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2023.01.21
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テーマ: 読書(8290)
カテゴリ: 【読書】家事

本のタイトル・作者



家事は大変って気づきましたか? [ 阿古 真理 ]

本の目次・あらすじ


第1章 家事とお金のままならない関係
 1 家事のムーブメントを加速させた『逃げ恥』
 2 家事代行サービスという方法
 3 「名前のない家事」とは?
 4 家事をやった気になっていばる夫
 5 本当に養っているのは誰?
 6 「マッチョな夫=羊飼い」説

 8 ケアとクリエイティビティ

第2章 「家事=妻の労働」になったのは昭和時代だった
 1 手料理には愛情が必要ですか?
 2 女性たちを縛る「家事=愛情表現」という思い込み
 3 根強く残る母性愛神話
 4 主婦論争が示したもの
 5 女中が必要だった時代
 6 農家の女性たちの生活改善運動

第3章 昭和・平成・令和 食事つくりの現場で
 1 「ていねいな暮らし」への愛憎
 2 男女の役割分担から脱出する

 4 時短料理はなぜブームになったのか?
 5 巣ごもり生活でわかった、自炊力という武器

第4章 家事を「大変!」にするのは何?
 1 カリスマたちが教える、片づけが秘める魔力
 2 お手入れしやすい住まいとは?

 4 「ひと手間」がわずらわしいのはなぜ?
 5 料理が苦痛になるのはなぜ?
 6 家事は一朝一夕には覚えられない
 7 グチを受け止めてくれる人はいますか?
 8 家族とライフスタイル

第5章 シェアするのは難しい?
 1 頼りにならない父親たち
 2 家事に“当事者意識”を持っていますか?
 3 大掃除は、家事シェアを日常化させるチャンス
 4 子どもに料理を教える
 5 平等な家事シェアは可能か?
 6 平等なシェアがゴールなのか?
 7 どうする?家計管理

第6章 ケアと資本主義
 1 『モモ』が描いたケア
 2 主婦たちの虚無感
 3 ケアとは何か?
 4 ケアを閉じ込めた家父長制
 5 資本主義のたくらみ
 6 私たちにできること

引用


家事の当事者意識が高い家族がいる人は、リーダーでも必ずしも負担は大きくならない。もしかすると、自分が見落としているところまで、家族が分担した家事をやってくれるかもしれない。あるいは、負担の大きさに気づいてフォローする、外注の提案をするなどしてくれるかもしれない。お互いがお互いのために助け合おうという意識が、何より大切である。


感想


2023年008冊目
★★★

エッセイ集みたいなものかと思ったら、ものすごい量の参考文献(巻末の参考文献リストの数!)を引用して「女の家事の歴史」から紐解いた一冊でした。
ドラマにもなった『逃げるは恥だが役に立つ』、一大ブームとなった土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(ちなみに著者はかなり辛辣に批判している)、昔読んで面白かった『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』、私がファンの時短レシピの山本ゆりさんも紹介されていて、「ほうほう」と思いながら読めました。

家事代行サービスが人気というのは「へえ」という程度に思っていたのだけど、ちょうど小学生の子どもが帰る時間にあわせてお願いする(子どもが不在の時間を減らし、おかえりと言ってもらえるように)という使い方は目からウロコ。こうして小1の壁を乗り切っている人もいるのか。

家事をやる人には当事者意識があり、管理責任者としての自覚がある、というのは納得。
家事シェアをすすめる中で「ほとんどやってもらっていなかったときより、しんどいのはなぜ?」という認識が生まれているのは、管理責任が生まれているから、というのも激しく首肯する。
これ、仕事も同じだと思った。
上記の引用部なんて、まさに仕事の管理職がそのとおりと膝を打つんじゃないか。

でも私、思うんだけど、結局いまのこの現状の問題を解決するには、「名前のない家事」問題とか、夫婦間の家事シェアとか、男性の育休取得とか、外部サービスを利用するとか時短家電を活用するとかじゃなくて、根本的な社会の仕組みの改革が必要で、それは何かというと「全労働者の労働時間を短くする」ということなんじゃないか?

誰もがケアを担うことが出来る(これは自分のケアも含めて、だ)時間をじゅうぶんに確保すること。
それがすべての解決策なのじゃないのか。

これまで家でケアを担っていた女性が外で働き始めて、夫と家事や育児を分担しようが、家事を省力化しようが、それには限りがある。
1日は24時間しかないのだ。
だから、女性活躍というならば(大嫌いだこの言葉)、それは男性型の働き方の見直しであるべきなのではないか。
「1日8時間(以上)働いていた人+家でケアをしていた人」を「8時間×2人=16時間」の世界にするんじゃなくて、もとの8時間を「6時間×2人=12時間」で増えたとみなすべきなんじゃないの?

出来ないことないと思うんだ。国が本気出せば。
だって一昔前は土曜日も働いてたじゃん…。それを週5日にしたわけでしょう?

