CHOSEN FEWと言えば「YOU MEAN EVERYTHING TO ME (POLYDOR 2058 661)'75」が多くの甘茶者が必ず一度はビリビリと脳天を痺れさせられる永遠不滅のスウィートソウル。レゲエでも甘茶ソウル系ラヴァーズカバーの多い「CHOSEN FEW」は同一グループと報じられることもあるが、それらの曲で聴けるものは大味で、マニアックな甘茶を好む愛好家にはチト物足りない内容。ところがこのイギリス製ラヴァーズロックコンピ収録のこの曲はラヴァーズロック、甘茶、双方のファンを満足させるであろう傑作となっている。
尚、「BRITISH LOVERS ROCK VOL.1 (LONDISC LORCD 030)」収録版は3分51秒ですが、12"シングル盤は5分35秒と後ろに長いバージョンになっています。
DENNIS BROWN / FOR YOU '88「INSEPERABLE」収録
ラヴァーズロックの最高傑作アルバムは?と聴かれたらこのアルバムと答える。So nice to be with you、For you、Inseparable、Rain、Since I've been loving youの5曲はどれも偏差値60以上の極上ラヴァーズだ。当たり外れの多いレゲエのアルバムにおいて一枚のアルバムにこれだけの名曲が揃うというのはかなり稀なことだ。(因みにこのアルバムに感動した私は急遽その前後のアルバムも買い集めたがどれもつまらない出来であった、よくある事です。) ここ
(ドイツ?のアマゾンだろうか?)で試聴出来るようです。発売当初のアナログ盤は左側のジャケットだったけど、最近は右側のジャケットで流通しているようです。
SUSAN CADOGAN / TOGETHER WE ARE BEAUTIFUL 「SOULFUL REGGAE」 '92(ARIWA ARICD080)
英国アリワサウンドからの傑作ラヴァーズロックアルバム。ソウル等のヒット曲のカバー中心なのでサウンドだけでなくメロディもしっかりとしてるのが大きな特徴。クレジットが無いから分からないのだが、もしかしたら私が知らないだけで全曲カバーなのかも知れない。中でもDionne Warwickのヒットで知られるバカラック作のSAY A LITTLE PRAYERはアリワの硬質なサウンドにより、聴き慣れてしまった元曲が新鮮に蘇った感じで良い。特に後半に接続されるダブは時折歌が入ることで聴き手のイマジネーションを喚起させる効果は大きい。MALACOのFern KinneyのTOGETHER WE ARE BEAUTIFULのカバーはレゲエの歯切れの良いリズムにうまい具合にフィットしていてしっぽりと甘く切なくいいムード。サザンソウルファンも涙の一曲だろう。やはりサザンのAL GREENのLET'S STAY TOGETHERのカバーもかなりレゲエのリズムに馴染んでいる。他にもEMOTIONS, LA LA AT THE END, ALWAYSの3曲はどれも情感豊かなメロディが楽しめて良いヨ。試聴は こちら
で。
PAULETTE TAJAH / BABY, BABY, MY LOVE'S ALL FOR YOU
「BREAKING THE BARRIERS WITH SOUND VOLUME ONE - CAPTURED BY THE VIBES / ARIWA ARTISTS(V.A.)」'88(ARIWA SOUNDS ARI LP 040)収録。甘茶ソウルと比べると、同じ甘めの黒人音楽でもいまいち糖度や胸キュン度に劣るラヴァーズ・ロックだけど、この曲の持つメロディの胸キュン度は、並み居る強豪甘茶にもひけを取らないものでしょう。というかクレジットが無いから分からないんですが、ひょっとしてこの曲ソウル・カバー?このコンピには他にも「SMOKEY ROBINSON / DAYLIGHT & DARKNESS」のカバーが入っていることだし、ソウル好きのMAD PROFESSORのことだから十分有り得ることなんではないかと。
KEITH DOUGLAS / YOU MOVE ME '85 「ROMANTIC NIGHTS / V.A.」収録
ベタなジャケットで「ROMANTIC NIGHTS A SELECTION OF 20 SONGS FOR LOVERS (CSA RECORDS CSLP 24)'86」なんてベタなタイトルの甘めのレゲエを集めたコンピに入ってる極上ラヴァーズ。KEITH DOUGLASはFASHIONなどのコンピにも収録されたりするおそらくはイギリスの中堅シンガー。この曲は非常にキャッチーで大味なメロディを持った曲で、当然どこかの白人のポピュラーヒットか何かのカバーなのかと思っていたのですが、クレジットを見るとどうやら自作曲らしい。もし本当だとすれば相当な作曲センスの持ち主ということにもなりますが、果たして、、、。
