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2023.07.05
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テーマ: 読書(8290)

書名



首取物語 [ 西條奈加 ]

目次


第一話 独楽の国
第二話 波鳥の国
第三話 碧青の国
第四話 雪意の国
第五話 消去の国
第六話 和茅国
第七話 波賀理の国

引用



「よく、わからねえ」
「人の暮らしというものは、似たような毎日のくり返しで成り立っているからな。それこそが、幸いのひとつの形なのだ」


感想


2023年145冊目
★★★


「小林系」さんという方。絵本の表紙も色々手掛けていらっしゃるよう。

・心淋し川 [ 西條奈加 ]
曲亭の家 [ 西條奈加 ]
六つの村を越えて髭をなびかせる者 [ 西條奈加 ]

の西條奈加さんの本。
竹取物語みたいな話?と思って読み始めたら、和風ファンタジーだった。

ふたりが旅する不思議な国々は、どれも映像が目に浮かぶよう。
私はなかでも「雪意の国」がいいなあと思った。

こういう雰囲気の話、大好き。
ぜんぜん違うのだけど、昔読んだ、宮部みゆき『ICO -霧の城- 』を思い出した。

記憶をなくした少年・トサは、ぐるぐると同じ場所を回り続けていた。

何巡かめで、トサは首だけの侍・オビトを拾う。
ふたりはともに旅をすることとなるのだがーーー。

なぜ、ふたりは記憶をなくしているのか。
トサが唯一覚えている名前・「おふう」とは、誰なのか。
オビトは、いかなる理由で首を斬られたのか。

それが不思議な国をめぐるうちに少しずつ明らかにされてゆく。

のだけど、最終章で「もう連載終わりやから全部詰め込みました!」くらいの勢いでばばーんと盛大に明らかになって終わるのがちょっと残念だった。もうちょっと小出しにしてほしかった。
「おふう」の名前が、まさかそれだったとは。

トサの過去は哀しかった。
「おれが生き延びれば、おれたちの勝ちだ」
弱き者は奪われる。
だから、生き残るために、奪い返す。

オビトもまた哀しかった。
殺して殺して殺して、その先に見た希望。
それを一瞬で奪われ、憎しみに捉われる。

最後にふたりは、波賀理の国に辿り着く。
そしてそこで、己のしたこととこれまでの旅路を秤にかけられ、問われる。
憎しみは、何よりも重いのか。
悔い改めることは、出来るのか。
ひとを赦すことは、出来るのか。

相手を憎むことは、相手を知らないことなんだろう。
愛は憎しみを乗り越えるのではない。
慣れ親しみ、馴染むことが、知ることが憎しみを超えていく。
ーーー反対に知ることで憎しみから逃れられないこともあるけれど。


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最終更新日  2023.07.05 00:00:17
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