.

2005/06/21
XML
カテゴリ: novel
「はい!これが番号です!」

担任の歯切れのよい声が教室に響き渡ると我先にと人が群がる。

群がる人に押しやられ、隅の方で自分が手にした番号と、黒板に張られた紙の、枠の中に納まる小さな番号を探す。

「8…8…8…」

必死に黒板の紙に目を凝らすがなかなかお目当ての番号は見当たらない。

ふと疲れた目を下げると、同じように前で必死に背伸びをしながら番号を探している女子生徒がいた。

「14…14………」

なぜか無性に気になって自分の番号を忘れて、俺は14を探し始めた。

「14…14…」



「すみません、あなたも14番なんですか?それ、私と同じなんですけど…?」

「あ、あった!って…え?」

必死に14を探していて、彼女の言葉が霞んだ。一瞬、体温が冷めた。

鼓動の高鳴りを必死に抑えると彼女の目を見た。名前も知らない人だ。

「あぁ…ごめん、なんか君が14番探してて、それが無性に気になって…」

これじゃあただの彼女のストーカーだ、自分の言葉に失敗を感じた。

そう思った矢先、彼女は肩を震わせて静かに笑った。

「わざわざありがとう!」

「ぇ…あ…いや…うん。」

彼女はニコッと笑うとそう言った。戸惑った俺はたて続けに失敗を繰り返していた。

恥かしくもあったが、なぜか落ち着いて、安心していた。



落ち着いた心に素直に、紙を指差して言った。

「あ!ほんとだ!やったぁ!一番後ろだ!」

小さく握りこぶしを作った。それを見て、何かが俺を微笑ませた。

その小さな彼女を見ていると、思わず体が熱くなるのを感じた。何か、変だ。

「8…8…あ!私の隣だ!」



いきなり彼女は小声で叫んだ。

「え…え?な…何が…?」

俺はさっきから相変わらずキョドってばかりだ。

「え、柴崎君、8番…でしょ?ほら、14番の隣にあるじゃん!」

「あ…ほんとだ。」

番号が見つかった事より、彼女が俺の名前を知っていた方が驚きだった。

同時に嬉しくも、違和感も感じた。

「あ…って、自分の場所、知らなかったの?」

小さく微笑むと俺の瞳を覗き込んだ。

「あ…うん。14番を探してたから…。」

すると、彼女は少し声を上げて笑った。

「はーい、番号見た人から席を移動してくださぁい!」

群がった人ごみは風に撫でられるかのように綺麗に散った。

俺も散ろうとした時、後ろから彼女が周りの音に隠れて小声で言った。

「よろしくね。」

「あぁ…うん。」

嬉しいのに何か…変なんだ。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005/07/06 09:12:35 PM
コメント(0) | コメントを書く
[novel] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: