿知波悟美 (あちわ・さとみ) 、駒田 一 (はじめ)
(新妻聖子さんが、前半ぐっと地を出して表情ゆたか。市村正親さんの存在が神々しいばかりに昇華していた。阿知波さんの語りを楽しみにしていたが、みごとに応えてくださった。1度や2度見ただけでは堪能しきれない、深みのある作品だ。次は千穐楽を観せていただく予定です。)

220614 加藤健一事務所30周年記念  モリー先生との火曜日 @ 本多劇場   加藤健一、高橋和也
(ぼくが英文原作を読んだことのある数少ない作品。これを加藤健一さんが30周年記念に選ばれたということで、惹かれていた公演。飛び込みで本多劇場へ行ったら、何と補助列というのが前から5列目の超特等席。加藤健一さんのあたたかみとキレを間近から見せていただいた。これから、加藤健一作品はできる限り観せていただくつもりです。)

220610  人物たち @ シアターX (カイ) 原作: Anton Chekhov, 構成・演出: Aleksandr Kalyagin, 出演: A. Kalyagin, Vladimir Simonov, 通訳・解説: 安達紀子
(チェーホフのユーモア短篇5話が、2人劇に仕立てられた。先にあらすじだけ知らされて、あとはロシア語の役者藝を楽しむ。字幕などなし。
チケットは売り切れだったが、当日券を求めて並んだ。ロシア語がもっと分かるだろうと思っていたのだが、劇が始まる前のカリャーギンさんの解説はだいたい聞き取れたものの、台詞のほうは聞き取れなかった。それにしても、観客は日本人がほとんどですが不思議なほどよく笑っていました。)


220605  キャンディード  ジョン・ケアード版ミュージカル @ 帝国劇場   作曲:Leonard Bernstein、台本改訂・演出: John Caird、出演: 市村正親、井上芳雄、新妻聖子、村井国夫、坂元健児、阿知波悟美 (あちわ・さとみ) 、駒田 一 (はじめ)
(かのジョン・ケアードと、超豪華キャスト。期待は高く、今月3回観ることにしている。ミュージカルというより台詞劇の要素が強く、第1幕の阿知波さんの長い独白が絶品。村井さんは第2幕で持ち味を発揮なさる。
新妻聖子さんが眉の描き方を変え、オペラ歌手のように歌う。美しい。音楽大を出たわけでもないのに、 (マイクを使うとはいえ) ここまでオペラ歌手に肉薄できる才能に脱帽だ。)



コンサート:

220729  花ゲリラ @ 六本木スーパーデラックス  (西麻布三丁目) ダンサー・演出・振付: 池上直子、 音楽・ヴァイオリン演奏: 廣川抄子
(奥野ビルの画廊の前にあったこのイベントのビラに魅せられて行った。パフォーマンスは30分ほど。池上さんの女性の筋肉は美しかった。何らかのストーリーが加わると、さらによかったと思う。)

220702  The 22nd Saints Hill Concert ブルー・アイランド氏の「ペール・ギュントの大冒険」 @ 普連土学園新渡戸稲造ホール   ピアノ・構成: 青島広志、 ソプラノ: 赤星啓子、江口二美、 テノール:小野 勉、 演奏: 吉岡麻貴子、篠原智子、鈴木るか、長谷部一郎、高橋洋太
(にぎやか盛りの女子高生たちを最後まで惹きつける青島さんのイベント構成のうまさ、それを支える8人のプロのみごとさ。ペール・ギュントの世界の旅という趣向で、グリークの 「ペール・ギュント」 のみならず、ヴェルディやビゼー、フォスターから、ビートルズの 「オブラディ・オブラダ」 の変奏曲まで。となりのトトロの 「さんぽ」 をみんなで歌ってお開き。楽しかった!)

