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ザ・スーパー・ポップ宣言
音楽グルメという流儀
音楽グルメという流儀
1.音楽グルメという流儀
音楽における美食家又はグルメに相当する言葉は何だろうか?グルメ漫画「美味しんぼ」における海原雄山のように、私は長年至極の音楽を愛好し求めて止みませんが、それを指す良い言葉が浮かびません。音楽通という言葉は、幅広く深い知識の持ち主という感じだし、音楽愛好家だと意味が広すぎて散漫過ぎる。コレクターは意味も志向も違う、至極の音楽の求道者だとプレイヤーを指す感じ。「至極の音楽を愛好し、求めて止まない」この流儀は、ちょっと言葉の響きはいまいちですが『音楽グルメ』と呼ぶのが一番しっくりくる気がします。料理や食事の楽しみ方が人それぞれであるのと同様、音楽の楽しみ方も人それぞれです。そこで『音楽グルメ』などと言うと、心温かい良心的な、あるいは一般の音楽ファンからは相当嫌われそうですね。美食の鬼である海原雄山が悪役の嫌われ者として描かれていたことや、一般に美食グルメはお金のかかる流儀であることからも多少嫌悪を抱かれてしまうのは致し方ないかなと思います。
然しながら、グルメ漫画「美味しんぼ」が売れたり、ミシュランガイド日本版が長年刊行され続けていたりするのと同様、音楽においても至極の音楽を求めて止まない者は一定数存在するのは明白です。また、ミシュラン三ツ星店が軒並み高額の出費や数か月の予約待ちが課せられるような美食グルメとは異なり、音楽の方は誰でも手軽にいつでもお金をかけることなく楽しめますね。私は当ブログにおいて約20年、私が良いと感じ是非他の方に聴いて欲しい、同好の士と喜びを分かち合いたいという純粋な想いから約1700曲ほど良曲を紹介してきました。マニアックなものが多いからなのか滅多に賛同を得られることはありませんが、稀にその音楽の素晴らしさを共有できた時の嬉しさは格別です。(決して知識をひけらかしたり、コレクションを見せびらかしている訳ではありません。また、広告収益は一切受け取っていません。)
ポピュラーミュージックの中でも特にポップな音楽を追い求めていますが、少し補足しますと、その音楽を聴いて純粋に「至極の音楽」と感じられるかどうかが唯一のポイントとなります。即ち、話題性、流行、名声、ルックス、ファッション性、歴史的価値、歴史的意義、コレクション性、大御所だから、人間性が素晴らしいから、長年のファンだから、オリジナルだから、ライブで乗れるから、レコード屋さんが薦めるから、再生数が多いから、レア高値盤だから、恩や義理・人情、お付き合い・・・等々そういった付随的要素は一切排除します。冷徹なようですが、そうしないと世に存在する膨大な作品の中から「至極の音楽」のみを効率的に追い求めることは不可能だからです。
私は今でも聴くたびに「実際に体がピリピリしてしまう」ような至極の音楽を求めて止みませんが、それを音楽グルメと呼び、その流儀を広く知らしめようという記事って全く目にしないな、食文化においては美食は広く親しまれてきてるのにな、じゃあ私がいろいろ書いてみよう!という想いから、今般「音楽グルメという流儀」というページを作るに至りました。このことを意識し始める大部以前に当ブログで書いた記事も含めてまとめていきたいと思います。若い音楽ファンが音楽グルメという流儀に関心を持ち、楽しむ一助になれたら幸いに思います。
「至極の音楽を求めて止まない」
という、あくまで純粋な気持ちからの記事になりますので、どうか善意にご解釈頂き、温かい眼差しで見守って頂けますようお願い致します。(決して世の多くの音楽ファンの多種多様な楽しみ方を否定する記事ではありません。)
2.チェックシートで全曲完全評価!
骨の髄までしゃぶり尽くせ! チェックシートで全曲完全評価!
