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2023.12.07
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テーマ: 読書(8291)

書名



この夏の星を見る [ 辻村 深月 ]

目次


プロローグ
第一章 “いつも“が消える
第二章 答えを知りたい
第三章 夏を迎え撃つ
第四章 星をつかまえる
第五章 近くて遠い
最終章 あなたに届け


引用


「現実的に進路を考えると、好きなことと向いていること、得意なことや苦手なことのギャップで苦しむ時もくるかもしれない。好きだけど、進学先や、職業にするのには向いていない、ということもひょっとするとあるかもしれません。だけど、もし、そちらの方面に才能がない、と思ったとしても、最初に思っていた『好き』や興味、好奇心は手放さず、それらと一緒に大人になっていってください」


感想


これ、良かったです。
私が思うに、今年の本屋大賞取ると思う。
かがみの孤城 [ 辻村深月 ]
に続き。

2020年、春。
コロナで緊急事態宣言が発せられたあと、なんとか学校は再開された。
でも卒業旅行もなくなった、部活の合宿も、コンサートも、引退試合もなくなった。
ねえ、今の私たちに何が出来るの?
今しかない、今の私たちをどうすればいいの?

男子が学年に1人しかいない東京都心の中学校に何も知らず入学した真宙。
長崎・五島列島で旅館を営む家族とともに風評にさらされている女子高生・円華。


ひょんなことから知り合った彼らは、自作の望遠鏡で星を見る「スターキャッチコンテスト」をオンラインで開催することに。
東京で、長崎で、茨城で。
コロナだから繋がった中高生たちは、それぞれの思いを胸に、同じ星を見上げる。

コロナの時の閉塞感や末法思想みたいなの、もう薄れて忘却の彼方にある。
うちは子どもがまだ学校に通っていなかったから、保育園が休みになった子ども2人が家にいた。

だからどちらかというと、いつもよりゆっくり子どもたちと過ごしたという記憶。

自分が学生だったとしたら、ありとあらゆる学校行事がなくなるなんてもう狂喜乱舞!だっただろうなと思う。
だから、青春を「奪われた」と感じる、おそらくそちらがマジョリティな学生の気持ちがわからない。
でもこの本を読んでいると、胸をかきむしりたくなるような気持ちがした。

コロナという、近くて、目に見えないもの。新しいもの。
星という、遠くて、目に見えるもの。古いもの。
その対比が見事。

北極星が時を経て変わっていくというのは知らなかった。
今から約三千年前は、こぐま座で二番目に明るいコカブが北極星で、五千年前はりゅう座のツバン、将来ははくちょう座のデネブが北極星になるんだそうだ。
未来永劫同じものなんてないんだねえ。

この小説には、大人(先生)も登場するけど、それがみんな魅力的。
好奇心できらきらしてる。
この本を読んでいて「好きなことを、好きなままでいてはいけないのか」っていうことを、すごく思った。
ただ好きでいること、は許されないのか。
許されるーーー誰に?
それを許すのは、自分以外にいないのに。

役に立つことじゃないといけないのか。
将来に有益でないといけないのか。
ただ好きだから、胸がおどるから、ときめくから、それは理由にならないの?

私もつい、考えてしまう。
「こんなことをして、何になるのか?」
ただ好きであること、の先に何もない気がして。
無意味で、無価値なことを一生懸命にやっている「無駄」な気がして。

誰に止められても私がやるであろうこと、やらずにはおれないこと。
息をするように自然にしてしまうこと。
それに理由がいるんだろうか。
好きだから、以外に。


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最終更新日  2023.12.07 00:00:19
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