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2026.09.27
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2026年9月27日 教育なければ成長なし

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東京・渋谷駅前のスクランブル交差点は外国人にとっては驚異的な場所と映る。あれだけ多くの人が歩いているのに、高齢者であっても、傘を差している人でも通行を妨げられることがない。日本人は無意識なのだろうが、教育システムに規則正しい社会行動が組み込まれているからだ。
Hany Helal 2005〜11年にエジプト高等教育相兼科学研究相を務めた。11年にカイロ大学教授に復職
単純に知識やスキルを身に付けるのが教育だとは思わない。教育システムは子どもたちの人格形成やライフスタイル、市民としての意識にも影響を与える。
幼少期から教えられ、大人になると気づかなくなるような行動や生活規範こそが経済成長や社会のあり方を大きく左右する。たとえば、集団の中に困難に直面した人がいたとき、何も言われなくても周囲がサポートに入るといった無意識の行動が重要なのだ。

アフリカが抱える大きな問題は人口の増加だ。若い労働力が増えることは経済成長にプラスになるといわれるが、私はエジプト高等教育相を務めていたころから、若者人口の大幅な増加は課題であると言い続けてきた。
アフリカの生産年齢人口(15〜64歳)は今の8億4900万人から2050年には15億5600万人に増える。彼らが十分なスキルを身に付けており、何より社会的な行動や規律などをしっかり学んでいるかどうかが問われる。

エジプトの教育は旧宗主国の英国の影響は受けていない。クリティカルシンキング(批判的思考力)や社会規範を重視する教育制度が根付いていたためだ。


教育改革が進んだのは2000年代に入ってからだ。成長をけん引するイノベーションを生み出すために日本の支援で科学技術大学を新設することになったのがきっかけだった。エジプトの大学生が知識やスキルを学べるようにはなるが、それだけでは何かが足りないと考え、日本の高等教育や初等教育の調査を始めた。
16年に日本と教育分野のパートナーシップを結んだ。初等教育から高等教育まで幅広く日本の制度を取り入れている。現在は社会連帯省が日本の幼児教育の調査研究を進めている。

力を入れ
ているのは「トッカツ」だ。日本語の特別活動に由来する言葉で、国際協力機構(JICA)の支援を得ながら、掃除や学級会を教育の現場に取り込んでいる。エジプトには生徒が自分で教室を掃除するという発想はなかった。トッカツを通じて公共の場を清潔に維持する責任感、協働して物事を進めていく姿勢を身に付けられると考えている。
ただ、日本式の教育を100%コピーするつもりはない。社会的な行動や規律という価値観は普遍だが、文化はそれぞれの国によって異なる。エジプトの教育改革が軌道に乗っているのは日本のシステムをうまく調和させて取り込んだからだ。

教育改革の成果が表れるまでにはかなりの時間を要する。行動や規律が当たり前のように定着するには少なくとも15年はかかるだろう。しかし、教育の質の向上や人材育成をおろそかにすれば、経済成長はいつまでも実現しない。

教育によってエジプト経済が大きく変わるのは間違いない。出生率が下がり、1クラスの生徒数も40人程度に抑えられるようになった。土台をしっかり築けば、経済は自然に好循環を始める。多くの雇用も創出できるだろう。
アフリカの要人取材には悩まされる。直前の時間変更が多いうえに大幅な遅刻やドタキャンまである。ルーズな対応には日本企業も困っているようだ。もちろん個人差はあるにしても、約束の時間を守るという意識が全体に希薄なのは間違いない。
日本の高度成長の原動力となった人口ボーナス期がアフリカにやってくる。社会負担がかかる高齢者や子どもが少なく、働く世代の比率が上がり、生産・消費活動が盛んになるタイミングだ。しかし、時間通りに動かず、集団行動に不慣れな人材ばかりの国に普通の企業は投資するだろうか。若い労働力の増加は大量失業と背中合わせの関係にある。
労働力は量より質
過剰債務の返済に追われるアフリカでは教育予算を減らす国が少なくない。国連開発計画(UNDP)は利払い費が教育費を上回っている国が約8割に上ると指摘する。米欧による政府開発援助(ODA)の削減も痛い。アフリカの成長ポテンシャルが高いのは確かだが、投資や事業進出を考えるなら、労働力の質を見極める必要がある。





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Last updated  2026.09.27 17:52:59
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