JCロッジの初期の名作のこのアルバムには「STALEMATES」他にも和めるラヴァーズが収録されていますが、まずはこのビージーズの67年のヒット曲のカバーを。検索してみるとかなり多くのカバーがあるようで、Sweet Inspirations、Eric Burdon & The Animals、The Lightning Seeds('98)なんてのまである。それだけ皆に愛されるエバーグリーンなメロディを持っているということでしょう。
彼女のバージョンでは特に際立って凄い部分がある訳ではないのですが、適度に力の抜けた唱方と声質、和めるラヴァーズなリズムが良いのです。サウンドも特に肩肘張ったところはないけれど中音域が心地よく響きます。彼女のアルバムは次の第三作目「I BELIEVE IN YOU」まではこうした和める平和な空気が流れていてどれもオススメです。
79年にイギリスの黒人シンガーの Maxine Nightingaleがヒットさせた曲
のラヴァーズロック・カバー。おそらく80年代初頭の作品で、ラヴァーズ・コンピ「RELAXIN' WITH LOVERS VOL.5 SANTIC AND MORE LOVERS ROCK COLLECTIONS」にも収録されています。オリジナルは哀愁を帯びたきれいなメロディをマキシン・ナイチンゲールが静かに繊細に歌いこんだソウル・バラード。大ヒットしただけあって流石のメロディラインですが、アレンジ含めて耳あたりが良すぎるのか、どうも引っ掛かりが足り無く何度か聴いてると早く飽きがくる感じ。
TOMORROW'S PEOPLE / GONNA TAKE A MIRACLE 「THIS IS LOVERS REGGAE VOL.2 '91(ARICD069)」収録
「The Royalettes / It's Gonna Take a Miracle '65」の英アリワ産ラヴァーズロックによるカバー。山下達郎が5回もオンエアしてる原曲はゆったりとした流れと大掛かりで優雅なストリングスなどが素晴らしい60年代の傑作ガールポップだけど、マッドプロフェッサーの手にかかったこちらは同じ女性ヴォーカルながらちょっとテンポアップしたもの。アリワ特有の硬質な味付けは兎も角いつになく流麗なリズムで、原曲を聴きなれた耳にはなかなか新鮮な雰囲気。適度なエコー感や細やかな装飾音、男性コーラスと女性コーラスを使い分けて使うなどのアイデアも面白い。「DUB YOU CRAZY WITH LOVE(PART2) / MAD PROFESSOR AND THE MAD MEN BAND (ARICD132)」にはこの曲のダブバージョンの「MIRACLES DUB」が収録されていて、そちらのエコー感やキラキラ感も素敵です。やっぱり原曲がいいからどういじってもいいという感じですねえ。甘茶ソウルには、TOMORROW'S PROMISE , TOMORROW'S EDITIONとTOMORROW'Sが付くグループには素晴らしい曲があるけれど、このTOMORROW'S PEOPLEもそのお仲間に入れてあげたいところ。
【 ラヴァーズ偏差値 64
】
BORIS GARDINER / GUILTY '82
86年の I WANT TO WAKE UP WITH YOU
の大ヒットで有名なボリス・ガーディナーの82年の甘いラヴァーズ。前者の先駆けとなったような本作もプロデュース、アレンジはWILLIE LINDOで安定のポップ感覚。メロディも前者同様で安っぽいラブソングって感じだけどキャッチーさと出来はなかなかのもの。いかにも大衆向けな内容だけどレゲエのリズムとポップなアレンジに載せてかなり心地よい。(逆にレゲエじゃなかったらちょっと甘ったる過ぎて聴けなかったかも)リゾート向け和みレゲエとしてかなりの戦力となること請け合いですね。
マキシ・プリーストの87年の2NDアルバム収録曲。それまでにない洗練されたポップ感覚溢れる85年の1STアルバム「YOU'RE SAFE」でいきなりレゲエファンを驚かせた彼は、究極のポップ・レゲエにして彼の代表曲 「SOME GUYS HAVE ALL THE LUCK 」
収録の3RDアルバム「MAXI」までは素晴らしくポップでしなやかな歌物レゲエを聴かせてくれどれもオススメです。
この「LET ME KNOW」も伸びやかでしなやかな歌物レゲエ。軽やかで洗練された高揚感のあるメロディは70年代ソウルのJOHNNY BRISTOL辺りからの流れを汲んでいるのかも。ASWADのDrummie Zebがプロデュースしていますが、ポップなアレンジは彼の手腕なのかな。後半に軽めのダブが接続されている12インチ版のEXTENDED VERSIONがオススメです。
IN CROWDのメンバーであるフィル・カレンダーの12インチ・シングル曲。軽やかな印象のピアノのフレーズで始まるラヴァーズロック。オルガンのチープで味のある音色ともどもお洒落でハイセンスな雰囲気がいい。タイトル部分を甘くファルセットで歌うサビもキャッチー過ぎるぐらいにキャッチー。そして一番の聴き所はAメロの「I WISH YOU ~」の箇所。起伏に富んだここのメロディの美しさと味わい深さと言ったら格別ですね。力の抜けたしゃがれたファルセットで軽く歌い流す感じも心憎いぐらいで洒落た感性を感じさせます。
AMBILIQUE / SHARE MY LOVE 「LOVES GOT A HOLD ON ME」
男性ヴォーカルが情感たっぷりに歌いこんだ泣きのラヴァーズロック名曲。おそらく90年代後半の曲でシングルカットはされておらず、オリジナルアルバム「AMBILIQUE / LOVES GOT A HOLD ON ME」及び「V.A. / REGGAE LASTING LOVE SONGS VOLUME 2」収録曲。
当ブログでは、既に 「SEND ME THE PILLOW YOU DREAM ON」
を紹介済みのイギリスのラヴァーズ・ロック・シンガーCYNTHIA SCHLOSSによるオールディーズ・カントリーのラヴァーズ・カバー。SEND ME THE PILLOWは1949年がオリジナルだったけど、この「AM I LOSING YOU」も、同じくオリジナル (Jim Reeves)
は1957年と古いカントリー。前者は兎も角、後者はさほど有名じゃない謂わばマニアックな曲だと思うんだけど、この選曲は彼女の趣味なんですかねえ。何れにしてもどちらも良い曲なうえに、更にそのカバーの出来が素晴らしいんですよねえ。WILLIE LINDOプロデュースによるポップなアレンジは、テンポも速くなりオリジナルよりもずっと聴き易い内容。レゲエの軽快なリズムに乗ってこの曲の牧歌的で甘く多幸感に満ちたメロディが、より活かされている感じ。シンシアは日本では全く人気が無い感じだけど、楽曲にも恵まれているのでもっと聴かれていいんじゃないかな。
J.C. LODGE / I BELIEVE IN YOU '87 「I BELIEVE IN YOU」収録
ここまで、1STアルバム「SOMEONE LOVES YOU HONEY」のタイトル曲、2NDアルバムからは、「TO LOVE SOMEBODY」と「STICK BY ME」を紹介してきたジャマイカン・ラヴァーズロックの女王、JCロッジの3RDアルバムのタイトル曲。上記3曲は全てカバーだったけど、この曲はオリジナルみたいですね。かなり良く出来た上質のメロディだけど、他の誰かがカバーしてる訳でもないのが不思議なくらい。曲はゆったりと落ち着いた雰囲気の大人のラヴァーズロック。どこか物哀し気なメロディだけど、悲観することも気負うこともなく、どこか達観し無我の境地に立ったかのような雰囲気が素晴らしいですね。JCロッジの甘くやさしい唱法も流石のもの。時代的にドラムの機械臭のする音が曲にそぐわないのがチト残念。
JOHN HOLT
のアーリーレゲエのラヴァーズ・カバー。83年のアルバム「The Very Best Of Ruddy Thomas」収録曲。このアルバムは既出の 「REFLECTIONS OF MY LIFE」
など大甘なラヴァーズが多数収録されているのでラバーズロックのファンだけでなくスウィートソウルが好きな人にも是非押さえておいて欲しいですね。今にして思えばこの頃のルディ・トーマスは神がかっていたので、もっとこうしたラヴァーズ・カバーを残して欲しかった。
曲は83年産ということで適度に洗練されたヒューマン・トラック。後の FRANKIE PAUL
や FREDDIE MCGREGOR
などのコンピュータライズドと比べると格段に聴きやすい。ちょっと憂いを帯びた甘いメロディに、浮遊感を感じる淡いトラック。ルディ・トーマスの甘くソフトな唱法でオリジナルを更に甘く、より上品な味わいに仕上げています。
AISHA / THAT'S HOW HEART ACHES ARE MADE '86 (ARIWA ARI-52)
当ブログではお馴染みのイギリスのアリワ・サウンド・スタジオ産のマッド・プロフェッサー製ラヴァーズ・ロック。86年の12インチシングルの他に名ラヴァーズ・コンピ「BREAKING THE BARRIERS WITH SOUND」シリーズのVOLUME 2 「RUBBING THE WALLPAPER」などに収録されています。
オリジナルは1963年のBaby Washingtonのヒット曲で、Marvelettes、Loleatta Holloway、Dusty Springfield、といった女性歌手や男性ソウルグループのDELLSやPaul Young、Jerry Butlerなど幅広くカバーされています。オリジナルは少し物悲しい雰囲気のある曲ですが、このAISHA版はポップなレゲエ・アレンジで明るめに変貌しています。可愛らしいシンセ音が鳴り響くアレンジは81年の Randy Crawford版
