ザ・スーパー・ポップ宣言

俗世離れした哲学性を宿す思慮深く内省的なロック選集

俗世離れした哲学性を宿す思慮深く内省的なロック選集
A Curated Collection of Reflective, Philosophical Rock Beyond the Noise of the World

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ブライアン・イーノが提示した、俗世の喧騒から半歩離れた哲学性と、思慮深く内省的なロックの精神。その静謐な深度は、感情の起伏を排し、意識の奥へと沈降していく透明な響きを備えています。同時に、冷静さと適度に力の抜けた佇まいがイーノの音楽を特異な領域へと導いています。本ページ「俗世離れした哲学性を宿す思慮深く内省的なロック選集」では、イーノを核とし、その精神性と共振するロックの名曲を精選して紹介していきます。これらの音楽は、派手さや即効性とは無縁でありながら、確固たる叡智と静かな強度を内包し、日常の雑音から距離を置くための精神的な静域を形成しています。年齢や経験を重ねた耳に深く届く、意識の深部へ誘う音楽世界をお楽しみください。(同傾向の良曲をお勧め頂けますと幸いです。)

1.BRIAN ENO / HERE HE COMES 「BEFORE AND AFTER SCIENCE」'77



環境音楽の大家ブライアンイーノがそれに走り出す前に発表した1977年のアルバム「BEFORE AND AFTER SCIENCE」収録曲。当ブログの洋楽ポップというテーマとは少し離れた感じもありますが、プログレやロックの世界観をキャッチーに仕上げたという点において実にポップな作品だと思います。 イーノの非日常感は異常 ON SOME FARAWAY BEACH にも書きましたが、イーノの冷静で達観し、将に仙人や神の領域に達したかのようなヴォーカル、メロディ、サウンド群の俗世離れ感は尋常ならないものがありますね。そしてそれらは決して独りよがりではなく説得力と感動があり、聞く者に哲学的考察を呼び起こすかのような奥深い内容をもった素晴らしい作品でもあります。特に「Another Green World」収録の「I'll Come Running」、以前 セレクト大会でも取り上げた「Golden Hours」 や「Before and After Science」収録の「Here he comes」、「By this river」、「Spider and I」などはどれも素晴らしい。個人的にそれらをセレクトしたMDはきっと死ぬまで聴き続けると思います。それほど色褪せぬ普遍性とエバーグリーン性があると思いますね。曲はミディアムテンポの明るめの曲。暖かい陽光が射す平和な雰囲気を持った曲だけど、やはりどこか非日常感と俗世離れ感があります。メロディもキャッチーで心が洗われるよう。あたかも自分自身が解脱し無我の境地にでも達したかのような錯覚を覚えます。この曲を作った時のイーノは29歳ぐらいなんだけど、ほんと凄すぎる・・・。

「YOU TUBE」 で聴けます。

2.BRIAN ENO / ON SOME FARAWAY BEACH '74 「HERE COME THE WARM JETS」

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鬼才ブライアン・イーノのファースト・ソロ・アルバム収録曲。当ブログではポップに拘って曲を取り上げているので、イーノの曲は無縁に近いのですが、個人的には大好きなアーチスト。環境音楽時代もいいのですが、初期のボーカル入りソロワークも甲乙つけがたいぐらい大好きです。特に「Another Green World」収録の「I'll Come Running」、以前 セレクト大会 でも取り上げた「Golden Hours」や「Before and After Science」収録の「Here he comes」、「By this river」、「Spider and I」などはどれも最高!イーノの体温の低い、人間離れした、俗世離れしたヴォーカル、メロディ群の隔世感は尋常ならないものがありますね。その二枚のアルバムと比べると大部地味なイメージのある74年の 「HERE COME THE WARM JETS」。先日久々に聴きかえしてみたら、ぬわんとウォール・オブ・サウンドがあるではありませんか。イーノで音壁?って意外過ぎですよね。上品なピアノの音色をベースに、荘厳な雰囲気を醸すコーラス。やはりどこか非日常感の漂うメロディの後ろでは、エコー感のあるドラムが転がりまくります。静かな出だしから徐々に盛り上がっていく展開もドラマチックですが、僅かながら人間臭い暖かみを感じさせるところは若かりし頃の未完成なイーノって感じですかねえ。

