ちゃむのバレエとオペラと海外TVドラマの日々
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作:アルベール・カミュ演出: 蜷川幸雄翻訳:岩切正一郎 小栗 旬、勝地 涼、長谷川博己、横田栄司、月川悠貴、廣田高志、新川將人、冨岡 弘、塾 一久、青山達三、磯部 勉、若村麻由美ダブルヘッダーで渋谷のシアターコクーンへ。私のお目当ては蜷川さんの演出だということと、「カリギュラ」という素材をどう料理するのかな?ということだった。今をときめく小栗 旬クンがについては、「まあ彼が主演でもいいけど」というノリで臨んだら、それは大きな間違いだった。どうも私は時流には乗れていないみたい。コクーン、いつになく熱気がすごかった。もともとの小栗クン人気の上に、どうも初演日の映像や取材がすでにマスコミにリリースされていて(主催者も上手だわ)、ほとんど裸身に近い衣装とか、彼の‘イッチャッてる’演技とかが‘チョイ見せ’されてるかららしい。一番前の席はオークションで数万円よ!と周囲の人たちが言っていた。あぁ、この熱気は、そういえば観客のほとんどが若い女性だということにも拠るんだわと気づいた次第。私はもちろん2階席で十分満足。周りの方々は同年代っぽい人も多かったし。結果として、この芝居は大層楽しめた。期待が裏切られなかった。カミュの原作とあらば、セリフをとうとうとしゃべる劇団四季風になるのかな・・・と思っていたが、そこは蜷川御大。舞台の上にネオンサインを持ってきた。場面設定やその場の人物の心象風景によって色まで変わる。カリギュラ=パンクの王、と設定したらしい。蜷川さんは自分のことを‘爺い’などと自虐的におっしゃるが、まだまだ感性が最先端だと思う。珍しく休憩時間にパンフを買って読んでたら、蜷川さん自身が「コンクリートの壁と鏡の中にネオンがダダーッと点いていて、そこに狂って目のすわったカリギュラがいる・・・最高にいいよなあ!って思いついた時はすごくうれしかった。(中略)こんな発想が浮かぶんだから、俺はまだまだ大丈夫だ。」とコメントしてた。そのとおりだと思った(笑)!そのシュールさと、視覚的美しさがが、あまりに私の好みにはまった。で、今回の成功要因のもう1つは言うまでもなく小栗クン。蜷川さんが発掘したとおっしゃっている。そういえば「ハムレット」のとき、フォーティンブラスを演ってた。そのときに、見た目はいいけど、声としゃべりがいま一つ、と思ったもの。で、蜷川御大がパンフでバラしているんだけど、藤原竜也クン(ハムレット)と井上芳雄クン(レアティーズ)と小栗フォーティンブラスの3人がハムレットをできるようにしておけ、とゆったおいたのに、井上クンと小栗クンはハムレットのセリフを覚えられなかったらしい。おまけに藤原クンの出来がとてもよかったので彼は忸怩たる思いのはず。だから小栗クンを主役として今度こそ引っ張り出そうとした、というようなことをゆってた。期待されてるのね・・・。小栗クンは発声はやはり精進してほしいな。大きな声を出すと、聞き苦しい声になってしまう。ちょっと絶叫するのかしら。だけど・・・圧倒的な‘華’を感じた。それもいわゆる‘花を背負ってる’系。舞台に立つだけで誰の目をも引き付ける存在感。顔立ちは日本的だと思うけど、セクシーさは際立つ。私が持っていた「カリギュラ」(カミュの創作した)のイメージそのもの。「狂った若きローマ皇帝」という権力者の持つ妖しさを、今の彼ができる最大限に表現していたと思う。女装も似合ってたし。皇帝が最後に鏡を割っちゃうところなど、「あぁ毎回割るんだな、蜷川さんの芝居ってお金がかかるのねー」とか変なことを心配していた私。カミュの原作と、脚色の少なそうな塩野七生さんの「ローマ人の物語」のカリギュラのところをもう一度読んでおこうと思う。
2007.11.10
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