観 映:

220803 アガサ・クリスティ生誕120年  Le Grand Alibi (華麗なるアリバイ) @ Bunkamura ル・シネマ  
(フランス語の映画。原作は 『ホロー荘の殺人』。ストーリー展開に若干の中だるみを感じたのは、ぼくがこの手の推理ミステリーものをそもそもあまり好きでないから。実はこの日は 「氷雪の門」 を見に渋谷へ行ったが、映画館への道に迷い時間切れで、なかばやむなく、予告篇を見て惹かれていたこの映画を見たのである。)

220715  Le Concert (オーケストラ!) @ Bunkamura ル・シネマ   Alexei Guskov (指揮者にして夢の企画者たるアンドレイ・フィリポフ役) 、Dmitry Nazarov (相棒のチェロ奏者のサーシャ・グロスマン役) 、Melanie Laurent (美貌のヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケ役) 、Valeri Barinov (共産党イノチだが今や憎めない元ボリショイ劇場支配人のイワン・ガヴリーロフ役)
(深く感動した。上映最終日の前日だったが、観に行って大正解だった。喜劇仕立てだが、アンヌ=マリー・ジャケの出自の謎解きにドンデン返しがあり、真相が心に沁みる。謎が語り明かされるとき、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が劇的に美しい。映画原題は 「協奏曲」。)

220707  Disney  Alice in Wonderland (アリス イン ワンダーランド) 3D・字幕版 @ 新宿ピカデリー   Mia Wasikowska (アリス・キングスレー役) 、Johnny Depp (マッドハッター役) 、Helena Bonham Carter (赤の女王役) 、Anne Hathaway (白の女王役)
(美しく、わかりやすい映画で、1度観て堪能できた。何としても3D版をと思っていたが、3Dが生きる場面がそうそうあるものではない。偏光板眼鏡をかけていると美しい原色が十分には楽しめず、かつ画面もすぼまった感じになる。アトラクション用に作られた映画は別として、一般映画は3D版ではなく2D版のほうがいい。)

220603  書道ガールズ わたしたちの甲子園 @ ユナイテッドシネマ豊洲   山下リオ、金子ノブアキ、成海璃子、桜庭ななみ、おかやまはじめ (清美の父、文房具屋主人役) 、山田明郷 (めいきょう、里子の厳父、書道塾師範役)
(愛媛県の宇摩市 (と名を授かるべきだった川之江市・伊予三島市合併後の四国中央市) が舞台。前半、成海璃子さんの硬い演技にいささか疲れたが、金子ノブアキさんのバランスが絶品だし、おかやまはじめ さんが好い味を出していた。ストーリーに少しムリを感じたが、「日本は大丈夫」 と元気が出る。わが故郷・愛媛の人々の全面支援にも感謝。)


読 書:
<平成210522 以前に購入の積ん読 (つんどく) 本、ようやく読了>

220714  日本の <現代> 8  日本の食と農 ― 危機の本質 (NTT出版、平成18年刊) 神門善久 (ごうど・よしひさ)
(日本の農業問題を語るには必読書扱いの本らしいが、各方面に八つ当たりした挙句に、わが国の周辺諸国の農民を移民として大量に受け入れるために農村運営システムを整備すべきだと力説していて、唖然。トンデモ本に属するが、サントリー学藝賞と日経BP・BizTech図書賞を受賞している。審査員は、このトンデモ本をほんとに最後まで読んだのかね? 著者は京都大学で農学の博士号をとり明治学院大教授という。神門善久氏は国際感覚の麻痺した学者バカの典型だ。ほめるべきところは褒めておくと、農地転用にまつわる諸問題の指摘は一読に値する。)

220710  水の彼方 (講談社、平成21年刊) 田 原 (でん・げん) 著、泉京鹿 (きょうか)
(初々しいと評したら、ほめ言葉にならないが。25歳、武漢生まれの魅惑的な作家。若い時ならではの唐突感、中国の喧騒とネットリ感、現実と夢想の往復が散文詩のように描かれる。主人公の少女・陳言の恋人の黄鋭が、あるとき唐突に話から消えて最後まで言及がない。少女の宿す胎児が生れ替りであるとの含意か。そしてその胎児さえも、唐突に消える。詳述と省略が並存するミスマッチもまた、若さの証だろうか。原題 『双生水莽』。)

