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京都府の北のある市にアメリカ人♂と一緒に住んでいた頃の話です。っていってもアレですよ、じゃなくてアレじゃないですよ。ルームメートみたいなモンです。特別な関係なんてなかったんですって、ほんと。さて、ソレはともかくとして、住んでいたマンションは結構綺麗でまあ、いいところでした。そして、私達の隣には40代位の夫婦が住んでいました。そのアメリカ人によると、毎晩毎晩夜の営みの声が凄くて眠れないほどなんだそうです。私はそんな声は聞こえたことがないんですが、他の友人が泊まりに来たときも、その声がうるさくて眠れないというのですから、きっと大きな声だったんでしょう。耳のいい私が聞こえない理由はよく分からないのですが、まあ、純粋だったのでそういう声だとは分からなかったんだと思います。で、後一つうるさいことがあるんです。それは喧嘩・・・言ってみれば隣の夫婦は喧嘩しているか、夜の営みを楽しんでいるかどちらかなんです。同居人は「隣の夫婦は本能をコントロールできないのか?」といつもキレておりました。しかし、ナゼか私はその隣の夫婦に気に入られており、焼肉おごってもらったりしてました。実は、私、結構見た目が純朴な好青年なんです(苦笑)あ、そうそう、そこの旦那さんは土建屋の社長、で奥さんはいつもかなりセクシー(しかし、歳が歳なので見たくない)な服装をしておりました。で、ある日のこと、夜中に喧嘩がはじまったんです。いつもよりうるさかったように思えます。声の聞こえる方向からいうと、だんなが奥の寝室にいて、奥さんは玄関にいたようです。叫び声、怒鳴り声、物を投げる音などなど、まあ、派手にやってました。で、私は疲れたので寝ようと思ってたのですが、同居人が「いま奥さんのことを殴ってる。女性を殴るなんて許せない」とかいって切れてるわけです。私からすると、位置関係からして殴ってるなんてことはありえないので、ほっといて寝たかったのですが、どうも、このアメリカ人は正義感が強いらしく、きれたまま隣のドアを叩き始めました。ドアが開く奥さん倒れてる旦那酔ってる同居人は鼻息荒しコレが最初の風景で、次が「なんだ、お前らは関係ないだろ。」という旦那の声そして「なんでなぐる?」という同居人の声で、次「助けて、殺される」という奥さんの声そして『なんだ、殺されるも何も、奥さんさっきまで怒鳴りまくってたやんか』という私の心の思い。そしたら、旦那が同居人にきれて、同居人と対峙しておりました。その間奥さんはしきりに旦那がいかに悪い人間かということを私に訴えておりました。で、同居人VSおやじなんですが、やっぱり土建屋は強いですネ。しかも酔ってるし。同居人はじりじりと下がり始めました。すると、オヤジ突然後ろを向き、奥さんのあごにパンチ!何とか間に入って奥さんを逃がし、オヤジをどうにかしようとオヤジに話しかけた瞬間!オヤジ、同居人の首を鷲掴み!!ヤバイッス。マジでヤバイッす。同居人、興奮で顔が赤かったのに、今では恐怖で蒼白です。脂汗かいてます!とにかく、その場を収めようとオヤジに語りかけるのですが、オヤジは「お前はかんけいないだろ。オレはこの外人がきにいらねぇんだ」と取り合わないのです。そして、コンクリートの壁をこぶしで強烈に殴って「オレはお前をぶっ殺す!」と同居人に向かって叫んでいるんです。ヤバイ。かなりきてる。そこでワタクシ、一世一代の芝居に出ました。同居人(首つかまれて顔面蒼白)とオヤジ(酒によってて、ワケワカラン)の間に入って土下座。そして、頭を廊下につけながら、「XXさん、これ以上一歩もすすませません」(現在の感想:って、もう首つかむぐらい近づいてるんだからすすむことはないっての)「私も、日本男児として生きて参りました。その私が、こうして土下座しているのです!これ以上すすませることは出来ません!」(現在の感想:う、クセえ。芝居が臭すぎて自分で言ってて恥ずかしい)「私の同居人を放してください。日本男児がこうして土下座までして頼んでいるのです。私の顔に免じて、どうかこいつを許してやってください!」(現在の感想:「私の顔」ってどれほどの顔だよ。なんの社会的な地位もないじゃないか)すると、オヤジ、首から手を離し、私に向かって「おい、いいから立て。」というではないですか!私の芝居は大成功!!!そして、その後は、私、オヤジ、同居人の三人で、ナゼかその廊下に立ちながら語り合いました。そのときオヤジはしきりに壁を殴ったこぶしをさすっておりました。そりゃ痛いでしょ、アレだけの力でコンクリ殴ったわけですから・・・何とかオヤジの気持ちを静めて、寝ようと思っていた矢先、ナゼか今ごろになって、警察の登場!!警察官:「何かあったんですか?」(あったに決まってるだろ。あったからきてんだろ?」オヤジ:「あ、なんもないで」(何もないって、さっきまで騒ぎまくってたじゃないか)なんだかいやな予感がしたので、地下の駐車場に非難。すると、上のほうから「何もねぇ、っていってるだろ!」という叫び声・・・(汗)警察が私達にまた質問「どうしたんですか?」で、めんどくさいことはごめんなので、私:「いや、なんか夫婦喧嘩してたんで、こいつが止めに入ったんですよ。それだけです。」警官(同居人の血のにじんだ首を見ながら):「ご近所だから大事にはしたくないということですか?」私:「まあそんなところです」警官:「で、その、アノ二人は本当の夫婦なの?」私:「え、違うんですか?いつも一緒にいるので、そうだと思ってたんですが・・・」と話している途中、両脇を警官に抑えられたまま、オヤジがおりてきて、パトカー蹴りながら「オレはなにもしてねぇっていってんのがわかんねぇのか?」と叫んでおりました。すると警官がオヤジが警察みると興奮するので、ひとまず帰るが、なにかあったらスグ110番するようにといって、去りました。その後すぐ部屋に戻り、鍵を厳重に締め、布団に入ったのですが、誰かがドアを叩くんです。間違いありません、オヤジです。怖いのでそのまま無視していると、スグに収まり、オヤジは部屋に戻りました。いんやあ、怖い経験でした。それから隣のことを観察するようになったんですけど、来客がやばいんですよ。眉毛なかったり、入れモンはいってたり・・・。私は夫婦喧嘩なんて無視すればいいのにと思うわけです。でしかし、この話をアメリカ人ドモに話したところ口々に、「そのオヤジは許せない、絶対に奥さんを助けるべきだ」との反論。で、「奥さんだって、かなりのモンだぜ」っていうと、「女性を助けるべきだ。自分だったら間違いなくとめに入る」だそうです。おそらくこの正義感(おせっかい)がアメリカを戦争に駆り立てているのではないかと思いました。
2004年01月30日
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