なんか受験マニュアルみたいなタイトルになってしまいました。私は貧乏性なので音楽アルバムを聴く際には、そのアルバムの持つ美味しいところを骨の髄までしゃぶり尽くさないと気がすみません。なので、聞き漏らしなどがないようにアルバム収録曲をチェックするチェックシートというものを作って評価しています。未聴なものなど一部例外もありますが、基本的には我が家にある全アルバムの全曲を完全評価しています。
これはA4サイズの紙にアルバムのタイトル欄と30曲までを評価できるマスのあるもので、このマスに該当曲の善し悪しを◎、○、□、△、×の5段階評価していくというもの。大抵の場合アルバムを三回ぐらい聴きかえし、その間にチェックを終えますが、○か□か迷うような曲については判定出来るまで、延々10回ぐらい聴きかえしたりもします。
ジャンルにもよりますが、アルバム収録曲のうち、概ね偏差値55程度のものを□、偏差値60以上のものを○とチェックします。そうして○以上のものだけをジャンル別に精選MDに集めて、普段はその精選MDをカーステや部屋で楽しむというもの。当然そうして精選、美味な曲のみを抽出したMDの味は格別で、何物にも代えられない宝物となっています。(甘茶ソウル、フリーソウル、ネオアコ、NEW WAVE、洋楽ポップス、アイドルポップ、ナイアガラ系、、、。)そうして出来た精選MDを更に精選し、偏差値70クラス以上ばかり集めた究極の精選MDを作ったりもします。
逆にいったん精選、抽出作業の終わったアルバムは二度と聴きかえすことはなく、大抵の場合は売却処分となります。冷たい言い方ですが、アルバム収録曲に入ってる偏差値60未満の佳曲には二度と聴くチャンスは与えません。世の中にはまだまだ聴ききれない程の絶品曲が埋もれているのですから当然です。こうして作られた精選MDを楽しむ至福の時間だけでも相当な時間になるのですから当然です。こんなリスナー、アーチストにとっては相当嫌な奴なんだろうなあ。
3.格付けしてみよう
ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽
2005年9月に開設以来、曲単位で約1600曲ほど良曲を紹介してまいりましたが、当ブログではお勧め曲の推薦度合いや出来栄えを可視化するのに偏差値を使用してきました。(あくまで個人的感覚かつポップという観点から評価したものですが。)星の数とかハートマークの数などで簡単に評価する方法もありますが、それでは世にあふれる大量の良曲を紹介するのに度合いが分かりにくく、説得力も乏しいですし、幾ばくかでも客観的(に見える)で、より細かな数値化が必要と考えてのことです。ある意味それは楽曲に対して、より深く真剣に対峙し自分なりに責任をもって評価したいという気持ちの表れでもあります。
結果として、当ブログにおける偏差値の最高値は75で、基本的にはこの数字を上限値としてまいりました。これまで最高値75をつけた曲は様々なジャンルで合計19曲あります。計算してみるとこれまでの人生で私は延べ約200万曲聴いてきており、その僅か0.001%、ブログで紹介した約1600曲のうちの約1%ですから、概ね妥当な分布になっているのではないかと思います。
常に至極の音楽を求めて止まない私ですが、逆に考えれば、これまでの人生で出会えた極上中の極上の音楽はたった19曲しかない訳です。近年は「YOU TUBE」や音楽配信、discogsやsecondhandsongsなど便利なサイトなどの出現でより探しやすい環境となり、多くの良曲に出会い易くなりましたが、それゆえ逆に、偏差値75級の絶品曲とはもう二度と出会えないのでは?という実感もあります。
4.限界を超える音楽の創造 二次創作の薦め
ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽
そんな中数年前、私の大好きな往年の名曲で『この曲をウォール・オブ・サウンド(音壁)化したら、どんなに素晴らしい曲になるだろう?』という思いから、とあるプロのアーチストの方に駄目もとで音壁化を依頼したところ、何とご快諾頂きました。当初私は、オリジナル音源に追加で音壁的な装飾音を施して頂けたら、と思っていたのですが、『それでは(そんなぬるい手法では)音壁にならない』とのことで、サウンドは全面的に作り直して頂くことになりました。つまり往年の名曲を『ヴォーカルだけ抽出し、それ以外の全ての楽器を新規で録音』頂いた訳です。所謂、漫画などで言う二次創作、美少女フィギュアで言うところの魔改造といったところでしょうか。
そうして出来上がった作品は私の想像を遥かに超える、とてつもない作品となりました。本来この世に存在するはずのない、将に禁断の音楽の誕生です。(当然ながら道義的問題・著作権の問題がありますので、その取扱いには慎重にならざるを得ません。)自分の大好きな曲が自分の好きなアーチストの方に自分の望む通りのアレンジを施してもらう、音楽マニアにとってはこれ以上に無い僥倖でありましょう。そしてそれは数値化すると、偏差値75を遥かに超えると言わざるを得ない史上空前の作品になった訳であります。
