エジプト生活 7






エジプトに来て戸惑ったことの一つに「インシャーラー」という言葉がある。
「神様がそう望んだなら」というような意味らしいが、何か約束すると、最後にこの言葉がつくのだ。
「明日ろっくんの部屋に迎えにいくよ」
「OK!何時?」
「朝10時にね」
「OK!待ってるよ」
「うん。インシャーラー(神様がそう望んだらね)」
「え?」

で翌日、案の定来ない。来ない。そして来ない。
朝10時の約束が夕方5時くらいになってやっと来たりする。
「朝10時って言ったじゃん!」と当然おいらは怒るわけだが
エジプト人の友人はキョトンとしている。なぜ怒っているか見当がつかないらしい。
最初は「エジプト人は約束を守らない。なんてルーズなやつらだ!」と感じてしまった。
しかしこの「インシャーラー」という言葉の持つ意味を本当に理解してからは、腹が立たなくなった。
その意味とは

「未来には何が起こるかわからない。すべては神が決めること。その不確定な未来について、自分がどうするか約束するなど傲慢なことだ。」

う~む、確かに。
いろいろ考えさせられる。

こんな事もあった。
いつものように皆で紅茶を飲む。飲み終わったカップを洗う当番はきまっているようで、いつもちょっと離れた洗い場まで誰かが洗いにいく。
いつもそうなのだが、誰かが飲み終わると、そのカップ1個を持って洗い場まで行き、洗って戻ってくる。
また誰かが飲み終わると、また往復。
効率が悪いったらない。で、よけいなお世話とわかりつつも
「皆飲み終わってからまとめて運んで洗ったほうが良くない?」
と聞いてみた。
「なぜ?」と聞き返された。
「だって、1回で済むでしょ?」と言うと、
「なぜ1回で済まさなければならないの?」と聞き返された。
「え・・?だってそのほうが効率がいいし・・・」
「なぜ効率よくしなければならないの?」
がーーーん!
これには衝撃を受けた。あれ?確かになんで効率よくしなけりゃならないんだ?たかだかカップを洗う事に対して。

日本で生まれ育ち、いつのまにやら「1回で済ませられることは1回で!」「効率第一!」みたいなものが自分の中に出来ていたんだなぁ、と気付かされたエピソードでしたな。

常識ってなに?

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