【今週の予想】 A 米国株 今週の米国株は値動きの荒い展開になりそうである。米国景気を占う経済指標発表が目白押しでることと、米金融機関の決算発表がある。米国景気はサブプライム問題による金融機関の巨額の損失を経て、住宅産業の業績不振、不動産価格の下落等により景気後退局面に突入しつつあると筆者は考えている。FRB議長の講演も景況感の下ぶれリスクを認め、今月下旬のFOMCで大幅利下げを示唆している。米国政府は減税等対応策を検討しているようであるが動きが鈍い。今週発表される経済指標は12月の小売り売上高、PPI、CPI、鉱工業生産、住宅着工件数がある。特に重要な指数は小売り売上高とCPIである。小売り売上高は昨年の年末商戦の実績を確認でき、GDPの70%程度を占める消費の動向が確認できる。AMEXのカード決済延滞による業績悪化が象徴するように、小売り売上高は低い数値になると思われる。CPIは原油高や商品先物高によりインフレになっていないか確認できる。米国経済にとってインフレ下の景気後退(スタグフレーション)が最悪のシナリオと危惧される。また、金融機関の業績はどの程度損失が拡大しているか。シテイーBK、メリルリンチ証券が焦点であろう。この2行は既に発表されているが、シテイーBKはサウジアラビアの富豪と中国政府系FUND(SWF)から80~100億$出資を受け入れる。メリルリンチは正式発表がないが、追加出資を受ける模様。シテイーの最初の出資受け入れ時程サプライズは無く、市場には中立であろう。米国市場では、過去9回の景気後退の際には、S&P500がピークを付けてから平均4.2カ月後に景気が下降期に入っており、今はまだ景気後退の入り口。S&P500が底打ちするのは、ピークから平均20%下落した時点といい、まだ10%下落余地がある。NYKダウは12300~12600$台になるであろう。 B 日本株 先週は米国株との連動性がない日が多かったが、今週の日経平均はNYKダウに連動するであろう。米国金融機関の決算発表や各経済指標の結果を睨みながら、米国株と同様に値動きの荒い展開になりそうである。引き続き下値を探る動向となり、日経平均は13800円~14400円となると予想する。国内の景気も消費不振と原材料高で不透明感が強まり、また国内企業の業績も下方修正が多くなり、これが重しとなり積極的買いは期待しにくい。景気動向に業績が左右されにくいデイフエンシブ関連(薬品、食品等)に買いの矛先が向かうであろう。他の外需関連株や内需関連株は買い控えが続くと考えられる。商船等新興国関連株もピークアウトしており、利益確定売りに押される展開が予想される。需給面では外国人投資家や国内個人の買い見送りが続く中、唯一の希望的観測としてみられるのが、日経平均が昨年の高値(18261円)を付けた7月9日から6カ月が経過。信用取引の期日が経過し、売り圧力が和らぐとの見方がある。ところで、最近はほぼ膠着していた$相場(108円~109円台)も、来週の米経済指標で米景気後退やスタグフレーションが確認されると、円高に振れ輸出関連株の業績に影響するとの観測から株価下押し圧力となる。107円台を付けると円高が加速する可能性がある。為替動向は決して侮れない。一時100$/バーレルをつけた原油も92$台まで下落しているが国内外のインフレを誘発するため注意が必要。国内の長期金利は1.4%台まで下がっている。(債券価格は上昇)安全資産への逃避は続いており、積極的にリスクを取る投資家は少ない。 【トピックス】 ・ 松下電器産業は社名とブランド名を「パナソニック」に統一。世界戦略強化の一環。