を踏襲していて、むしろランディ版のレゲエ・カバーといった方が正確かも。そのランディ版を更に冷やかに爽やかに、そして洗練された内容に仕立て上げたマッド・プロフェッサーの手腕はお見事という他ないですねえ。(そんな彼のセンスと技術にほれ込んだ幾つもの日本のアーチストが彼にプロデュースしてもらっているはず。)
コンピ収録版では後半にダブが接続されていて6分23秒と長く彼の音世界を堪能できる。特にダブ部分の空間(無音部分)を自在に使う手法は日本庭園や日本画といった古来からある日本文化に似通った雰囲気があり、それがアリワ・サウンドが日本で人気だった理由の一つでもあったのではないかな。歌手のAISHAは他にもアリワに DANCING TIME
というラヴァーズ良曲を残していてお勧めです。
ロックステディの名曲「I'm A Loving Pauper」で有名なドビィ・ドブソンの1967年の甘いロックステディ。本曲はそのB面になります。Loving Pauperほどキャッチーではないけれど、甘いメロディと優しい唱法はスウィートソウル・ファンにも受けそうですね。恋人との甘い日々を反芻するかのような、甘さとほろ苦さが混在するメロディが美味。レゲエ前夜、トレジャーアイル産のロックステディの質素で軽いリズム・トラックとの親和性も高い。全体として感じられる古き良き時代の純朴な南国の甘いラブソング感は暑い季節の避暑的音楽に適してると思います。
TYRONE TAYLOR / COTTAGE IN NEGRIL (NEW VERSION) '01?「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」
1983年の TYRONE TAYLORの自作曲
をCLIVE HUNTプロデュースにより再演したジャマイカ製ラバーズロック。2001年にVPから発売のオムニバスCD「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」に収録されている。音の感じからするとやはり2001年頃に製作されたものと思わます。何故オリジナル発売から18年後にもなって再演されたのかは不明だけど、かなりポップに仕上がっています。オリジナルは少し憂いを帯びた甘いメロディの心地よいラヴァーズで如何にもリゾートの町ネグリルのコテージが似合いそうな雰囲気。解放的なサビも悪くないけどAメロの込み上げ系で濃密なメロディが素晴らしい。再演版はリズムがテンポアップしアレンジも大部洗練され聴きやすく。そして何よりタイロン・テイラーによる表現力の幅が広がり、歌が数段魅力的になっているのが驚きです。てっきりフレディ・マクレガー辺りのカバーかと思ってしまいました。タイロン・テイラーは他にも既出の MEMBERS ONLY
もお勧めです。
元Techniquesのリードで後にソロとして活躍したパット・ケリーの1969年のシングル曲。オリジナルは1957年のJohnny Mathis with Ray Conniff and His Orchestraで、バックはストリングス中心でリズム隊の無い質素な内容。他にSonny James、Sam Cooke、Bobby Vinton、Billy J. Kramer with The Dakotas、Glen Campbell、Chi-Lites、Tammy Wynette、Chairmen of the Board、Bee Gees、アグネスチャン、Olivia Newton-Johnなど200以上のカバーが存在する人気曲です。感傷的なメロディに甘い歌声が映える曲ですが、オリジナル同様ほとんどリズムを感じさせない内容が多い。それらに反しパット・ケリー版は実にリズミカルで個人的にはこの曲のベストカバー。プロデュースはBunny Leeで初期レゲエ、ロックステディな内容。溌剌とした躍動感のあるリズムをバックに、しかし歌声は甘く切ない。この組み合わせの妙味もまたロックステディの醍醐味の一つですね。なお、パット・ケリー版のオリジナルは1968年版ですが、1969年にアレンジを変えて再発されています。瑞々しいオルガンなど加えてかなりポップな内容で後者がお勧め。(誤ってMAX ROMEO名義で印字されているので注意が必要)因みに曲名の「TWELFTH OF NEVER」というのは、「決して来ない12=この世の終わり」(まで君を愛す)という意味の模様。
HORACE ANDY & ERROL SCORCHER / COME ON & ROCK ME '80 「UNITY SHOWCASE」
