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2023.02.23
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テーマ: 読書(8559)

本のタイトル・作者



ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら [ 眞邊明人 ]

本の目次・あらすじ


第1章 グローリープロジェクト -ミッションが人を動かすー
第2章 テストプレイ指導 -合意可能領域を探れー
QUEST1軍議に参加せよ/QUEST2伏見城攻略
第3章 合併計画 -仮説と実行を繰り返せー
QUEST3岐阜城防衛戦/QUEST4木曽川の戦いを制せよ
第4章 内通者 -相手の立場で思考せよー
QUEST5 淀殿を説得せよ

LASTQUEST 関ヶ原の合戦
終章 旅立ち -自分という物語を紡げー

引用


仕事とは、生きるためではなく人を活かすためにやるものだ。


感想


2023年036冊目
★★★★

面白かった!
はじめタイトルから、時代トリップものだと思っていたら違った。
胸アツ展開のお仕事小説。
ふだん本を読まない人にもおすすめ。
私は活字にまったく縁のない兄に薦めたいと思った。

もしも徳川家康が総理大臣になったら [ 眞邊明人 ] 」と同じ作者の「ビジネス小説」。
ストーリーの中でビジネス書のメソッドを学べる一挙両得本。
前作も面白かったけど、この作品も面白くて、何よりストーリーテリングの部分が自然で、エンターテイメントとしても読み応えがある(ビジネス書云々を抜いても十分に成立する内容)ことがこの作家さんの魅力。


学生時代はソフトボール一筋で、ゲームは門外漢。
たまたま就職活動で「戦国大戦略」など歴史シミュレーションゲームで名高いゲーム業界の老舗である「グローリーゲームス」を受け、社長・司馬山凌の人間性に惹かれ入社をした。5年目で、現在は社長室企画部勤務。

2年前にゲーム業界のカリスマだった社長が急逝し、グローリーゲームスの業績は低迷の一途。
そんな時、副社長の多々良が人員削減を含む業務改善を提案。
彼は、人員削減を保留する代わりに、亡き社長の肝いりだったという「グローリープロジェクト」のテストプレイを大祝と経営企画室長の星に命じる。


さらには外科手術で脳にチップを埋め込めば、身体が不自由な人でもゲームの世界で自由にプレイできる。
秀吉亡き後の関が原の合戦を舞台に、軍師となり東軍か西軍の中心人物についていずれかを勝利に導くーーー果たして大祝と星は、ゲームの可能性を証明できるのか。
会社の未来は、ゲームの未来は、二人の手に託された!

という内容。どう?ワクワクするでしょ?笑

「四箱思考(表層→本質→対策→変化)」
「PREP(Point(結論)→Reason(理由)→Example(例示)→Point(結論)」
「ZOPA(Zone Of Possible Agreement(合意可能領域))」
「DESC(Describe(描写)→Explain/Express(説明)→Specify/Suggest(提案)Consequences/Choose(選択))」
「OODA(Observe(観察)→Orient(仮説・情勢判断)→Decide(意思決定)→Act(実行))」
 …変化する環境で各自が現場で考え即応(戦場での考えから生み出された)
「PDCA(Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善))」
 …変化の少ない環境で時間をかけ中央が精査(生産管理に使われた)

といったビジネス書のあれやこれやが図解で出てきて、こういった知識をゲームの世界での関ケ原合戦への交渉や対応に用いる。
それぞれの歴史キャラクターも魅力的で(名前の横にあらわれる説明書きの「いらん一文」が面白い)、私は歴史苦手なんだけど、こういうゲームならやりたいと思った。

これから拡張現実はどんどん広がって、一方で肉体が疎かにされる(ただの入れ物とみなされる)のではないかという危惧も私にはあるのだけど、逆に言えば肉体という檻に閉じ込められている人(『潜水服は蝶の夢を見る』)からすれば、それは解放でもあるのか。

この小説は「仕事とは何か」ということを何度も問いて、またいろんな人がそれに答えるのだけど、「会社は夢見る場所じゃなくて稼ぐ場所だ」ということを言われて、でも結局ゲームをプレイすることを通じ、主人公のみやびは、ゲーム会社であるグローリーゲームスは「未来を創造する場所」だと気付く。
創業者の司馬山は言っていた。人生は物語、仕事は物語、すべての人間は物語を持つ。「物語のある社会をつくるためにゲームはある」。

すべての人がゲームの世界でコミュニケーションできる未来。

一人では到達できない場所へ行けるのは、一緒に働く仲間がいるからだ。
本当は会社って、そういうところなんだと思う。
働くことは、その一員になることなんだと。

これまでの関連レビュー


もしも徳川家康が総理大臣になったら [ 眞邊明人 ]



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最終更新日  2023.02.23 00:00:15
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