私は今、基本的にフルタイムで働いている。
はっきり言って、余裕がない。
何よりも時間がない。
時間がほしい。

子どもには、時間というリソースが必要なのだ。
それがない。じゅうぶんにない。
はやく、はやく、はやく。
時計との追いかけっこ。

私は自分が好きなことを思い切りやりたい。
なんとかそれを1日24時間のどこかで捻出しようとすると、睡眠時間を削るしかない。
疲れ果てて朝起きられず、自己嫌悪に浸る。

でもどうして、こんなことになるんだ?
そもそもの前提に無理があるんじゃないのか?
それは、1日8時間+通勤時間が占める割合が大きすぎるからじゃないのか?

私は1986年生まれ。
つまり、男女雇用機会均等法が施行された年に生まれた。
それから40年が経とうとしている。
そろそろ、男女の枠組みを超えた抜本的な考え方の見直しが、パラダイムシフトが必要なんじゃなかろうか。

この本ではっとしたのは、家父長制が、公的な社会(男性のもの)と私的な社会(女性のもの)とを分けていたという話。
だから、「公的な領域」である「社会」へ女性が「進出」してくると、プライベートな身体性(生理、妊娠、出産、更年期)を持ち込めないがために、両立ができないと女性は退職していく。
神聖な職場、という言葉が意味するところがようやく飲み込めた。
公的な社会で想定される人間は、心身ともに健康である機械のような労働者だ。
そしてそれは、資本主義そのものである。
資本主義からの脱却は、ここにも繋がっている。

「お金の価値」は腐らない。
それが資本主義の問題だ、と前に読んだ。
だから金銭に換算でき、金が金を生む状況にある富める者は、蓄財により益々富む。
しかし、金銭に置換できない価値は、失われていく。
食べ物をつくること、誰かをケアすること。
コロナで浮き彫りにされた「エッセンシャルワーク」。
しかし誰よりも根源的な「価値」を生み出しているはずの彼らは、蓄えられない価値を生み出し続けるがゆえに、貧しいままだ。
お金にも賞味期限をつければ、社会が健全になるのでないか?という主張を読んで「そうか」と思った。

そして思った。
お金に賞味期限がついたなら、蓄えられないようになったなら。
そのときに最も価値がつくのは「時間」なのではないか。
誰しもが平等に持つ時間。

この本でも、ミヒャエル・エンデの『モモ』が引用されていた。
そこでは資本主義のように「時間主義」とでもいうような、時間泥棒が現れる。
彼らは、今ケアにかけている時間―――人生を豊かにしているようなちょっとしたやりとり、誰かを訪ねていくこと、気にかける暇―――を節約し、時間銀行に貯蓄するように言う。
そしてみんな、時間を銀行に預けてしまう。
世界は殺伐とした場所に変わる。

その逆のことがきっと、言える。
私達は今、時間銀行に自分たちの人生を預けている。
それを取り戻さなくちゃ。
1日8時間という労働時間は、強制的に天引きされる税金みたいなものだ。
その割合を減らして、可処分所得を増やす。
いつになるかわからないけど、きっと絶対、そうなると私は確信してる。

9時〜18時までを会社の勤務時間とする。
法定では6時間を超えたら休憩を与えないといけない。
とすれば、たとえば9〜15時の6時間勤務ってのもありだ。
そこに9〜16時で1時間昼の休憩の人とか、10〜17時で1時間休憩の人とか、そういうバリエーションでシフトを組んで、会社は1時間早く17時に終わらせる。
たぶんこれをやっても、仕事には大きな問題は起こらないんじゃないかと思う。

私がいつも思うのは、「みんなで休めば怖くない」だ。
年末年始、GW。
その時に働いてくれる人がいることはもちろん承知の上で、多くの会社が休みに入るこの時期であっても、社会は混乱なく動いている。
みんなで休めば怖くない。

あとは賃金の問題をどうにかしないといけないんだけど、ここをどうするかだなあ。
時間に最も価値をおく世界では、暮らしていけるだけのお金があれば、その余暇を「お金のかからないこと」に(ケアに)あてれば、問題はない…のだけど、「暮らしていけるだけのお金」が問題だ…。ううむ。
外食を自炊に、外注を自前に、置き換えるだけでその差分はお釣りが来そうな気もするのだが。

我が家の家事スケジュール


最後に、我が家の日々のルーチンを記録しておきます。誰かの参考になれば。

私…係長2年め。フルタイム勤務。通勤片道1時間弱。
夫…平社員。時短勤務(夕方30分)。通勤片道40分弱。
娘…小学1年。公立学童保育(〜18時)。
息子…年中。保育園(〜18時半)。

