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さわやかで地に足ついた語り口に引き込まれて、一気に読んでしまった。著者の中嶌重富さんには かつて、月刊 『リーダーズ・ダイジェスト』 誌の復刊計画について相談しにうかがったことがあって、それが縁で本書も出版後すぐ送ってくださった。翻訳会社アラヤ社を56歳のとき立ち上げて業界大手に育てた。会社のサイトには日本のポップな文化を日本語と中国語で発信するページも設けてある。英語版をはじめ各国語版を日本語に移し、さらには日本版オリジナルの記事を各国語版へ発信することをねらう 「リーダイ」 復刊のわが夢と、アラヤ社のフィールドは、相通じているように思えた。アラヤ社のオフィスはこころよいアート空間。お話を聞いてみると、アラヤ社の業務分野は技術翻訳だった。商品マニュアルや製品内蔵の表示文を20も30もの言語で用意せねばならぬ需要が輸出メーカーにはあって、そこにソリューションを提供するビジネスをくりひろげる。「リーダイ」 とは分野が違いすぎた。もちろん面会のアポをとりつけて出向いたのだけど、目途が立っているわけでもない 「リーダイ復刊」 を夢見る男など、ほとんど闖入(ちんにゅう)者のようなものである。口下手のわたしの話に中嶌重富さんは懇切に耳を傾けてくれて、「紙の雑誌として出すのはビジネスモデルとしては難しいのではないか。有料閲覧サイトで電子雑誌としてはじめてはどうか」といったアドバイスをくださった。中嶌重富さんのブログ:http://ameblo.jp/alaya2009/*中嶌重富さんのことを知ったきっかけは、渋谷だった。Bunkamura ギャラリーの笹尾光彦個展 (毎年開催) の一角に、中嶌重富さんの前著 『56歳での起業。』 がそっと積まれてあったから。笹尾さんはアラヤ社のアドバイザーでもある。今回の 『起業適齢期』 は、平成16年のアラヤ社起業から現在にいたる経営の道のりを語りつつ、中嶌さん自身の生い立ちから三井銀行勤務時代のできごとなどを織り交ぜてある。日経の文化面 「わたしの履歴書」 のような読み口だ。納得のいく人生とは、過去が現在のためのふしぎな肥しとなり、思いがけない花をつけ、その種子が予想もしないところへ飛んでゆく、そういうものではないかと思うのだが、中嶌重富さんの本を読んでその思いを深くした。昭和22年生まれだから62か63歳でいらっしゃるが、まるで40代のひとが書いたような溌溂とした活力を感じる。企業を育てることで人を育てる。経営とは、人の生き方をよき方向へ向けることでもある。経営の原点を思い返させてくれた。(中嶌重富・著 『起業適齢期 ― 56歳だから実現できた 「ブランド」 』 ダイヤモンド社・刊、 1,500円 + 税。)
Jan 30, 2010
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日本語版の復刊をぼくが夢見てきた 『リーダーズ・ダイジェスト』 誌 だが、いよいよ破産法に基づく再建手続きに入るらしい。8月18日の日経夕刊記事を見て、息が詰まった。米国の雑誌のなかの雑誌。米国版の毎号の発行部数は昨年 820万部。さる6月には目標発行部数を500万部に下方修正、発行回数も年12回から年10回に減らした。500万部を刷る雑誌は、それでもすごい。米国の健全な常識の支えとなってきた雑誌だ。短い記事やコラムや美しい写真をちりばめた構成は、まるでインターネットのサイトをそのまま出版物に転換したみたいで、その意味で 『リーダーズ・ダイジェスト』 誌は時代を大いに先取りしていた。インターネットのサイトを渡り歩く楽しみを、インターネット時代に先んじて刷り物で提供した。通信販売的な広告を多く入れるのも、インターネットのサイト上の広告に発想が似ている。だから、インターネットは 『リーダーズ・ダイジェスト』 誌にとって大変な荒波となったに違いない。*出版元の Reader’s Digest Association Inc. (RDA社) は、すでに今年の3月初めから破産弁護士を雇って再建案を作り始めていたようだ。“Reader’s Digest Chapter 11” で検索したら、New York Post の平成21年3月4日記事 が報道していた。破産法適用申請といっても、雑誌が停刊になるわけではない。RDA社は約2,000億円の借金があるが、そのうち1,500億円相当を帳消しにしてもらう代わりに債権者にRDA社の株式を提供する。金貸しがRDA社の持ち主に名を連ね、貸したカネを配当金という形で回収してゆくわけだ。順調に再建されますように。『リーダーズ・ダイジェスト』 誌からの選りすぐりを新書判で日本の本屋の店頭に並べるという夢は、ぼくもまだ あきらめたわけではない。
Aug 21, 2009