そもそも技術的にヴォーカルだけ抽出するということは、数十年前までは不可能だった訳ですから、音楽においてこうした手法はまだ市民権を得ていません。然しながら急速に進化するAIなどの技術により今後はこうした二次創作が盛んに行われ、往年の名曲が様々なアレンジにより新たな魅力を吹き込まれ現代に蘇ることも多くなるのではないかと予想します。当ブログではそうして作られた楽曲の幾つかを紹介して行きたいと思いますが、それがそうした流れへの礎の一つにでもなればいいなと願います。
5.プロデュースしてみよう
音楽愛好家の最高の贅沢とは?・・・私的プロデュースの勧め
(画像はテリー・ジョンスン氏が描いた雑誌ビックリハウスの表紙より)
長年音楽ファンをやっていると、お金の無かった中学・高校生時代と違っていろいろと贅沢が出来るようになってきます。自分でお金を稼ぐようになれば、給料やボーナスの多くをレコードやCDの購入にあてたり、コンサートに行きまくったり、アーチストの関連グッズを買い漁ったりといろいろ贅沢が出来るようになるでしょう。でも音楽愛好家にとって究極の、最高の贅沢とは何でしょうか?投資目的だったのかもしれないけどマイケル・ジャクソンのようにビートルズの版権を買ってしまう、なんてのも壮大な話だし、好きなアーチストに自分のためだけにコンサートを開いてしまうなんて話も有りそう。超高額のレア皿や直筆サイン等をオークションで競り落とすことなどは現実的だけど、それって「レコード」コレクションや「グッズ」愛好であって真の『音楽』愛好とは違うよね。
私が考える音楽愛好家にとって究極の、最高の贅沢は音楽のプロデュース。自分の好きな作曲家に自分の好きな曲調での作曲を依頼し、自分の好きなアーチストに歌ってもらう。これこそ究極の贅沢ではないでしょうか?(ついでに好きなアーチストにジャケットを製作してもらったり)何を隠そう私は自分でプロデュースした曲が2曲程あります。もっとこの人のこういう曲を聴きたい!という欲求を実現させてしまったんだけど、手間もお金もそんなにかからなく出来ちゃうんですよね。何より作っていく過程が楽しいし完成した自分の嗜好に合わせた曲を楽しむのは至高の贅沢という感じ。このサイトを訪れてくれる(私の嗜好と似通った)音楽愛好家さんに、どんどん個人プロデュースして世により多くの素晴らしい曲を発信して欲しいなあと思います。(私がプロデュースした曲が何かというのは秘密です)
6.至極のカバーソングを探求 SecondHandSongsの使い方 隠れた至極のカバーソング・ベスト10
画像1 52曲のYESTERDAYが表示される。BEATLES原曲のものが1060バージョン登録されていることが分かる。
「至極の音楽」の探求において、自分のお気に入りのカバーソングを聴きまくるのは非常に有用です。ポップス、ロック、ソウルなどの黄金時代である1950年代~1980年代には非常に多くの素晴らしい楽曲が作られましたが、逆に言うとそれ以降の時代には素晴らしい楽曲はかなり少なくなってしまいました。従って少し極論になりますが、1990年代以降に新しく作られた音楽から「至極の音楽」を見つけることは確率的にも非常に困難と言えるでしょう。個人的にも往年の名アーチストが1990年代以降に新曲を発表しても全く関心を示せません。良い音楽、良いメロディというものが1980年代までに作り尽くされてしまった、と感じてしまうのは私だけでしょうか?
然しながら、ポップスの黄金時代に作られた素晴らしい楽曲はカバーソングという形で現代にも受け継がれており、その中にはオリジナルを凌ぐ出来栄えの楽曲も多く見受けられます。往年の名アーチストの新録などを追いかけるよりも、既に「確固たる評価のある名曲」のカバーソングを探して聴きまくった方が遥かに高確率で「至極の音楽」に辿り着けると実感しております。インターネット普及以前はカバーソングを数多く探し出すのは至難の業でしたが、現在は幾つかのカバーソング探求に特化した非常に便利なサイトが出現しています。その中でも最大手なのが膨大なデータベースを持つSecondHandSongsという海外のサイト(https://secondhandsongs.com/)。例えば、史上最も多くカバーされたとされるビートルズのイエスタデイは1255ものカバーがヒットします。海外のサイトなので日本人による楽曲やカバーには弱い感じですが、洋楽系の「至極のカバー」の探求にはもってこいのサイトで超オススメです。私もかなり重宝しております。
日本語訳にも対応していますので使い方は簡単だと思いますが簡単に説明させて頂きます。まずは曲名で検索し、複数の候補の中から該当曲をクリック。「VERSIONS」というタブをクリックすると、カバーソングの一覧が出現します。すると
1.オリジナル言語によるカバー
2.インスト・カバー
3.他言語によるカバー(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、他)
の順番で、年代順に表示されます。
「YOU TUBE」で聴けるリンクがついていたりするのも便利です。また、「PERFORMER」のタブをクリックすると、「ORIGINALS」と「COVERS」というタブも出現します。ビートルズで言えば、「ORIGINALS」は『ビートルズがオリジナルで他のアーチストのカバーがある曲』の一覧です。また、「COVERS」は『ビートルズがカバーした他のアーチストの曲』の一覧です。つまり、双方向のカバーソングが一望できるということになります。曲名ではなくアーチストで検索することも可能です。うーん便利過ぎる!
