once 62 冷水



部屋に入るなり、シャワーを浴びてからという朝子の主張を無視して、有芯は彼女をベッドに追い詰めた。

「ちょっと待って、汗流してからじゃないと・・・」

「後でいいよ。さっきも言っただろ、どうせこれから汗かくんだから」

「でも、ベタベタ・・・ん」

有芯が朝子の服のボタンを外しながら、首筋から耳の後ろまでキスをし、舌で愛撫しようとしたその時、朝子が有芯の耳元で囁いた。

「私が有芯を可愛がってもいい?」

「ん?・・・いいよ」

有芯が腕を緩めると、朝子はそこからするりと抜け出し、「やった! シャワーシャワー!」と、逃げていってしまった。

有芯はしばらくあっけに取られていたが、やがて苦笑して両手で髪をかき上げ、頭の後ろでくしゃくしゃにした。

「しょうがねぇなあ」

有芯はそのままベッドにゴロンと横になった。ふと、朝子がバスルームから首だけひょっこり出して自分を見ているのに気付き、彼は微笑んだ。

「どうした?」

朝子はにっこり笑い「有芯もおいで?」と言うと、色香を含んだ視線を投げかけた。

二人は服を脱がせ合い、全身に泡を塗りたくって互いの身体を撫でた。

「さっぱりするよ~」朝子は泡でモコモコの両手を有芯のわきに入れた。

「やめろよ、くすぐったいって」有芯は泡だらけになりながら、同じように泡にまみれた朝子を抱き締めた。

やがてキスをする唇が激しく求め合い、有芯は慌ててシャワーの栓をひねったが、二人の頭上から噴出したのは大量の冷水だった。

「きゃー!!」

「うわぁ!!」

有芯はまた、慌ててシャワーの温度を調節した。

「ごめんな」

「ううん」

朝子は頭のてっぺんから足の指先まで濡らしながら、有芯に抱きついた。鳩尾に彼女の柔らかい乳房を感じ、有芯は噴出するお湯を止めた。

「あれ、有芯・・・」

「おいで、朝子」有芯は驚いた朝子の手を引き、ベッドに押し倒した。




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