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バンコクのちいさな洋書店で、おなじRD(リーダーズダイジェスト)英語版の「11月号」でも表紙の全然違うのが3つ並んでいてびっくり。アジア版(144ページ)、アメリカ版(232ぺ)、イギリス版(176ぺ)。ページ数の差は広告量の差。表紙のデザインもまるで異なっている。中身を見て驚いた。3つの地域版に共通な記事といえば、Come Hell and High Water-- A volunteer goes deep into the disaster zoneというハリケーン「カトリーナ」特集しかない、と言ってよい。他のページは、共通のものがほとんど見当たらない。名物の新刊書要約さえ、異なる本をとりあげている。月遅れで回して使っている記事もあるのだろうが、それにしても地域版どうしでここまで違うとは。カトリーナ特集も、アメリカ版は14ページ、イギリス版は12ページ、アジア版は8ページ。名物の語彙クイズも、アジア版は Calvin and Hobbes というマンガからネタをとり、アメリカ版はハリー・ポッターからネタをとっている。そうだな、わが日本版RDは、その時々で話題の文学賞受賞作からネタをとることにしようかな。日本版独自の記事は、広く読まれることのない日本の地方紙の特集記事やコラムから、秀逸なものを発掘して取り上げてみてはどうかとも思うのだ。すぐれたテレビ番組のシリーズで、活字化が予定されていないものとタイアップするのもいいかもしれない。英語RDのアジア版の対訳本として利用したい向きもあるだろうから、4割ていどは英語RDアジア版の和訳にし、あと3割は中国語版や韓国語版、ロシア語版などからも取り、残り3割を日本語版独自ということでスタートしてみてはどうだろう。もと日本リーダーズダイジェスト社レコード部につとめていたという方から、ぜひ復刊に向けてがんばってほしいという励ましのメールをいただいた。応援してくださる方を増やしながら、目標に向かって進んでいきたい。
Nov 11, 2005
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リーダーズダイジェストは、B6判である。ところがこの判型の雑誌で世の中で一般に売られているのは、『PHP』くらいだ。駅売店やコンビニに並べるには、思い切って『文藝春秋』や『ダ・カーポ』と同じA5判にしてはどうだろう。NHK語学テキストと同じ判型だ。その分だけ、文字も大きくする。休刊前のリーダーズダイジェスト日本語版を見ると、字が小さい。いまの日本ではとても売れない。やはり、団塊の世代に買ってもらわねば、新雑誌は成り立たない。よし、A5判の大判リーダーズダイジェストで勝負だ!とばかり、またまた夢を膨らませておるのです。
Nov 4, 2005
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土曜にバンコクから帰ってきた。古本屋から取り寄せておいた 塩谷紘著『「リーダイ」の死 最後の編集長のレクイエム』を読んだ。「リーダイ」とは、Reader's Digest の日本語版『リーダーズダイジェスト』。昭和61年2月に「無期休刊」となった国際雑誌のことだ。これを復刊させよう。ドン・キホーテになってしまうかもしれないけど、これまでぼくが抱いてきた夢に比べると、現実味がありそうな気がしてきた。『中国人に会う前に読もう』を出してくれた編集者に出版業界の話をうかがい、ますます意を強くする。狼煙(のろし)を上げることにした。わが旗艦サイトに書いたので、見てください。往年の「リーダイ」の表紙も、時代別に3つ揃えました。http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
Oct 24, 2005
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わたしの「夢」。長らく、『明日の四国』というブロック紙を出したいと夢見てきたのですが、この夢、取下げます。変わって登場した大きな夢が、『リーダーズ・ダイジェスト』日本語版の復刊です。日本では昭和61年に停刊となっていますが、世界の主要国のなかで『リーダーズ・ダイジェスト』の自国語版を持たないのは、日本くらいです。率直にいって、「古きよきアメリカ人の理想」を宣教してまわる雑誌です。ジャンル的には、PHPに似たところがありますが、テーマはもっと盛りだくさん。「健全さ」の権化みたいなところがあります。安心して読める道しるべと言ったらよいでしょうか。停刊してから20年近く経つわけですが、『リーダーズ・ダイジェスト』そのものも全面的にカラーの紙面となり、記事の多様性も増してきたと思います。『リーダイ』の各国語版の編集には、米国の本社の意向が厳格に反映されるらしく、日本の出版社が復刊に向けて手を出したがらないのは、そのせいでしょうか。中国語版など、けっこう独自執筆の記事が多いのですね。各国語版からのよりすぐりに、日本語版独自のインタビュー記事やルポ記事も入れた総合雑誌。ぜひ作ってみたいものです。==8月31日に このブログで、『リーダーズ・ダイジェスト』中国語版の笑い話のことを書いたら、ペパロニさんがこんなコメントを呉れていました。とてもうれしいコメントでした:≪懐かしいです『リーダイ』父が定期購読しとりまして、いつも郵便受けから出して最初に読むのが私でした。もちろんジョークのページが最初(笑)それでも中学になると、主要記事を読み、そのクオリティの高さに魅せられました。国語の教師は「リーダイは保守反動で良くない」と言ってましたが(笑)当時の日本の出版界からは隔絶した存在でしたね。ブルガリア情報機関による法王暗殺未遂から、当時は「エンゼルダスト」と呼ばれた新型麻薬の恐怖、日本では全く目に出来ない情報ばかりでした。復活してほしいものです。『ニューズウィーク』じゃとても買う気にはなれません。(Sep 1, 2005 09:54:10 AM)≫
Sep 10, 2005
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