宵闇姫

宵闇姫

子供の秋。


今頃なら、上新粉を蒸して月見団子。
河原まで遠征して、薄取り。

今は十五夜なんて、忘れたまま過ごしてしまうこともある。
月影に浮き上がる自分の影に、
ようやく満月を気付く。
昔は直ぐに気がついた花の香りも、
今では強いものにしか反応しない。
いろいろなものが鈍ってきている。
余分なものを詰め込みすぎている。
もっとおおらかな毎日。
もっと自然な生活。
思い出せれば、振り返った時に自己嫌悪に陥らなくて済むのに。
自分が一杯過ぎて、人が見えない。
自分が一杯過ぎて、自分すら見えない。



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