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STAR、マガンディが履いていた赤と青のTMAC3。アディダスのデザインを一言で言えば、「野暮ったい」。技術、履き心地等は試した事がないので分からないが、箱のような外観を持つ格好の悪いアディダスのバスケットボールシューズには用はない。と思っていた。しかし、今回紹介するモデルだけは話が別である。デザイン、快適さ、技術、素材、パフォーマンス。正直に言うと、今までに持っていたアディダスに対する偏見が全てひっくり返る位大きな衝撃を受けた。何が凄って?では、今回もレビューを始めてみよう。
(このモデルはアメリカのフットロッカー系列限定で発売されたモデルです)
このシューズを見て最初に気付くのは、アッパーに使われている良質のパテント素材だ。表現が難しいのだが、見ている者を満足させる質感とでも言おうか。最近のAIRJORDAN 1 RETRO使われていたもののように、読者の中には、パテントレザーに対しアレルギー反応を示す人も多いと思う。私も同じである。通常のパテントにありがちな、コチコチに固まったレザーはまるでビニールのようであり、安っぽさの境地とでも言おうか、何の為に皮をコーティングしているのか理解に苦しむ。しかし、TMAC2のパテントレザーは違う。皮のコーティング剤の違いなのだが、TMAC2のモノはとてもシナヤカだ。「皮を強化する」という本来のパテントの基本に立ち返り、代償を払う事なしに、完璧にその目的を実現しているからだ。シナヤカ=強さとアディダスが定義した事が成功の理由だろう。旨い具合にコーティングされたレザーは、時として艶っぽい色さえも醸し出しているから驚きだ。
因みに、一番フォースがかかるつま先部分には、さらに耐久性のある、皮以外の合成素材が使われている。違った二つの素材を、ストライプというアクセントを旨く利用してここまで自然な仕上がり(ジョイント部分)になっているのも注目に値する。

素材と色の違いがシューズ全体の印象を大きく変えた一例が、このモデルだ。TMAC2は、2002年11月に最初のモデルが発売され、オールスターモデル、五輪モデルと3度に分けてリリースされた。このシューズの他に全部で五色ある。しかしその中でもこのカラーは渋さという点では際立っており、結果、人気もダントツだ。色が控え目で、どんなユニフォームともマッチするからだろう。日本では未発売だったこのカラーだが、もしアディダスが日本で正規販売する事があったら、日本の多くのフープスも初めてのアディダスを購入したのではないだろうか?そう思わせるだけの説得力がこのシューズにはある。

トレーシー・マガンディのゴがさり気なく縫い付けられている。本気のアスリートが必要とするのは、白ベース+一色と控えめな色だ。

ミッドソールがアッパーと一体になっている事が、シンプルな外観を作りだしている。この作りのトレンドはAND1からきている。
TMAC2には、アディダスが開発したテクノロジーがふんだんに組み込まれている。ここからはアディダスが蓄積したシューズ作りのノウハウを紹介していこう。
アディダスといえばTORSIONという程、TORSIONとアディダスの結びつきは強い。比較的長い歴史を持つTORSIONはアディダスが開発した独自の技術だ。靴底に前と後ろを繋ぐブリッジをつける事で足のヒネリを防ぎ、ケガ予防機能を提供するものだ。

そのTORSIONに改善を加えたものが、TMAC2に使われいる3D TORSIONになる。では、どこがどう三次元なのか、写真を見てみよう。

靴底にあるネイビーカラーのものが従来のTORSIONだ。踵と足の前部分を強度のプラスチック素材で固定する事で、足のひねりを防いでいる。3Dというのは、その固定を靴底に限定した二次元から縦方向へ延長した事で、さらに強度のサポートを提供した事を意味している。上の写真では分かりにくかもしれないが、サイドのミッドソール部分にもTORSIONが埋め込まれている。

ミドルソールと一体化したTORSIONブリッジは従来は面で行っていたサポートを、立体的に行う事で、サポート機能のさらなる強化を実現した。イワバ、コロンブスの卵的な発想だ。どのような時にこの機能が発揮するだろうか?簡単に説明してみよう。
バスケットボールの動きの多くは、足裏の全面をフロアにつけて着地する事は少ない。大抵の場合はフォアフットがフロア-との最初の接地面である。フォアフットがフロアにつくと、それにつられるようにリアフットがフロアに接地する。その二つの動作で激しい動きをサポートしている。しかし、疲れてきた時などは、その動作がスムーズにいかない場合がある。その瞬間、フォアフットとリアフットの方向にズレができる。こういう時がケガをする時になる。しかし、この3DTORSIONによって、動きは旨くコーディネートされ、そのようなズレは防がれる。このような方法によって、3D TORSIONはアスリートの足を怪我から守っているのだ。
実際に履いてみると3D TORSIONの効果が分かる。踵部分を中心に、TMAC2は安定感を感じる事ができる。このような感覚は、他のシューズにはないだろう。最初は、靴底の固定は、スピードの減速につながらないかと心配したが、フォアフットの部分は柔軟性が保たれているので、その点の心配は要らないようだ。TMAC2のような低いカットで、ここまでの安定感は、3DTORSIONのみが成せる業だろう。
このようにサポート機能とパフォーマンスを重視した設計を持つTMAC2だが、一つだけトレードオフがある。エンド-サーのトレーシー・マガンディのようなスピードプレーヤー向けに開発されたシューズであるため、TMAC2はかなりのローカットモデルになる。足首へのサポートは、下で開設するインナーブーツとこの3DTORSIONだけになる。多くのプレーヤーにとっては、TORSIONの持つ安定性で十分なのだが、足首に不安を抱えるプレーヤーにとっては、十分とは言えない。事実、トレーシーも怪我でシーズンをベンチで過ごすようになるにつれ、TMAC2のようなローカットモデルを履かなくなってしまった。
足全体を包み込むインナーブーツは、快適さが受け最近流行だ。特に名前はないが、TMAC2のインナーブーツにも大きな工夫が施されている。肉厚なメッシュ素材のインナーへ足を通そうとすると、最初、窮屈な感じを誰もが受けるはずだ。しかし、一旦足を通してみると、その不思議なまでのフィット感に、あなたはシューレースを結ぶのを忘れてしまうかもしれない。TMAC2のインナーブーツは、あなたの足全体を優しく(且つ強く)包み込む。インナーだけでここまでのサポートを提供するシューズは珍しい。

その秘密は、下の写真の赤丸の部分にある。通常の靴にも、このようなパーツがついてくるのだが、普通のものは、上下に分かれたインナーブーツのジョイントに過ぎない。靴内部でインナーが移動しないようにする為の施工だ。しかし、TMAC2の素材は、形状記憶の域を越え、それ自体で機能を果たそうとしている。見ているだけでは分からないが、一旦足を通せば、このパーツは一杯に伸び、インナーを強く締め付けてくるのが分かる。この締め付けこそが、靴を履いた時に得られるサポート感になる。通常のシューズのものと比べてみると、その弾性は3倍くらいの強度がある。但し、ここでも一つトレードオフが生まれる。あまりなフィット感に最初は足の一部として靴を認識しないレベルになるのだが、長時間の利用になると足が鬱血してくる。特に足の甲が高い選手などは、この影響が大きいだろう。

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