LOST RELIGION

LOST RELIGION

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

プロフィール

22-20s

22-20s

2005.08.23
XML
カテゴリ: 好きな言葉
昔、喫茶店で友人と話したことを思い出した。。。

『彼女のことが本当に好きになったんだね』

彼は遅いテンポで的確なことを言った。

僕は笑ってしまいそうになるのをこらえた。

『あいつのことなんて、知らなければ良かった。ずっと他人だったならよかったのに』

もしそうだったら、今後の人生を僕はずっと1人きりでも耐えることが出来たはずだ。

僕は胸の内柄がかき回されるような息苦しさを感じた。

彼女はなんてことをしてくれたのだろう。

僕の心に入り込むなんて、本当に酷いことを彼女はしてしまったのだ。



母と話してくれるなんて、妹と遊んでくれるなんて、

こんな僕にキスしてくれるなんて、抱きしめてくれるなんて、

罪深いにもほどがある。

それらの行為が後に僕をどん底に突き落とすなんて、彼女は気づかなかったのだ。

楽しい記憶や、嬉しい感情が、僕にとっては猛毒なのだ。

僕はもう弱くなってしまった。

猛毒のせいでもろくなってしまった。

これからどうやって生きていけばいいのだろう。

一人きりでいることが普通で当たり前のはずだったのに。

彼女が心に入り込んだせいで。

『馬鹿だなあ』



僕は意表をつかれて、普段、皆に馬鹿にされている友人を見つめた。

彼は遅い速度でゆっくりと語った。

『知らなければ良かったなんて、言わないでよ。素敵なことなのに』

『だって。。。』

彼は恥ずかしそうにうつむいた。



うつむいて真っ赤になっている彼の顔が印象に残った。

『僕の体験したことが、素敵なことだって。。。。。。?』

『うん、大切にするべきものだよ』

彼の声は確信で満ちていた。

『そんな馬鹿なことってあるかよ!何も知らないままの方がいいに決まってる!』

大きな声が出てしまい、店員がこちらを向いた。

波風の立たない平穏な人生はもう来ない。

僕は十年後も二十年後も、思い出しては胸をかきむしるに違いないんだ。

幸福であることがどのような状況なのかを知った。

そのせいで自分のみずぼらしさに途方にくれるだろう。

しかし、彼は動じずに答えた。

『僕は知りたいよ。君が感じている今の感情。生まれてから一度も、まだ僕は知らないんだ。今後、いつか僕もその病気にかかるのかな。そのとき、今の僕はなんて無知で子供だったのかって思うのかも。後悔して懺悔したくなるほどつらいのかも。でも僕はその感情を知りたいと思うよ。』

なぜかわからないが、僕は思わず泣きそうになった。

『きみの言うその感情は怪物と同じなんだ!胸の中で暴れだしても、どうにもできないんだよ!どうにも。。。』

『わかってる。でも、その怪物、僕の中に来てくれるなら来て欲しいよ。きみはその怪物を殺さないで。それは大切にしなくちゃいけないものだよ。』

『でも。。。』

僕は泣いていた。

そうだ、大切にしなくちゃいけないんだ。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005.09.03 12:28:08
[好きな言葉] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: