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2020.12.16
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テーマ: 読書(8283)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



アーモンド [ ソン・ウォンピョン ]
"아몬드" by 손원평

本の目次・あらすじ


頭の中に、アーモンドが2つ。
偏桃体とよばれるそこが、外部からの刺激によって感情を生み出す。
喜怒哀楽愛悪欲。
アーモンドが壊れた僕は、そのどれも感じることが出来ない。
母さんとばあちゃんが、目の前で殺された日も。

***


誕生日の日に暴漢に襲われ、祖母は亡くなり、母は眠り続ける。
ユンジェは一人、母の残した古本屋をひとりで守る。
毎日高校へ通い、店を開け、母の病室へ通いながら。
ある日、ユンジェは病院で「臨終の妻のため、失踪した息子のふりをしてほしい」と頼まれる。
それが、ユンジェとゴニ―――いなくなった息子、イスとの出会いだった。

引用


ばあちゃんの言葉を借りるなら、本屋は何千、何万と言う作家たちが、生きている人も死んだ人も一緒になって押し合いへし合いしている、すごく人口密度の高い所だ。でも本は静かだ。手に取って開くまでは、まるで死んでるみたいに黙りこくっている。そして、開いた瞬間から話し始めるのだ。ゆっくりと、ちょうど僕が望む分だけ。


感想


2020年読書:219冊目
おすすめ度:★★★★

2020年本屋大賞「翻訳小説部門」 第1位。
韓国でベストセラーになり、「社会派YA小説」と呼ばれているらしい。
たしかに、さらっと読みやすく、ラストに希望と救いのある感じが児童書(ジュブナイル小説)みたいだった。
そこが物足りない人もいるだろうけど。
少年と少年に、少女がプラスされるのが私的にはいまいち。

文章が瑞々しくて好みの文体だった。


本が出てくるお話が好き。
本屋さんや、古本屋さんや、図書館や、本を読むシーンが。
それは静かに寄り添ってくれる。
ここではない、別の世界を開いてくれる。

お母さんがユンジェに感情を教え込もうとするところが、すごく良くわかった。

私は後者だった。
たくさん本を読んで、たくさん人のまねをして。ひとつひとつ、刻みつけるように学んで。
ずっと自分が、世界にひとりだけ紛れ込んだ宇宙人のような気がしていた。
それか、宇宙人に侵略されたあとの、最後の地球人。
みんなの言葉を翻訳して、表情を読む。解読する。
正しい反応を返す。みんなのまねをする。
どうか、私が宇宙人だとばれませんように。

愛されて育った「共感」が出来ない少年と、不幸な生い立ちから悪の道を進もうとする「優しい」少年。
2人が出会い、物語が進んでいく。
韓国においてこの小説が持つ意味って、たぶん日本とだいぶ受け止め方が違うんだろうな。
競争社会、人を蹴落として、自分が勝ち残っていく。共感?そんなもの、したら負けだ。
生まれで、育ちで、その人の人生は決まってしまうのだろうか?


チューリップ・タッチ [ アン・ファイン ] ​​

思い出していたのは、児童書『チューリップ・タッチ』。
放火を繰り返す少女と、その少女の友人の物語。
「絶対に邪悪な人間なんて、いない」という帯を覚えている。


ピアノの上の天使(1)【電子書籍】[ 尾崎かおり ] ​​

ピアノの上の天使(2)【電子書籍】[ 尾崎かおり ]

読んでいる間ずっと、ゴニに誰かを重ねていて、誰なんだろうと思っていた。
ああ、バギーだ。「ピアノの上の天使」の。双子の片割れ。
落ちて行く。失われていく。そこに進むしかない、苦しみ。
ユンジェとゴニも、魂の双子みたいですよね。
そしてバギーの息子のネガが作中で言う台詞を、ずっとゴニが言っている気がしていた。
「あんたの頭を撃ってやる。あいつの頭を撃ってやる。そしてもう二度と、誰のことも愛したりしないんだ」
それは愛しているという告白で、誰かを愛したいという渇望だ。

ゴニは、作中ずっとそう叫んでいる気がする。
愛して欲しい。愛したい。
そして、ユンジェもそうなんだ。


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最終更新日  2020.12.16 18:00:09
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