220612  百人一句 俳句とは何か (中公新書、平成11年刊) 高橋睦郎 (むつお)
(名著なり; 「15年戦争」 なる左翼用語使ひしを除けば。とりわけ江戸期の俳人の伝記的記述は類書になき特筆点なり。俳人、霞を食うて生きるにあらず。俳句は季語にて自然のいのちを写し取り、また俗にいのちの支えともなりぬ。)

220606  笑犬樓の逆襲 (新潮社、平成16年刊) 筒井康隆 著
(これまた発売時に買って、長らく棚の肥しになっていた本。筒井さんの本は、高校生のとき 『にぎやかな未来』 を読んで以来だ。本書本篇は、筒井さんがホリプロ所属の俳優としても活躍された時期の、『噂の真相』 誌連載。作家 兼 俳優を稼業として有名人士と交流する、最高の人生ですね。)

220605  百人百句 (講談社、平成13年刊) 大岡 信 著
(評者・大岡 信 の顔が見える俳句論。大岡さんにとっての一句一句を語っているから、読ませる。編集者に向けて語りおろしで論じてからそれを原稿化・整理した、という本書の生い立ちを知って納得。)

220602  蓮如 ―われ深き淵より― (中央公論社、平成7年刊) 五木寛之 著
(社会現象にもなった戯曲。平成7年に買って書棚のいい位置に置きながら、数ページ読んだだけで十数年放置していた。一気に読んで、楽しみ、共感した。平成7~8年に前進座が舞台にかけているが、その後はどうなのだろう。舞台再演があれば、ぜひ見たい。)

<平成220601 以降に購入・受領/読了>
220805  「有元利夫展 天空の音楽」 図録  (東京都庭園美術館)
(小ぶりで箱入りのおしゃれ。)

220730  マン・レイ展 Man Ray: Unconcerned But Not Indifferent 図録  (国立新美術館)
(展示品の気まで伝わる。マン・レイの旧アトリエ内をジュリエット夫人の許しを得て撮った篠山紀信さんの記録写真が、回顧展の出口前に展示されていたが図録にはなく、やや残念。旧アトリエは、作品がところ狭しと飾られ、いい雰囲気の空間だった。)

220725/27  乙女の密告 (新潮社、平成22年) 赤染晶子 著
(芥川賞受賞作。7月17日、日経文化面 「文化往来」 で 「意欲作の順当な受賞」 と書いてあったので期待して買ったが、大ハズレ。キリスト教で 「イエス・キリストを殺したのは自分だったと気がついた」 という信仰告白があるのだが、それを引き写したオチが唐突に来て、そこに至る盛り上げ方に手腕が感じられない。わたしなら、予選で落とす。)

220725  二十億光年の孤独 Two Billion Light-Years of Solitude (集英社文庫、平成20年) 谷川俊太郎 著、William I. Elliott・川村和夫 訳
(かの有名な処女詩集。英訳があると、それを最低の許容線とすることでエスペラント訳に取り組めそうだ。やってみよう!)

220722  SORAYAMA MASTERWORKS (スイス Edition Skylight、平成22年) 空山 基 (そらやま・はじめ)
(出身地愛媛県が誇るべきアーティスト空山 基さんの画集。メタリックでエロティックでドラマティックでフルーティー。作家署名入りを、スパンアートギャラリーで予約してあったもの。本棚の、いい位置に置いた。ほんとは、壁を空山作品で埋め尽くした寝室を作りたい。)

220709  「誕生! 中国文明」 展 図録 (東京国立博物館)
(平成館での展覧会を観て展示品の藝術性が気に入り、購入。)

220707  対訳・注解シェイクスピア選集  ロミオとジュリエット  (研究社、平成19年) 大場建治 編注訳
(10月に行う読者イベントの準備で購入。)

220707  Oxford Advanced Learner's Dictionary of Current English, Eighth edition ハードカバー、CD-ROM つき  (Oxford University Press、平成22年)
(第7版は平成17年刊だった。Oxford Writing Tutor という32ページの 「文書作成のコツ」 が付録として付いた。写真・イラストによる単語帳も一段と充実。見出し語が1,000語増えた分、本文も増ページ。)

220701  部下を定時に帰す 「仕事術」 「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵 (WAVE出版、平成21年) 佐々木常夫 著
(著者の講演会で購入。)

220701/01  そうか、君は課長になったのか。 (WAVE出版、平成22年) 佐々木常夫 著
(会社で勤務時間後に佐々木常夫さんの講演会があり、購入。本質的に、このかたは生命エネルギーにあふれた かたなのだ。講演会内容は、今までの著作に書かれてあることのエッセンス。ぼくは過去の読者イベントで、本や配信誌に書いていないことを喋らなければと決めて掛かっていたのだが、いやいや、読者はじつは自分にとってなじみのある内容をもう一度著者の口から語るところを聞いてみたいという気持ちもあるのではないかと、思い直した。喋れば自ずとこれまで書いていないことも付け加わるのだから。そろそろまたイベントを開いて修行してみようか。)

220630/0701  秋吉 巒 (らん) ・四条 綾 (しじょう・あや)  エロスと幻想のユートピア 風俗資料館 秘蔵画選集1 (発行・アトリエサード、発売・書苑新社、平成22年) 相馬俊樹 編著
(ヴァニラ画廊で購入。緊張がさまよい歩く美しさ。)

220625  六本木クロッシング2010展: 藝術は可能か? (美術出版社、平成22年)
(森美術館での展覧会の音声・映像体験は伝えようがないが、その代わりに展覧会に出展されなかった作品も収録した、愛蔵必須のわくわくするような図録だ。ページを繰ると、大脳がぴりぴりとエクスタシーに達した。)

220625  ジュール・ド・バランクール (森美術館、平成22年)
(昭和47年パリ生まれの Jule de Balincourt 氏の、くちゅくちゅとしたシュール。森美術館の小部屋で展示しきれなかった多数の作品をも収録した図録。森美術館での展覧会は、ごく一部。それぞれの作家の世界を拡大紹介した、愛蔵必須のわくわくするような図録だ。ページを繰ると、大脳がぴりぴりとエクスタシーに達した。)

220625  カナリア門 (赤々舎、平成21年) 志賀理江子 撮・著
(六本木クロッシング2010展で展示された写真群に、30歳の作家自身の解説文がつけられた。6,300円+税で、ちょっと高いかと思ったが、中をみたら生写真を貼り付けた1,000部限定の出版だった。写真作品そのものじゃないか! なら、6,300円は安い。1枚1枚に、目まいがしそうな創造冒険やいたずらがつまっている。この本で、作家の肉声が聞けて、しあわせだ。)

220625  オルセー美術館展2010「ポスト印象派」 図録 (美術出版社、平成22年)
(国立新美術館での展覧会の図録。この図録は、通読しようと思っている。)

220622/0704  ホラー・ドラコニア 少女小説集成 【弐】  菊燈台 (平凡社、平成15年) 澁澤龍彦 著、山口 晃 絵
(高橋コレクション日比谷のショップで購入。アートなり。)

220619  猪熊弦一郎の仕事展 時代を生かし彩ったもう一つの世界 (丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、平成13年)
(瀬戸内のアンリ・マティスと呼びたい。東京オペラシティアートギャラリーの猪熊弦一郎展で購入。)

220615  Theatre Craft: A Director's Practical Companion from A to Z (faber and faber、平成22年刊)
(敬愛するジョン・ケアード氏がじつに平易なことばで語る演劇論。「キャンディード」 公演の帝劇で購入。797ページの大冊だが、読ませていただくのがとても楽しみだ。ほんとうにわくわくする。この本に出会えてよかった。)

