シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2008年09月23日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 さて、更に現代に近づくと、ゲーテが現れる。ゲーテを、ゲーテが創作した人物、つまりゲーテが主著に取り組んでいた60年間にわたって、彼の理想や努力、諦め全てをその中に体現させたファウストという人物に関連づけてみる。

 世界の謎に対する、より深い答えを求めて、認識の階梯を登りながら、ゲーテの豊かな人生を通して、その最奥の魂において、ゲーテの全経験が、今日出会うファウストという人物の中に凝縮されている。では、ゲーテ詩劇の文脈の中で、ファウストとはいかなる人物なのか?

 ダンテについては、彼が記述する人物を、彼自身が見た成果として思い描くことができる。ゲーテは、ダンテのような人物は何も見なかった。ゲーテは、ダンテが、その「神曲」について記述するように、特に厳粛な瞬間に特別な顕現があったとは主張しない。ゲーテは、彼が提示する人物に、内(精神)的に働きかけていたということが、「ファウスト」の至る所で示される。

 また、ダンテの元へと来た経験が、彼自身の一方的な手法だけで記述されたのに対して、ゲーテの経験は、個人的なものではないが、ファウストの客観的性格へと移し替えられた。ダンテは、最も親密で個人的経験を提示する。

 ゲーテもまた個人的経験をもってはいたが、ファウストの行為や苦しみは、ゲーテが人生において経験したものとは異なる。それらは、ゲーテが、自身の魂の中で経験したことを自由に、そして詩的に変容させたものなのである。

 ダンテが「神曲」と同一視されるのに対して、ゲーテを、ファウストと同一視するには、人類史上多くの文学史家を連れてくる必要があるだろう。ファウストは一人の個性だが、シェークスピアが創作した個性たちと同じ位、多くのファウストに似た人物たちを創作できたと想像することは不可能である。

 ゲーテが「ファウスト」の中で描き出した個性は、たった一度だけ創造できたものなのである。シェークスピアはハムレットの他にもリアやオセロ等々を創造している。確かに、ゲーテは「タッソー」や「イフゲーニア」も書いたが、彼らと、ファウストとの差は明白である。

 ファウストはゲーテではなく、基本的に誰でもある。ファウストは、ゲーテの最も深い憧れを体現しているが、詩に登場する人物としては、完全にゲーテ個人からは引き離されている。ダンテは一人の男、つまり、ダンテ自身が見たものを、提示する。ファウストという個性は、ある意味で、我々1人1人の中に住んでいる。この事は、詩がゲーテに至るまでに、遥かに進歩したことを示している。

 シェークスピアが創造した人物たちは非常に個性的だった為に、シェークスピアは、自身を創造人物たちの中に沈め、彼らの一人一人に際だった声で喋らせることができた。ゲーテは、ファウストという個性的な人物を創り出すが、ファウストは一人の個人ではなく、誰にでもあてはまる。



 これまで概観してきた道筋に沿った芸術の更なる進歩とは、以上のようなものである。より高次の世界の直接的、精神的知覚から出発して、芸術は益々大きく人間の内なる生活を捉える。芸術が最も親密に生じるのは、ダンテの場合のように、人間が、自身のみに関わるときである。





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Last updated  2008年09月23日 13時41分39秒
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自我の構成要素  
もうり さん

自我の構成要素を
語っている。
ホメロスが肉体(非個人性)
アイスキュロスが生命(想像力)
ダンテが心(人間一般)
シェークスピアが自我(様々な個性)
ファウストが霊我(客観的個性)
(2019年12月28日 01時31分15秒)

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