7L3AEO Weekend Satellite

並三ラジオ

次は並三ラジオを製作します。グリッド検波+再生の6C6、低周波増幅の6Z-P1、B電源整流の12Fの3球構成です。先日作ったのは並四ラジオではなく、正しくは高一ラジオでした。並四ラジオは検波+再生、低周波増幅一段目、低周波増幅二段目、B電源整流の4球構成です。いつの日にか、日本で初めて発売された球構成の並四ラジオを作成しようと思います。となるとダルマ球ではなくナス球を使用しなければなりません。これはぎりぎり「ヴィンテージ・ラジオ」に分類される「エリミネーター」と呼ばれるラジオです。エリミネート=削除する=電池を使用しないで商用コンセントから電源を得ると言う意味です。更にいつの日にか正真正銘のヴィンテージ・ラジオをも作ってみようと思います。ヴィンテージ・ラジオは主にアメリカで使われていたラジオの分類で、3極管しか無かった1920年頃から1927年頃までに作られた物に使われる名称です。これは博物館クラスで、バラ部品から作るのはあまり問題は無いと思われますが、不動作品であっても完成品に手を入れるのは歴史的価値のある物にキズを付ける事になり、レストアもすべきでは無いと言う意見があります。バラ部品、不動作完成品、動作可能完成品とも持っていますが、不動作品をどうすべきか現在悩んでいます。ちなみにヤフオクでヴィンテージ・ラジオと称して戦後に発売された5球スーパーヘテロダインが大量に出品されていますが、あれは詐称ですHi押入れの奥にまだ未発掘の真空管があると思い探ったところ、珍管を発見しました。RCAのUX-200とRaytheonのBです。UX-200は検波専用に作られた球で真空度が低いソフトバルブです。しかしB電圧が15V～25Vと低く他の球とB電源を分けなければいけないので、1925年頃に少しだけ出回っただけで直ぐに姿を消したそうです。箱にフィラメント定格が1Aと印刷されているので、これはタングステン・フィラメントだと直感しました。試しに定格の5Vを印加したところ、下の写真の様に見事に輝きました。おそらく最後に点灯してから100年近く経過していると思われます。初期の真空管はエジソンが電球にもう一極追加して整流作用がある事を発見して以来、フィラメントは電球と同じタングステンです。当時は音量コントロールをAF段で行う事は無く(まだそういう概念が無かった)フィラメント電流をレオスタットで調整し、μを可変していました。その時に球の光り具合を目で見て定格電圧の5Vを超えない様に細心の注意を払ったそうです。実際、球の光り具合を見るためのベゼル(覗き穴)が付いているラジオもあります。大正15年の価格表では一球5円。今の貨幣価値では何万円でしょう？ 貴重な球を傷めない様に、なるべく低いフィラメント電圧で使用していたそうです。このUX-200は10年以上前のハムフェアのジャンク売り場で偶然見つけました。価格は確か5千円だったので、これはラッキーとは思いつつも「ちょっとまけてよ」と言ったところ「これは貴重な物なので価格は下げられません」と返ってきました。売主はこの球の価値を知らないと思われます。もし私がヤフオクに出品するとしたら最低でも3万円からスタートします。もう一つの珍球はRaytheonのBです。Bたった一文字で名称も珍です。これは極初期のエリミネーターに使用されたフィラメントを持たない整流用のコールド・カソード・チューブです。内部抵抗が高く効率が悪いので、後にAF増幅用のUX-112Aからグリッドを取っ去ったKX-112Aが、その後にはもっと大容量の両波整流の280が発売されたため、実際にラジオに使われた例は僅かです。フィラメントが無くても整流出来る原理を私は知りません。内部抵抗が大きいという事は電流が流れると発熱が多い事を意味します。当時、この球に触って火傷をした人がいたそうです。この球は2000年頃にヤフオクで落札しました。落札価格は憶えていませんが、その後、ヤフオクで見かけた事はありません。