歌手HORACE ANDYとERROL SCORCHERのDJによる1980年のショウケーススタイルのミニアルバム収録曲。 HeptonesのWe Are In The Mood
の変名カバーで、オリジナル歌手の LEROY SIBBLESによるセルフカバーRock Me Baby
も非常に良い出来(昔ジャパンスプラッシュで来日した時歌ってくれました)。「STRICTLY ROCKERS」P.89掲載曲で菅野さんは「ラバーズロック」として紹介しています。前半が歌で後半がDJとなっていますが、特に前半のホレイス・アンディの女性っぽいハイトーン・ヴォイスによる歌に味わいがありますね。元歌の良さと歴史的名トラックの出来栄えもありますが、のんびりした和み系レゲエとして実にいいムード。後半からDJに変わるのも一興で楽しい雰囲気ですね。
TYRON TAYLOR / MEMBERS ONLY 「REGGAE HITS VOL.3」(英JETSTAR)
ディープソウルシンガーBOBBY BLANDの代表曲のカバー。おそらく80年代後期の作品。ボビーブランドの歌はDEEP臭くて苦手という人もこちらのタイロンテイラーの軽やかなレゲエカバーならニッコリとなるか?でも歌声はDEEPですけどね。こういう泣き節な曲をあっさり軽めな雰囲気に出来るのもレゲエリズムのいいところ。それにしてもこの名前芸名だろうけど、いかにも歌えそうな名前ですネ。ディープソウルファンの鑑賞にも耐える歌いっぷりでオススメです。英JETSTARのコンピで聴けるが、「REGGAE LASTING LOVE SONG VOL.3 '03 VP RECORDS」にはアレンジがいまいちな別バージョンが収録されているので要注意。彼名義のベスト盤にどちらのバージョンが入っているのかは不明です。
GREGORY ISAACS / MY TIME '77
大御所シンガーのグレゴリー・アイザックスというと名曲 NIGHT NURSE
のような暗めの曲が多い印象だけど、この曲は珍しく明るい曲調。牧歌的なメロディが70年代のレゲエのリズムにもよく馴染んでる感じ。オリジナルはコクソン・ドット・プロデュースの1970年のBOB ANDYの初期レゲエで こちら
も悪くないけど、聴き比べてみるとグレゴリーの歌手としての力量を感じさせますね。彼にはもっとこうした明るめの曲を歌って欲しかった。ダブの接続されたロングバージョンよりも、サクッと終わる短いバージョンの方がお勧め。
既にこのアルバム収録の 「TO LOVE SOMEBODY」
も紹介済みだけど、JCロッジの和めるラヴァーズ・シリーズ第三弾ということで。売れ線になってからの彼女の作品に魅力を感じない人もいるかと思うけど、初期の彼女は素朴な味わいがありラヴァーズ歌手として一時代を築いたのではないかと思います。
曲はレゲエではお馴染みのヒット曲のカバー・バージョン。JOHN HOLT,DENNIS BROWNといったところのものが有名でしょうか。シングJスタイルの 「Johnny P & Thriller U」
のバージョンは明るくポップな内容で、毛色は違うけどこちらも私の大好きなバージョンでオススメ。オリジナルは62年の 「Shep And The Limelites」
みたいですね。JCロッジのバージョンはちょっとバックの機械臭が気になるけど、女性らしい甘く柔らかなヴォーカルが曲調に合っていると思います。
KEN BOOTHE / WALK AWAY FROM LOVE '78 (C.KRIPPS) PRODUCED BY LLOYD CHARMERS 「TROJAN REGGAE CHILL OUT BOX SET」収録
ソウルファンならみんなが大好きな「DAVID RUFFIN / WALK AWAY FROM LOVE」 。鳥肌ものの素晴らしいメロディが有名で山下達郎も既に3回もオンエアしてるね。で、こちらはそのソウル定番曲のカバーヴァージョン。レゲエのベテランシンガー、ケンブースによるこのカバーは8分以上もの長尺でその世界を楽しめるのが良い。もちろんデヴィッドラフィンの出来には足元にも及ばないが、この世紀の名曲をレゲエのリズムで長く楽しめるというところに意義がある。「WALK AWAY FROM LOVE」ファンなら是非押さえておきたいところ。他には甘茶ソウルグループChoice Fourが「I'm Gonna Walk Away From Love」というタイトルでやっている。こちらはリードにかなり物足りなさを感じるが、甘いコーラスやラフィン版同様ヴァイブの軽やかな響きはなかなか素晴らしい。他にはSmokey Robinson , Willie Clayton , Chuck Jackson , Marvin Gaye , The Temptations , Billy Griffin といった大御所たちもやっている模様で、是非全て網羅してみたいところ。でも一体誰がオリジナルなんだろう。