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2006年10月25日
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カテゴリ: 原子力
 こんばんは。

 長年原子力に携わってきた者としていつも非常に残念に感じるのが、いい加減な情報を簡単に信じ込んでしまう方が多い事であります。やはり、「原子力」や「放射線」は専門的知識が必要で、一般には理解され難いものなのでありましょうか。
「◎◎Bq」「○○mSv」 と言った一般にはあまり馴染みのない単位を用いずに、 「すごい量」「何倍」「いっぺんにレントゲン数十枚」 といった書き方をされると、一般の方には非常に凄そうに見えるのでしょう。

 事実関係よりも、「如何に平易な言葉で訴える事ができるか」が「信用できるか否か」の鍵を握っているのかも知れません。

「少しだけ真実を混ぜ、あとは嘘やハッタリで塗り固めるのが人を騙すうまい手段である。」 と言うのを、何かの本で読んだ記憶があります。


 しかし、騙されてしまう方を責める事など出来ないのであります。私も立場が変われば、ひょっとしたらコロッと騙されたかも知れないのですから。



 日本の原子力の黎明期からずっと安全性に関わってきた私の上司などは、私が渡したプリントアウトの嘘の部分に蛍光ペンで線を引き、(←色が付いていない部分の方が多かった(苦笑))「こんなものを気にするなんて、貴方は真面目すぎです。無視しときなさい。」と笑いながら話すありさま。(以前このブログでも触れました。)

 いちいち反論しても面白いのですが、それはそれでリスク(例: これ とか、 これ 。)が伴うようですし、やはり同僚の皆様の様に「無視する」か「笑って楽しむ」のが正しい反応なのでありましょうか。


 それでは、とりあえず「反論」ではなく「事実関係」を幾つかあげると致しましょう。。


  チェルノブイリとは全くの別物。そもそも両者は炉型が全く異なる。

 ・美浜の蒸気発生器の細管の太さは2mmではない。
  (ちなみに肉厚も2mmではない。)

 ・美浜は細管破断後、自動停止している。また、蒸気発生器細管破断時に
  事態の早期解決のために補助的に運転員の関与が必要なのは加圧水型
  軽水炉の仕様であり、職員の錬度とは関係ない。

 ・女川や福島第一の地震による自動停止は耐震性とは無関係。
  炉内構造物の間隔変動による中性子量増加を炉内計装が拾ったものであり、
  停止は正常な動作。ただし、簡単に自動停止してしまうのは安全面ではなく
  むしろ発電効率の面で問題と判断され、数年後に「振れない」対策を実施済。

 ・炉内へ混入した針金1本がチェルノブイリ級の事故になることはありえない。
  万一燃料が破損したとしても、炉水などのヨウ素濃度を監視しており、検出
  が可能である。

 ・原子炉解体については、1996年当時、既に国内外でロボットを使った解体
  実績がある。現在は海外で100万kWクラスの実績もある。(ただし、問題は
  解体した廃棄物のごく一部、高線量の廃棄物の処分場所が決まってない事)

 ・海水には(水道水にも)元々トリチウムが含まれており、発電所から海へ
  放出されるトリチウムを含む海水の濃度はこれらと有意な差はない。

 ・日々の被ばく線量については、管理区域入域時に携帯する線量計に常時
  表示されており、本人が線量計を付け忘れた(または故意に外した)場合
  を除き、「本人が線量を知らない」などという事は(1996年当時から)
  ありえない。

 ・個人の被ばく線量の履歴は1970年代後半に放射線業務従事者登録制度が
  できてからは国で一括管理されており、もしその手帳を無くしても、
  従事者本人が申請すれば登録センターから直接入手することも可能。
  よって、「本人に解らない様に処理する」事などできない。

 ・発電所における1日あたりの最大被ばく線量は、通常は電力で自主的に
  1日1mSvで管理されている(炉内等の高線量工事では2mSvとすることも)。
  アラーム設定値はこれらより低く(例:0.7mSv)設定されるのが普通であり、
  電力によっては、これをさらに5分割し、1/5の線量(例:0.14mSv)
  毎に1回のアラームが鳴る様に設定している。

 ・胸のレントゲンは1回平均約0.1mSv。よって、アラーム設定が0.7mSvであれ
  ば7枚分、もし0.14mSvであれば1.4枚分にしかならない。


 さて、「反論」や「批判」ではなく、また業務に関わる機微な情報は廃し、殆どオープンソースから引っ張ってきた「事実」のみを幾つか並べてみました。これで私の所属する企業へ苦情電話が来るかどうか、反応を待ちたいと思います。

 某サイトの強制閉鎖後もバックアップを個人的に保存して下さっている妖精現実さんのサイトでは、 「パロディー原子力コンテンツが某サイト閉鎖の主要因ではないか」 と想像しています。
 しかし、私は「 反論文」掲載の占める割合がもっと大きいのではないかと 感じています。尤も、これは、私が某サイトの作者本人と個人的にメールをやり取りした際に感じた「感触」でしかありませんが。(メール本文を読めば殆どの方が同じ印象を持つと思うのですが、流石に二人でやり取りしたメールをここに転載する訳にはいかないですしね。)



 ある日、このブログがいきなり閉鎖されるようなことがありましたら、「圧力に屈した」と判断してくださいませ。

 Eyfie様。
 定検の時はお世話になりました。もし、この書き込みを読まれて修正すべき点がございましたらご連絡下さい。(当方のメールアドレスはご存知ですよね?)





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最終更新日  2006年10月26日 00時00分14秒
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