PR
Keyword Search
Calendar
Freepage List
○白い診察室
医者らしき白衣の男と対面して座っている天宮真美(21)。
付き添いで母Aと妹Aも同席している。無表情の医者。
真美「だって、オリンピック選手がみんな裸だなんて」
医者「で、変だと思う訳ですね。・・・これは問題です」
部屋の奥の自動扉が開き、青い光が見える。 (FO)
真美が『オリンピックの歴史』という本を読んでいる。
真美「水泳の水着性能合戦を起点にオリンピックの歴史の原点に帰り、選手は衣服の着用を禁じられ・・・」
窓の外から複数の女子高生の笑い声が聞こえてくる。真美が窓を開け、つぶやく。
真美「まただ・・・また、きっかり同じ時間。あの子達、何があんなに可笑しいんだろう。」
○真美が見おろす窓の外の小道
下校する女学生が整然と縦一列に並び、顔だけが満面の笑みで笑い、何かを話している。
真美心の声「最近どうも変よね・・・それともやっぱり、私の方が変なの・・・?」
○ 真美の部屋(夜)
真美がTVを見ている。TVドラマは、お決まりの勧善懲悪のストーリー。善が勝った時、近所中から、拍手の音が聞こえる。
真美「えっ、何?」
真美が、辺りを見回す。ドラマが終わり、お笑い番組が始まる。裏の家も同じ番組を見ている気配。大爆笑が聞こえてくる。
真美心の声「そんなに可笑しいかなぁ・・・笑いのツボが違うのかなぁ。そもそも、何で皆、同じようなデザインの服を着てる訳?何でみんな同じような髪型で、芸能人は顔がみんな似てるの・・・?」
○ ダイニングルーム
父A,母B、弟Aと、真美がテーブルに向きあう。
弟A「だって、流行だもの。当たり前じゃないですか」
真美「いっくら、はやりだって・・・」
真美心の声「やっぱり変だ。そもそも、私の弟は、こんな話し方してたっけ・・・?」 × 父A「真美は疲れているのじゃないかな。母さん、音楽でも聞こうか。」
母B「それは、いいわ。そうしましょう」
母Bが立ち、隣の部屋へ行く。音楽が流れ出す。唱えるようなラブソング。母Bが帰ってきて椅子に座る。真美以外の3人が、頷きながら歌に聞き入る。真美が怪訝そうに3人を見る。母Bが目を閉て歌詞に聞き入り、頷きながら言う。
母B「そうよ。そのとおりだわ」
曲が終わる。
真美「これよ。これが変なのよ。流行歌は、どれも、しつこい位に愛が何たるか、言い聞かせてる。いつから愛は弁じるものになったの?。愛は感じるものじゃないの?」
父A「真美、気を荒立てないで。どうしたのだ」
真美「だって、変よ、みんな!。クイズ番組見たって、みんな思考回路が一緒。ドラマだって葛藤がない。煙草を吸う人なんて、見た事ないわ。ニュースに写った街は、歩行者が、みんな整然と右側だけを歩いてる。TVに出てる人は、笑うか、突然怒り出す位しか表情がない!」
弟A「理解不可能です」
真美「でしょ、変よね」
弟A「いいえ、姉さんが」
真美「どうして。私の言ってる事、感じてないの?」
母B「真美、病院へ行きましょう」
父A「ああ、行くしかないな」
真美「みんな、変よ!」
真美がテーブルを叩き、立ち上がる。そして、立ちくらみのように、気を失う。
(FO)
○青い光の部屋
真美がベッドに寝ている。自動ドアが開き、男A、男B、男C、女A、女Bが入って真美を取り囲み、見おろす、男Aの顔のアップ。
男A「我々は地球温暖化を避け、地底に住みました」
女Aの顔のアップ。
女A「そうです。優れた人間だけが選ばれ、多くのルールを決めました」
男Bの顔のアップ。
男B「我々の先祖が地底に移り住んだ時、クローン技術を選択し、人口を増やしました」
女Bの顔のアップ。
女B「地表の人類が死滅して五百年、ようやく地球は正常な機能を取り戻し、我々は地表に出、見つけたのが、この人工知能を搭載した人型でした」
男Cの顔のアップ。
男C「この個体は自分を人工知能と認識していません。まさに、五百年前の人類のコピーなのです」
女Cの顔のアップ。
女C「地上に残ることを選択した人類は、『人道的』という、意味不明な理由でクローンを禁じ、『情緒的』という意味不明な特色を最も備えた人間を選び出し、その思考回路を、この人工知能にコピーしたのです」
男Aの顔のアップ。
男A「大変貴重な過去の人類の解析対象です」
女Aの顔のアップ。
女A「ですが、どの家庭に被験者として預けても、同じ反応を示します」
男Bの顔のアップ。
男B「こりゃあ、困った」
男Bが腕を組むと、全員が腕を組む。
女Bが突然笑い出す。
女B「こりゃあ、愉快だ」
全員が笑い出す。腹を抱えて笑う。