月の光

月の光

存在しない世界



はるか昔にしか存在しなかった

振り返ると分かる

そのありがたみ

今になってやっと理解できる

あの空間

「誕生」した瞬間にその世界は崩れた

音もなく、ひっそりと

後になってその世界が消えたことに気がつく

後悔してももう遅い

立ち止まることは許されないのだから

一体どこに向かえばいいのか

それすら誰も教えてはくれない

たとえ命尽きようと、まっすぐ進むしかない

しかしそれは何のため?

目指す地は居心地の良い世界なのか?

だとしたら、この不安はなんだ

進むごとに心にのしかかるこの不安

未来を考えるたびに重くなる

心まで捨て、進むことになんの価値がある

目的も何もないのに

今の自分にとって居心地のよい世界は過去

過去にしか存在しない

過去に向かって進むことはそんなに罪深きことなのか

誰もその答えは持っていない

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