220608/12 知楽遊学シリーズ こだわり人物伝  藤子・F・不二雄/安藤百福 (NHKテレビテキスト、平成22年4~5月)
(藤子・F・不二雄さんが 「ドラえもん」 とはレベルの異なる本格SF短篇漫画を描いていたことを初めて知った。いつか読んでみたい。 (近くの区立図書館では漫画は扱っていなかった。)
安藤百福さんは台湾嘉義県出身で、漢名は呉百福 (Go Pek-hok) というのだが、このテキストでは安藤さんが台湾出身者であることは言及するものの、漢名を書かない。Wikipedia の日本語版にも漢名は書かれていない。故意に隠すのは不自然である。)


<図書館から借りて読了>

220805  台湾人生 (文藝春秋、平成22年刊) 酒井充子 (あつこ)
(観に行けぬままだった映画の書籍化。日本統治時代に教育を受けた世代の台湾人へのインタビューだ。想像どおりの内容だった。)

220801 俳優になりたいあなたへ (ちくまプリマー新書、平成18年刊) 鴻上尚史 (こうかみ・しょうじ)
(ひとり芝居ふうの朗読に取り組んでみようと思っているのだが、有益な示唆を得た。)

220801  日本文明圏の覚醒 (筑摩書房、平成21年刊) 古田博司 著
(こびへつらわぬ教養人の爽快な一書。大いに共感した。)

220801  スルタンの象と少女 (文遊社、平成22年刊) Jean-Luc Courcoult 著、Quentin Faucompre' 絵、前之園 望 訳
(「キャンディード」 をさらにSFファンタジー仕立てにしたような、確信的遊び心に貫かれた遍歴物語。脳の裏ひだを洗ってくれる。原題 La Visite du Sultan des Indes sur son elephant a voyager dans le temps.)

220729  初 夜 (新潮社、平成21年刊) Ian McEwan 著、村松 潔 訳
(丹念に紡がれたリアリティ。こんな小説が読みたかった。何度も読んだ最後の段落から、自分のために抜書きしておきたい ――
≪彼女は確信していた。このままでは彼を失うことになるが、彼をこんなに愛したことは ― こんなに絶望的に愛したことはなかったし、彼が声をかけてくれれば、それがひとつの救いになって、自分は振り向くにちがいないと。だが、彼はそれを知らず、知ろうともせず、夏の薄闇のなか、冷たい独善的な沈黙のなかに立ち尽くして、浜辺を急ぎ足で遠ざかっていく彼女を見守っていただけだった。≫
その浜辺の名をチェジル・ビーチという。小説の原題は On Chesil Beach だ。)


220729  日本の水ビジネス (東洋経済新報社、平成22年刊) 中村吉明 著
(水ビジネスの全体像と課題がよく分かった。本業にも関連するので会社でレジュメを作りながら読んだ。)

220718  すっぴん台湾 ― 台湾女性が教える本当の魅力 (KKベストセラーズ、平成14年刊) 王悦敏・片野ゆか 著
(台湾出張が多かった頃に読んでおけばよかった。101~103ページに紹介の伊通街の叙旧茶飯劇場は、しばしば前を通ったのだが、ついに入らず。このつぎ台北に行ったら、日曜夜は必ずここへ行って布袋劇 (人形劇の一種) を見に行こう。)

220717  疾走するアジア ― 現代アートの今を見る (美術年鑑社、平成22年刊) 南條史生 (なんじょう・ふみお)
(『新美術新聞』 コラム 「通信アジア」 平成17~21年掲載分。いきおい、駆足旅行の趣。)

220714 日本語の歴史 (岩波新書、平成18年刊) 山口仲美 (なかみ)
(いわゆる言文一致体の確立に、「である」 体の文学作品の成立が決定打となったこと; 係り結びがすたれた背景に、格助詞使用の進展があったこと、など。メリハリのきいた名著。)

