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convientoさん
あの、万博駐車場の下見の帰り道、ペン太の通学路にある一本の大木。紫の実がたわわに生っていた。我慢できなくて、車を止めて、小さな斜面をのぼって、木の枝の手の届くところ、いくつかちぎって口に放り込む。
激甘!酸味が足りない。も少し赤っぽい実を採る。激ウマ!やはり甘みと酸味のバランスよね。でも、ドビーのお迎えの時間が迫っていた。目の前にこんなに熟れている実があるのに~。しかし、ここの道は細いのに交通量が多いので、こんな昼間は木にぶら下がるのもちょいと勇気がいる。かなり白い実もあるし、早めに「向こう」に採りにいかなくちゃ、と思った。
これが水曜日の話。
明日から雨だっていうから、今日はチャンスだな、と。本当は一緒に歩こうと思っていたのだけど、彼女の仕事が忙しかったみたいで、言い出せなかった。いつも、沖縄ランチをして、2軒隣のミスドでお茶をする。コーヒーを飲みながら、桑の実の話をした。
「食べたい!あなたも採りたいんでしょ?ドビーちゃんつれて行きましょうよ」
即決だった。
実が落ちてきて色がついたらマズイ、と一度家に戻って白いシャツをダンガリー(夫のお古=草取り作業用)に着替えた。彼女は高いところに手が届いたらいいから、と虫取り網を持って、私も手つきの籠と、念のためスーパーのビニール袋をもっていざ出陣。
車でドビーをVIPなお迎え。そのまま、直接緑地公園に向かう。ペン太いわく、通り道が道路から外れた公園沿いはずっと桑の木があるよ。公園の業者もノータッチらしい。大木となった桑の木がずらりと並んでいるのである。先日車を寄せた木は、この先、生活道路に面したところに一本だけ離れて残った木なのだった。
あるあるある。いい大人ふたり、無言でもくもくと籠に入れていく。時折口に放り込む。ときたま出る言葉は「美味しい~」「甘い」「甘すぎる」ずっと腕と首を上げ続けているので、だんだん痛くなってくる。口の中は紫。お互い舌を見せ合って笑った。ドビーは地面を触っている方がいいらしい。桑の実を口に放り込んでもあまり興味をしめさない。給食あと、とはいえ、別腹じゃないのかな。とにかく砂利遊びに忙しい。小一時間、大人二人は蜜集めにいそしむミツバチのように実を集めた。
半分こしましょう、というと、彼女は夫も子供たちも食べないし、私も今十分食べたからいらない、という。少しだけでも、というと息子の方は多分帰り道食べてるかもしれないから、と…。それじゃありがたくいただきます、ともらってきた。
20センチ×15センチ×15センチの四角い籠、3分の2ほど。かなりの実を採った。秤はドビーが壊してからこっち、ウチにはないので、体重計で量ってみたがよくわからない。多分1キロくらいあるかないか。こんなに摘んだのは初めて。ジャムというか、プリザーブというか、ソースに近いような。とにかく、かなりレモン汁を入れて、美味しく仕上がった。
冷めたらジャムの空き瓶につめようと思っていたのに、ヨーグルトと一緒にガバガバいれて食べる男二人、そのままスプーンを突っ込もうとするドビー、あっというまに鍋の中身がなくなりそう。瓶にいれてみた。ゼッタイ5つくらいになる、と思ったのに、2つ半。食い物の恨みは大きい。一瓶、彼女にお返しした。遠慮する彼女に「抗酸化作用のあるアントシアニンがたっぷりだから」の決め言葉で、すんなり受け取ってもらえた。
それにしても、たくさん採れた。いつもは両手に一杯くらいしかとらなかったが、それは行き当たりばったりで入れ物がなかったから…。残念なのは桑が大木で、上の方の実は全部鳥と蟻のもの、ということ。今日摘んだのだって、全体の1パーセントもない感じだ。これを食べられるのが通りすがりの小中学生、というのはいい。彼らも、こども時代の思い出の味は、この桑にちがいない。