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2023.07.13
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テーマ: 読書(8290)

書名



虹と雲 王妃の父が生きたブータン現代史 (ブータン・チベット仏教文化叢書) [ ウギェン・ドルジ ]

目次


黄金の重みのラマ
「意」と「口」の化身の家系が一つに
若きシャプドゥンの死
サン・チュコル・ゾンの火事
ギャンツェ、そしてカリンポンへ
シェカ・ダに引きこもる
家長で細密工芸の達人だった祖父

巡礼と行商の旅
タロの剣
「宝の丘」の歌声
ついに故郷へ
ノプガンでの十年
首都に店を出す
材木商になる
「至福の宮殿」でのロイヤル・ウエディング
神の鷲の飛ぶ地
黄昏の金色のかすみの中で

引用


だがどこへ行っても、私は自分の祖国ほどよいところはないと思っている。進んだ国をいろいろ見てきたが、やはり私はブータンを、そして自分がブータン人であることを誇りに思う。この国の風景、人々、文化を、私は心から愛している。


感想


2023年151冊目
★★★

ブータンにずっと行きたくて。

いつか来るその日のために。

これは、ブータンに行ってきた友人がオススメしてくれた一冊。
判型が…なにこれ?っていうくらいデカくて横長。巻物ですか?
そして歴史本だと思ったら、近代化の波に飲まれていくブータンの当時の様子を、3年間に渡って王妃がお父さんに聞いて書き残した回顧録でした。
もとはブータンの国語(ゾンカ語)で語られたものを、英語に翻訳。


ブータンはチベット仏教ドゥク(龍)派の「化身」(第17代座主、聖俗両面の長シャプドゥン・ンガワン・ナムギェルの転生者「意」「口」)による支配体制から、1907年にワンチュック家(元は東の地方長官)の世襲王政へ移行した。
王妃 アシ(王家や貴族の女性の敬称)・ドルジ・ワンモ・ワンチュックの、お父さんであるヤブ(父に対する敬称)・ウギェン・ドルジは、1925年生まれ。
お父さんの叔父さんは、ブータン最高位の転生ラマの1人であるシャブドゥン・ジクメ・ドルジ。
そして兄チョクレ・トゥルク・ジルメ・テンジンもまた、転生ラマの1人だった。
叔父は6歳で暗殺され(2代目国王による暗殺の真相はこの本で初めて明かされたそうで、ブータンでは長らくタブーとされていたそうだ)、一家は安息の地を求め各地を放浪する。
やがてブータンに戻り事業を興し、4人の娘を4代国王ジクメ・センゲ・ワンチュックに嫁がせる。

という一生が描かれた一大物語。

まずブータンの人の名前が難しすぎる。全然覚えられない。
途中で覚えることを諦めた。
どうしても「ん?」となるときだけ、巻末の家系図?を参照。
(ブータンは夫婦別姓であり、また「姓」がない。家族や兄弟に共通の要素もない。名前は完全に個人のもの。)

お父さんとお母さんの恋物語もあり、最初は取っ付きにくかったけど途中からは楽しく読めた。
「創作のネタにもなると思う!」と友人が言うように、なんかもうこれファンタジーなの?っていうくらいの世界観。
リアル『精霊の守り人』…。

宗教的文化的に「え、そうなんだ?!」という価値観がさらっと描かれているので、自分の当たり前が当たり前じゃないっていうことを思い知るよね。
はー、面白い。

外務省による「 ブータン基礎データ 」が概略をすっきりまとめてあって、ブータンについて知るにはおすすめ。

こういった伝統的な世界観が、近代化と西洋化の迫る中でどうなっているのかを知りたい。
またそこらへんの本も読みたいなあ。
ブータンと言えば国民の「幸福度」を目標に掲げている国として有名だけど、フィンランドやスウェーデンといった北欧の国が福祉大国で幸福の国とされているのと同様に、光を集めるそこには翳りがあるのだろうなと思う。

この本のタイトルは、『虹と雲』。
虹は、宗教的な場面でも何度も顕現するなど「うつくしく、尊いもの」の象徴であって、雲はそれを遮る障害の数々を意味している。
このお父さんは、それでもブータンは虹の王国なのだと言う。
自分の国を誇る。

日本は、恵まれた国だよね。
けれどこの国は、虹の国だろうか。


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最終更新日  2023.07.13 00:00:14
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