220711  左右の安全  (思潮社、平成9年刊) アーサー・ビナード (Arthur Binard) 著
(谷川俊太郎さんの分かりやすいスタイルの詩に似ている。昭和42年米国ミシガン州生まれの作家。『絵手紙』 『ミセス』 『中央公論』 などに掲載の作品。こんなふうにして世間と交差がある詩人が、ぼくの夢見た詩人像だった。)

220711  南冥・旅の終り  (集英社、平成19年刊) 辻井 喬 著
(鎮魂の長詩。こういう分かりやすい詩をむかしのぼくは評価しなかったが、いまは自分がこれを目指しておればよかったのにと、そんな思いがする。連想、回想、比喩が織りなす詩空間。ひとりで紡ぐ連歌のようでもある。)

220706 岡本太郎著作集2 黒い太陽 (講談社、昭和55年刊) 岡本太郎 著
(ピカソについての評論なら岡本さんの 「青春ピカソ」 がいい、とどこかで読んで、これが収録された本書を読了。美術体験の感動プロセスがなるほどというタッチで書かれている。藝術論の 「黒い太陽」、人となりを知れた「自伝抄」 も読んでよかった。)

220704  歌集 時のめぐりに  (本阿弥書店、平成16年刊) 小池 光 著
(小池さんは日経文化面に日曜コラム 「うたの動物記」を書いておられ、なぜかしら女性のように思っていた。この歌集の作品で、男性であることを知った。昭和22年生まれで、教職を勤め上げての文筆生活。「時のめぐりに」 の作品は、読みやすく分かりやすい。楽しく読了した。時事ものは、ときにマスコミに流されて浅薄。)

220703  世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか  (光文社新書、平成21年刊) 菅原 琢 (たく)
(アンケート数字をちりばめて見かけはまともだが、著者個人の安倍・麻生・産経嫌いの情緒がもろに出ている本。あとがきを読んだらなるほど、自民党嫌いの御厨 貴氏の弟子だ。)

220626  つむじ風食堂の夜  (筑摩書房、平成14年刊) 吉田篤弘 著
(気障っぽさに、自分の文体に似たものを感じて、自己嫌悪。こういう作品は、苦手だなぁ。)

220621  ササフラス・スプリングスの七不思議  (評論社、平成21年刊) 文: Betty G. Birney、訳: 清水奈緒子
(原題 The Seven Wonders of Sassafras Springs. 米国の ど田舎にも、7不思議はあるのかえ? 地味な物語なのだが、嘘と嘘っぽさの混ぜ方が絶妙で、第1の不思議話を読んだら一気に引き込まれた。第57回産経児童出版文化賞翻訳賞受賞作。)

220614  水曜日の本屋さん  (光村教育図書、平成21年刊) 文: Sylvie Neeman、絵: Olivier Tallec、訳: 平岡 敦
(原題 Mercredi a la librairie. 始まりはほのぼの。絵が闇や影をよく描き込んでいて、画集と言ってもよい出来ばえ。暗転のあと、ほぉっと息をつかせる。無駄なことばがない。ヨーロッパだなぁ。第57回産経児童出版文化賞翻訳賞受賞作。)

220613  漢字と中国人 ―文化史をよみとく―  (岩波新書、平成15年刊) 大島正二 著
(中国で、古代から時をおいては字典が編まれた背景を、平易に語ってくれる。王照が明治33年に発表した 「官話合声字母」、そこから 「注音字母」、「注音符号」 に至る話が新鮮。今も使われる注音符号の原型を写真で見せていただき興味深かった。)


CD:
<平成220601 以降に購入>
220806  Candide: 1989 London Sumphony Orchestra and London Symphony Chorus    (Deutsche Grammophon、平成3年)
(作曲者の Leonard Bernstein が自ら演奏を指揮している。)