「至極の音楽」探求におけるこのサイトの有用性に気づいてから私は自分の好きな曲を全てこのサイトで調べ、目ぼしい曲を聴きまくりました。すると自力では到底知り得なかったであろう素晴らしい楽曲と大量に出会うことが出来ました。中には「至極の音楽」と呼ぶに相応しい私の生涯の宝物となった曲も沢山ありました。(下記にその一例を列記します。)この記事を読まれている皆さんも『自分の好きな曲のカバー』をこのサイトで調べれば、かなりの高確率でこれまで知らなかった素晴らしいカバーソングに出会えると思われます。個人的に『他言語によるカバー』はオリジナルと聴感の異なる新鮮な味わいを持った曲に出会える可能性が高いと思われるので特にオススメの項目です。(インストよりも下にあるので見逃し易いのでご注意してください。)
画像2 ビートルズがオリジナルで他のアーチストのカバーがある曲が204曲登録されている。因みにACROSS THE UNIVERSEが224のアーチストによってカバーされていることが分かる。
画像3 ビートルズがカバーした他のアーチストの曲が108曲登録されている。
画像4 YESTERDAYのバージョンが1255曲登録されており、英語版から年代順に並んでいる。
画像5 画像4の最後尾では、スペイン、オランダ、韓国、スウェーデン等の各国語バージョンが並んでいる。
隠れた至極のカバーソング・ベスト10(順不同)
(全てオールディーズの老舗長寿番組である山下達郎のサンデーソングブックでオンエアされていない曲です。)
Jackie Trent and Tony Hatch / GOIN' BACK
LESLEY GORE / YOUNG LOVE
Ray Conniff / ANOTHER SOMEBODY DONE SOMEBODY WRONG SONG
Glen Campbell / I Love How You Love Me
Claudine Longet / Let It Be Me (Je T’Appartiens)
Sinéad O'Connor / Streets of London
Lena Andersson / Hej du glada sommar (Tie a Yellow Ribbon)
Curt Haagers / Det är dej som jag behöver (I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU)
SPOONBREAD / HOW CAN YOU MEND A BROKEN HEART
CHANT PAUL / WHITE CLIFFS OF DOVER
いかがでしたでしょうか?是非あなたが探し当てたお勧めの「至極のカバーソング」を教えて下さい。
7.音楽グルメの流儀 特定の音楽家の一途で熱心なファンになることの弊害(山下達郎氏炎上事件)
ジャニー喜多川による性加害問題に端を発した山下達郎氏のサンデー・ソングブックにおける発言は多くの長年のファンを失望させたようです。「もう彼の音楽が私の心に響くことはない」、「レコード、CDは全て処分した」などという声も見聞きします。私は
山下達郎 サンデー・ソングブック(SSB)
という専用ページを作って長年多くの関連記事を書くほど、DJとしての達郎氏を評価しているのですが、その第一回目
DJとしての山下達郎 その偉大なる功績
でも述べています通り、さほど達郎氏本人のファンという訳ではありません。私は中学生時代からロック雑誌を読み漁り、ロッキングオンの岩谷宏氏の著作をブログ名に関するほどのロック野郎でした。かつて達郎氏が「ロックで世界を変えるんだ!とか言ってるロックの連中を『何言ってやがるんだ』と冷笑していた」という発言を聞いて以来「達郎氏はロック的気概の無い人なんだな」と思いました。ある意味最初から冷めた視線で見続けてきた訳です。然しながら、SSBを聞いてるとなかなかいいことを言ったりするので、そのたびにブログで取り上げてきました。そこで今回の達郎氏の炎上事件について私が思うことを箇条書きにすると
・そもそもロック的気概のある人ではないのでさほど驚かないし、期待していた訳でもないので失望も(大きくは)ない。
・本来嫌いなはずのアイドル産業にすり寄ったのは、売れなきゃ駄目だし金がなければ良質な音楽を作り続けられないと思ったからだろう。
・流石にSSBでオンエアしていない(=良曲と認めていない)ジャニーズのタレントを歯の浮くようなセリフで誉めるのは・・・。
・極言すれば悪魔に魂を売ったからこそ、多くの歴史的名曲は生まれることが出来たのだろう。
・多くのお抱えミュージシャンやスタッフを養うためにもジャニーズ事務所を非難する訳にはいかなかったのだろう。
・今回の炎上は彼の多くの言動のうちの一つにしか過ぎず、良い言動もあれば悪い言動もある。ある意味平均的人間の所業。
・この程度の言動一つでアーチスト本人は兎も角、好きだった音楽すら無かったものにするってのはちょっとね。
といったところです。私も感謝してもしきれないほど恩を感じている音楽家の方がいますが、仮にその方がジャニー喜多川のような悪行を起こした場合、積極的にそのことを糾弾できるだろうか?と考えると全く自信がなく、それは多くの日本人にとっても同じなのではないかと思う。音楽家に限らず政治家や有名人などの不祥事や悪行を声高に糾弾する方は世に溢れかえっているけど、貴方や貴方の友人や恩人も同じ立場にたった時に同様のことを行ってしまうんじゃないの?その度に貴方はその友人や恩人と絶縁しちゃうの?現在の日本人の(人類の)レベルなんてそんなもんじゃないの?と思う。決して達郎氏を擁護する訳ではないけれど、こうした観点からすると達郎氏に極度に失望したり怒り狂ったり叱責している人を見ると違和感を感じてしまうのです。また、音楽の楽しみ方は人それぞれですが、
【 達郎氏の音楽は素晴らしい→歌詞も素晴らしい→人間的にも素晴らしいに違いない→大ファンになる→コンサートで盛り上がる、一体感を感じる→グッズや限定盤などを買い漁る→新譜も延々追いかける→超常連になる(→達郎氏のことは全肯定、絶対視、いわゆる信者の領域へ)】
なんて感じで深入りし、一途で熱心なファンになった方々にとって今回の達郎氏の言動は相当な裏切りと感じられたようで、入れ込んだ分だけその反動も大きく、だからこそ「もう彼の音楽が私の心に響くことはない」、「レコード、CDは全て処分した」などとなったのでしょうね。私はそこに「特定の音楽家のファンになることの弊害」というものを強く感じます。そもそも、ポップスにおける歌詞にはさほど大きな意味がないと思っているし、作っているアーチストも適当に心地よい、耳障りの良い言葉を並べているだけだと思っている。(もちろんそれで良い)歌詞に溢れる「愛」や「正義」なんて言葉も99%が他愛のないものだと思っている。メロディや歌声もしかり。優しい歌声で感動的な愛の世界を歌ったところで、当たり前だがその人が徳の高い慈愛に満ちた人物である訳ではない。そこは作り物の張りぼての世界であると、きちっと客観視し対象化することが必要だし、作り物の曲と生身の人間を同一視しちゃうから今回のような事態になるのだと思う。もちろん「特定の音楽家の一途で熱心なファンになること」で得られるものも多いでしょうし、そういう人たちの存在があってこそ(お金を落としてこそ)音楽産業が成り立っているのですから、同じ音楽を趣味とする者として一定の尊重をしています。
ですがそれは
音楽グルメの流儀
とは真っ向から対立するものです。(加えて言うならロック的でも岩谷宏的ポップでもない。)もっと純粋に「作り物の曲」そのものをアーチストと切り離した単体として楽しまないともったいないと思うのです。当たり前ですが既に出来上がった楽曲が、誰かの何らかの言動によってその内容が変化することはありません。言うまでもなく達郎氏は国内最高峰かつ世界的にも高く評価される名曲を幾つも持っています。それら名曲の数々を今回の言動一つによって「無かったものにする」というのは音楽グルメの流儀ではないな、「特定の音楽家のファンになること」の弊害の一つだな、と思った次第です。
(余談ですが、禁錮19年の判決のでた殺人犯であるフィルスペクターがプロデュースした「イマジン」がオリンピックの開会式で歌われることが恒例化しつつありますね。)
8.音楽グルメに贈る厳選アニソン・ベスト10
(↑リンク先でどうぞ!)
以下は予定です。
・曲単体で聴こう
・究極のベストセレクションを作ろう
・ガイドブックを頼ろう
・コンピレーション、セレクトテープを聴こう
・アーチスト本位ではなく自分本位で聴こう
・純粋に音楽、曲を楽しむということ
・レア高値盤に注意しよう
・至極の名曲をどのように堪能するか?
・信頼出来る情報源
・カラオケ・バージョンを作って再発見
・新譜を追うのはかなり非効率的
続く
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