「YOU TUBE」 で聴けます。

3.BRIAN ENO / GOLDEN HOURS 「ANOTHER GREEN WORLD」(ILPS 9351) '75

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環境音楽の巨匠ブライアンイーノがそれに走り出す前に放った俗世離れも甚だしい奇跡の一曲。Robert Frippのギターも素晴らしいですネ。イーノのこの体温の低さは一体なんなんでしょう?また、彼の目にこの俗世は一体どのように映っているのでしょうね、、、。「ANOTHER GREEN WORLD」というアルバムタイトルも良ければ「GOLDEN HOURS」というタイトルもいいですねえ。(セレクト大会のコメントより抜粋)

4.JOY DIVISION / THE ETERNAL 「CLOSER」(NPCR-75048/FACD25) '80

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「永遠」というタイトルに相応しくどこか時間軸から外れた死後の世界へでも連れていかれそうな感じがあります。NEW ORDERの前身バンドの放った死線ギリギリの一曲。ヴォーカルのイアンカーティスはこのレコーディング後間もなく自殺しました。(セレクト大会のコメントより抜粋)

5.PABLO MOSES / MUSIC IS MY DESIRE LP「A SONG ('80)」収録

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岩谷宏さんが聴くレゲエとはどんなものだろう?彼が稀にレゲエについて言及する時、よく想像したのがこのことだ。なんせ固い文章を書く氏のことだ。能天気なレゲエなどとうてい聴きそうもない。更に彼のセンスや音楽的嗜好を考慮し、いつも唯一思いつくのがこのPABLO MOSESだった。驚異的な体温の低さ、その冷めたボーカルと厳しい視線、淡々としていながら強い意志を感じるところは両者に共通する。この「MUSIC IS MY DESIRE」という曲は、PABLO MOSESの楽曲の中では珍しく、ちょっと洒落たエレピ?が導入されているのが非常に大きな特徴だ。時折入るチープなオルガンの音も効果的。ミディアムテンポで流暢なリズムにのって歌われるのは、あくまでも体温の低い淡々としたPABLO MOSES節だ。これが見事にマッチして摩訶不思議で、かつ絶妙な音空間を作り出している。

6.BELLE & SEBASTIAN / THE STATE I AM IN '96 「TIGERMILK」収録

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スコットランド/グラスゴー出身のギターポップ・バンドの1STアルバム収録曲。明るく元気という曲ではないけれど、きれいなメロディを持った名曲。囁くようなボーカルのアカペラで始まり、しばらくは柔らかなギターのみが伴奏を務める。そこまでの両者のコンビネーションが曲全体に物静かで繊細なイメージを与えている。そこから徐々に他の楽器も加わり徐々に盛り上げていくんだけど、内省的でナイーブそうな歌声はそのままにグルーヴ感が増幅されていく様は見事。そして抑制の効いた歌声のまま迎えるサビのメロディは、甘く情緒的な込み上げ系。この淡白ながらも情緒的というコントラストが実に素晴らしいですね。 「YOU TUBE」 で聴けます。

7.FIELD MICE / IF YOU NEED SOMEONE '89 「Where'd You Learn to Kiss That Way?」収録

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訳して「野ネズミ」というグループ名は日本人の感覚からいうと???ですが、この曲で聴ける繊細で、思慮深さを感じさせるところなんかがイギリス人の「野ネズミ」に対して持ってるイメージなのかなあ。明るくポップな曲ではないですが、体温の低い、感情を押し殺したようなボーカルに、高原に吹く冷たく爽やかでちょっと湿り気を帯びた風のようなバックサウンドが独特の音世界を作り上げています。メロディも適度な甘みとほろ苦さが同居する大人向けのビターチョコ的味わい。

8.Constantin Veis / In 2000 Years From Now When We're All Still Around (2014)



1985年に高評価のネオアコ名盤を発表したFantastic SomethingのCONSTANTIN VEISによる2014年のソロアルバム「The Glamorous Life Savers "Resurrected Elsewhere"」収録曲。落ち着いた静かで浮遊感のある曲調と、繊細できれいなアコースティック・ギターがキラキラと輝くサウンドは、サイモン&ガーファンクルを彷彿とさせる。淡泊な印象ながらメロディメロディが秀逸で、かなりキャッチー。中盤から徐々にリズムが刻まれるようになり、後半からはしっかりとしたドラムが入るバンド仕立てとなり、ギターの煌めきも増して、かなりネオアコらしい雰囲気に。冷ややかながらも熱い想いが伝わってくるような情緒的なサウンドが実に魅力的です。

「2000年後の未来、私たちがまだここにいる時」を意味する歌詞は、悠久の時の流れを思わせ、スケールの大きさと哲学者のような思慮深さを感じさせる。歌声は内省的だけど「誰も死なない」などと歌われる未来は明るく希望に満ちた世界のようですね。個人的に2000年後の未来では、人類が宗教や迷信、占い、疑似科学といったオカルト的な束縛から完全に解き放たれ、高度に知性的で科学的な文明が花開いている世界を想像すると心が惹かれる。理性の光がすべてを照らす。この曲を聴くと、そんな未来文明を体験してみたいという気持ちになります。