17:00
(夫)退勤
17:30 
(私)退勤
17:50
(夫)娘の学童のお迎え
18:00
(夫)娘と帰宅。
   洗濯物の取り入れと片づけ。パジャマなどの用意。
   朝私が研いでおいたお米をセットして炊飯。お風呂を入れる。
   掃除機のバッテリーの充電。朝私が掃除機をかける時間がなかったときは掃除機をかける。
   娘の学校のプリントや宿題、持ち物の確認。
(娘)歯列矯正のマウスピースをしながら、好きなことをする。
18:30
(夫)(娘)お風呂
18:30
(私)保育園お迎え
18:50
(夫)お風呂から上がり、娘の髪の毛を乾かす
(娘)お風呂から上がり、テレビを見る
18:55
(私)息子と帰宅、お風呂。
(夫)息子の保育園の荷物の片づけ、連絡帳の確認、補充
19:15
(私)お風呂を軽く掃除して上がり、洗濯物を回しながら夕食の用意を開始
(息子)お風呂から上がり、テレビを見る
(夫)息子(アトピー)のスキンケア
19:45
みんなでご飯
20:30
(私)英語講座を片耳で聞きながら皿洗い
(夫)洗濯物を干す(室内干し)
(娘)夫の横で宿題(音読と計算カード)
(息子)寝てしまっているか、遊んでいる
21:00
(私)英語講座を聞きながら歯磨き
(娘)歯磨き、歯列矯正のアクティビティ
(息子)歯磨き、トイレ
21:30
(夫)自室でフリータイム(23:00か24:00に寝る)
(私)アニメを1話子供と見たり見なかったりして寝る
   子供の横でYou Tubeの音声を片耳イヤホンで聞きながら寝ながら体操とストレッチ
   終わったら寝る(だいたい22:00)

〜朝〜

5:00
(私)起床。4:00に起きたいのに起きられないのが悩み。
   ラジオ体操などで身体を動かし、コーヒーを入れて7:00まで英語の勉強。
6:00
(娘)起床。歯列矯正のアクティビティをして、マウスピースをつけながらテレビを見るかゲーム。
7:00〜
(夫)(息子)起床。
(夫)自分と子供の朝食の用意(パンや昨夜のごはんなど)
   自分の弁当の用意(昨夜の残りに冷凍食品つめる)
   子供の検温と連絡帳の記入
   娘の持ち物チェック、水筒の用意
(私)布団をたたむ、身支度、やる気があれば夕食の仕込み。
7:40
食べ終わり
(夫)身支度
(娘)身支度
(息子)そこらへんで遊んでる
(私)息子の身支度と歯磨き、皿洗い、お米を研ぐ、掃除機。
8:00
順番に登校、出勤。
夫は息子を保育園に送っていく。

昔は何でもかんでも自分でやろうとして、ブチ切れてました。
私ばっかり!!!なんで!!!お前なんやねん!!!
で、やるのやめました。ほっとくことにしました。
あとは口に出しました。
「あとこれとこれとこれとこれやらなきゃいけない」だから「これやって」。

夫は几帳面な性格で、私は大雑把。
得手不得手も異なるので、得意分野をやるのがいいんだろうなと思います。
(夫は洗濯物をすべてどこに干すか決めてるタイプ)
まだ不満はあるけれど(特に私のほうが子供の寝かしつけを担当していて、かつ自室がないので、自分の時間と空間がない)、家事はストレスがだいぶなくなりました。

夫が時短勤務を取るまでは、私が時短勤務(夕方1時間)を取っていました。
私が係長になり、名目上は時短勤務だけど帰れなくなり、夫が時短勤務を取得。
今は、夫が学童のお迎え、私が保育園のお迎えを担当しています。

ここらへん、最初は夫も「なんで僕が」「男で取ってる人いない」とすったもんだありましたし、夫の上司に「奥さんに『自分だけ仕事してるとちゃうんやで』って言っといて」と言われたりしました。
でも結果的に、夫に時短勤務を取ってもらってすごく良かったです。
私は男性の育休取得なんてどうでもいい派(取りたければ取ったらいい)なんですが、それよりもその後仕事と並行して毎日何年も続く「お迎え」(時短勤務)を男性に取得させる必要があると思っています。
曜日で割るとか、そういうのでもいいから、お互いにそれをイーブンに引き受けたほうがいい。
あ、ちなみに送りは子どもがギャアアアとなっていても融通がまだ利くので、あくまでも「お迎え」の分担を推します。

うちの夫は、時短勤務をとってようやく「何が何でも仕事を切り上げて決まった時間に帰らなきゃいけないしんどさ」「短い時間で同じパフォーマンスをしているのに給料が削られる理不尽さ」が分かったと言っています。
それでようやく、「同士よ!」と呼べるようになった気がする。

たまに夫が残業で私が学童にお迎えに行くと、先生に認知されてないのでまず名乗るところから始めるんですが、「あら、今日はお母さんがお迎えなんですね」のあとに「夫婦で分担されていてすごいですねえ」としみじみ言われて驚きました。
そうなんだよね、まだ。

男どもに「お前ら当事者意識持てや!」と思うし、でもそれが出来ない社会のほうが問題だからそっちを変えないといけないと思う。
労働時間を短くすること。
それがひいては男女関係なくみんながハッピーになる解決策だと信じてるし、少子化も高齢社会も解決していくにはそれしかないんだと思う。
社会が変わらないなら、せめて制度として時短勤務をパパもママも取れるように。
私は、時間という資本を、人の世に返してほしい。



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最終更新日  2023.01.21 05:58:55
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