220713  ミュージカル 「モーツァルト!」  平成17年度キャスト、ハイライト・スタジオ録音盤  (東宝ミュージック、平成12年)
(ドイツ語版は20回以上聞いていると思います。とくに Gold von den Sternen は何十回も。山野楽器の店頭で日本語版が 「買って!」 というので、買いました。)

220702  Fade Into Light   (KCミュージック、平成15年) 中村健佐 (けんすけ) 演奏
(昭和37年生まれの中村健佐さんは、ぼくより3歳若い同年代。品川や有楽町の駅頭でのサックス演奏はいつも心を惹きつけたが、この日はとりわけ身に沁みた。中村さんも、やや痩せたように見えた。「いのちの再発見をさせていただいたような気がします」 と声をかけた。前に最新CDの Your Story は買っているので、今回は第2 CDの Fade Into Light を買って、応援。)

220615/15  Candide: The 1999 Royal National Theatre Recording   (Exallshow Ltd.、平成12年)
(ミュージカルというよりオペレッタといったほうがいいのでは。John Caird 氏演出のロンドン公演のCD。帝劇で購入。観劇のその夜、あらためて 「キャンディード」 の世界にひたり、つくづく深い作品と感銘を受けた。)

220607/0710  Jekyll & Hyde: The Complete Work   (Atlantic Recording Corp.、平成6年)
(2枚組。聴いてみたら、もう、サイコー!! ミュージカル「ジキル&ハイド」のCDは、これで4つ目。最初に買った英語版は、旧ヴァージョンのようで乗れなかった。ドイツ語版と鹿賀丈史さん・マルシアさんの日本語版を愛聴してきたわたしです。)

220607/08  BEEGIE ADAIR: Cheek to Cheek - The Romantic Songs of Irving Berlin   (Green Hill Productions、平成17年)
(勢いで買った3枚目。かの Irving Berlin の曲とあれば。God Bless America も入っているし。)

220607/07  BEEGIE ADAIR: Moments To Remember - Timeless Pop Hits of the 1950's   (Green Hill Productions、平成21年)
(山野楽器店頭の店員さんのおすすめ。演奏の感覚がまったく現代的なので、old pop hits という感じがしない。)

220607/08  BEEGIE ADAIR: My Piano Romance  (EMI ミュージックジャパン、平成22年)
(銀座四丁目の山野楽器の店頭でキャンペーンをやっていた。小倉智昭さんも絶賛のCDとか。店頭に流れるビージー・アデールさんのピアノの自在で軽やかなのに魅せられた。Love Me Tender から Ii Hi Tabidachi まで。)


DVD:
<平成210522 以前に購入のDVD、ようやく視聴>


<平成220601 以降に購入/視聴>
220621  Les Choristes (コーラス)  <メモリアル・エディション>  監督: クリストフ・バラティエ、出演: ジェラール・ジュニョ、マクサンス・ペラン
(マクサンス・ペラン君の演技を見たいと思っていた。Amazon の購入おすすめに素直に従って。)

220620  Faubourg 36 (幸せはシャンソニア劇場から)   監督: クリストフ・バラティエ、出演: ノラ・アルネゼデール、ジェラール・ジュニョ、マクサンス・ペラン
(銀座の映画館に4回も観にいった、とびきり大好きな映画。DVDは2枚買って、1枚はぼくのだいじな女優さんに差し上げた。)

220604  エロス+虐殺  <ロング・ヴァージョン>  監督: 吉田喜重、出演: 岡田茉莉子、細川俊之
(『女優 岡田茉莉子』 を読み、一柳 慧 (ひとつやなぎ・とし) さんの担当した音楽を聞きたくてネット購入。)

220601/06  秋津温泉   企画・主演: 岡田茉莉子、監督・脚本: 吉田喜重、助演: 長門裕之、宇野重吉
(『女優 岡田茉莉子』 を読み、その美しさを見たさにネット購入した。彼女の仕草、ことばの、キレのよさ。たちまち影響されたら、ロマンから遠いわたしの女が 「あなた、変よ」 という。)


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