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2023.05.30
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テーマ: 読書(8290)
カテゴリ: 【読書】絵本

書名



あんなに あんなに (一般書 337) [ ヨシタケ シンスケ ]

引用



あんなにいろいろあったのに
まだたりない


感想


2023年115冊目
★★★

ヨシタケシンスケさんの絵本。
でもこれ、「子どもが巣立っていった親」に読んでほしい一冊。

あんなにちいさかった子どもが、いまではこんな。
過去のさまざまな思い出が蘇る。

最近、保育園や学童にお迎えに行った時、ぱっと顔を輝かせて飛び出してくる子どもが、自分の前もって想定している大きさより大きくて驚く。
毎日毎日家で会っているのに、毎日毎日驚く。

いつの間に、この子はこんなに大きくなっていたんだろう。


お風呂に3人で入るのが窮屈になってきた。

小2の娘は、もう立ったまま抱っこすることは出来ない。
座って抱っこしてもはみ出してしまうようになった。
漢字を書き、2桁の繰り下がりの計算をする(!)。

年長の息子は、自分で着替えをし、歯磨きをするようになった。
抱き上げるのが辛くなってきた。
保育参観に行けば、あの子がみんなと一緒に集団行動を(!)。

生まれたばかりのふにゃふにゃの、得体のしれない生き物。
ここはどこ?わたしはだれ?
なんにもわかってない顔で、宇宙人みたいな目で世界を見ていた赤ん坊。
あんなに、あんなに、手がかかったのに、大変だったのに。


彼らは走っていってしまう。
駆け抜けて、前だけ向いて。



映画「マンマ・ミーア!」の「Slipping Through My Fingers Scene」を思い出した。

息子と私の横を、3人乗りのママチャリが走り抜けていく。
先頭はお母さん。

あそこに乗っていたちいさな子たちは、大きくなって、自分で自転車を漕ぐようになった。
そうしてこれから、自分の力で、好きなところへ行ける。

お母さんの自転車の後ろを付いていく自転車は、1つ、また1つと減るだろう。
そうしていつか、お母さんはひとりでその自転車に乗る。
前と後ろには、スーパーで買った荷物を入れる。
その時に思い出す。

抱き上げて載せる時の重さが日に日に増していったこと。
泣き喚いて暴れてベルトを止めさせてくれなかったこと。
雨の日にカバーをかけると悪戯っぽく目を輝かせたこと。
自転車の座席で寝てしまい荷物を手に途方に暮れたこと。

あんなに、あんなに、小さかったのに。
あんなに、あんなに、一緒にいたのに。

彼女は夕暮れに一緒に歌ったうたを、ふと思い出して口ずさむだろう。
風の音にかき消されて、よく聞こえなかった競い合うような甲高い声。
あのとき聞き逃した言葉をもう一度ーー何度でも取り戻したいと願う。

通り過ぎていく自転車の後ろ姿を見送り、私は息子の手を握りしめる。
そうしていつかの自分の背中を見送る。

年老いた彼女は駐輪場に着く。自転車を止めて荷物を持ち上げる。
空っぽになった子どもの座席。

それでも、まだ、こんなに、こんなに、いっぱい。


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最終更新日  2023.05.30 00:00:16
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