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2020.02.03
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テーマ: 読書(8283)
カテゴリ: 【読書】未分類
本のタイトル・作者


掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 [ ルシア・ベルリン ]
A Manual for Cleaning Women by Lucia Berlin


この本はどんな人におすすめ?

・アメリカのすこし古い小説の空気を味わいたい人
・「これ、何なんだろう」と受け止めかねる本に出合いたい人
・女性の短編小説が好きな人


本の目次・あらすじ

エンジェル・コインランドリー店
ドクターH.A.モイニハン
星と聖人

わたしの騎手
最初のデトックス
ファントム・ペイン
今を楽しめ
いいと悪い
どうにもならない
エルパソの電気自動車
セックス・アピール
ティーンエイジ・パンク
ステップ
バラ色の人生

喪の仕事
苦しみの殿堂
ソー・ロング
ママ
沈黙

あとちょっとだけ
巣に帰る


引用

彼女のそれまでの人生は毎日毎日退屈なレコードの繰り返しのようだったが、あっと言う間にレコードがひっくりかえされて音楽が始まった。マックスがそれを聞いて、わたしに向かってほほえみかけた。ほらね、愛する人(アモール)、僕らはいまB面なんだ。
「ソー・ロング」



メモ・感想

2020年読書:11冊目
おすすめ度:★★★★

何なんだろう、これ。
そう思いながら読んでいた。
紙に書きつけて破り取ったメモみたいな。
その世界は絶望に包まれ、冷ややかだ。
触れれば壊れるような、排気ガスの臭いがするモノクロームの世界。

アル中で子供たちをいっそ憎んでいる母、鉱山技師の父に連れられアラスカや北米、チリを転々とする日々、戦争、アル中の祖父と叔父、虐待、妹を溺愛する祖母、無関心と拒絶、矯正器具、上流階級の暮らし、信仰と学校生活、繰り返す結婚と離婚、アル中の自分、アルコール依存症の施設、刑務所、子供たち、死にかけている妹。

登場する題材は、同じ。
切り取り方を変え、何度も何度も、繰り返し同じ話をする。
それは脚色され誇張され、改変されているけれど、著者の自伝的な部分が多い。
半分くらいまでは読み進めるのがなかなか辛かったけど、後半はすんなり読めた。
この人の声に慣れるのに時間がかかるし、はじめは抵抗感があって、好きじゃないと思ったのだけど、読み終えたら「これは、この人にしか書けないな」と感じた。
何なんだろう。

解説で「予想を裏切る」と言っていた。
ここを、こういう持っていき方にして、こう終わらせたら綺麗。
でも、彼女はそうしない。
赦しや救いはもたらされない。容赦がない。
ぶつっと、コンセントを引っこ抜かれるみたいな感じ。
ノイズだらけのラジオが、ようやくチューニングがあったと思ったら、すぐにまた元に戻るように。

比喩や描写も独特。
夫が本を読み終えた端から破ってしまい、風の入る部屋に紙が舞って鳩みたいだったというところが、とても好き。

この本は、昼休みに職場で唯一本を読んでいる方がいて、その人にお勧めの本を教えてもらって知ったもの。
自分では選ばない本だから、こういう出会いも楽しい。



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最終更新日  2020.02.03 00:00:22
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