「YouTube」 で聴けます。

9.Sinéad O'Connor / Streets of London 「Fire On Babylon」'94



1990年代を中心に活躍したアイルランドの女性歌手シネイド・オコナー(シンニード・オコナー)によるカバー曲。94年のCDS「Fire On Babylon」収録。オリジナルは1969年のイギリスのシンガーソングライターのフォーク歌手Ralph McTellで、1972年の再録音版がイギリスで2位とヒットしている。山下達郎SSBでは未オンエアだけど、かなりの人気曲でsecondhandsongs.comによると132曲ものカバーが存在する。個人的には1971年のMary Hopkin版が儚くか弱い女性ヴォーカルが妙味があり愛聴していたんだけど、最近Sinéad O'Connor版を聴き、より感銘を受けての取り上げです。シネイド版は極度に体温の低さを感じさせ、一聴するとまるでAI搭載のアンドロイドか何か人間でない者が歌っているかのよう。もちろんそんなことはない訳だけど、圧倒的な絶望により打ちひしがれた虚無感、しかし、その中でも垣間見える前向きな肯定感と優しさを感じさせ実に心に染み入ります。実際のところ歌詞もそのようなもののようで、その意味では歌手シネイドとこの曲の相性はバッチリだったと言えるのでは。シネイドのカバーにより、更に磨きがかかり輝きを増した名曲と言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。

10.Cigarettes After Sex / APOCALYPSE 「Cigarettes After Sex」(2017)



テキサス出身のロックバンドによるスロウコア名曲。(スロウコアとは1990年代にアメリカで生まれた、極端にテンポを落としたロックのスタイルで、静けさ、抑制、余白、淡い感情を重視し、派手な展開や大きな音圧を避けるのが特徴。)「Cigarettes After Sex」は、実質的にはリーダーのグレッグ・ゴンザレスによる音楽プロジェクトであり、本曲はその2017年のアルバムに収録されている。歌詞には、崩れ落ちる橋、都市が灰になる光景、海へ墜落するヘリコプターなど、終末(apocalypse)的なイメージが連続して登場するが、あくまで比喩として用いられ、過去の恋愛で深く傷ついた恋人が抱え続ける痛みを象徴する言葉として機能している。サウンド面では、遅いテンポ、深いリバーブ、モノクロームのような音像を背景に、中性的で囁くようなボーカルが淡々と歌い上げる。メロディもよく出来ており非常に魅力的。(本曲はスロウコアとして歌われているが、ギターポップやロックとしても十分通用しそうな完成度だと感じる。)テーマは恋愛だが、感情の起伏を排した冷静さ、適度に力の抜けた佇まいが終末的なイメージを増幅し、ブライアン・イーノにも通じる俗世離れした世界を作り上げている。

「YouTube」 で聴けます。

11.RICHARD HAWLEY / THE OCEAN 「COLES CORNER」(2005)



イギリス・シェフィールド出身のロック系シンガーソングライター、リチャード・ホーリーによる静謐な精神性を宿した内省的ロックバラード。2005年の4THアルバム「Coles Corner」収録曲。歌詞における「海」は、単なる風景ではなく癒やしや人生の向こう側を象徴する存在として描かれる。「あなたは私を海へ導いた」という言葉は、愛する者との別れや失われた時間への憧憬を思わせる一方で、悲しみを拒絶するのではなく、静かに受け入れていく精神的な旅路として機能している。終盤で繰り返される「波がやってくる」というフレーズは、避けることのできない時間の流れや感情の波を表し、個人的な悲哀を超えた普遍的な感覚へと広がっていく。リチャード・ホーリーの歌声は激情的に訴えかけるのではなく、長い年月を経た人物が過去を静かに振り返るような落ち着きがある。その抑制された表現が思慮深さを感じさせて素晴らしい。サウンド面では、深く施されたリバーブによる広大な空間表現が特徴的。ギターやボーカルは夜の海辺に一人佇んでいるかのような静謐な音響世界を形成している。空間的広がりを感じさせる大掛かりで荘厳なアレンジは、感情を過剰に表出することなく、内面へ沈み込んでいくような美しさを持つ。特に終盤の厚みのある展開は見事で抑制された中にも秘められた情熱と強い意志を感じさせる。

「YouTube」 で聴けます。










まだまだ続きます。

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