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マラッカの骨董品店で、店のおじさんに教えてもらわなければ一生出会うことがなかったであろう映画・・・それが「女衒」です(詳しくは こちらの日記を )。
古い映画だから恐らく観ることが難しいかな~と勝手に思っていたら、近所のツタヤにアッサリ置いてありました・・・。欲しいタイトルをピンポイントで狙うだけではなく、ときには棚をスキャンする行為も必要なのだなあ~と実感。
いやいや面白かった・・・。荒唐無稽に見えて妙なリアリティがあるなあ~と思ったら、主人公の伊平治さんは実在した人物で、この映画は彼の手記が基になっているんですね。日本史の授業では決して習うことのない「からゆきさん」のストーリーに触れられて、思わず知的好奇心が刺激されてしまいました。
明治後期から昭和初期のマレーシアで女衒として成り上がった村岡伊平治の半生がユニークな視点で描かれています。監督は今村昌平さんで、私が観たのは「 うなぎ 」と「 赤い橋の下のぬるい水 」だけですが、エロスをあっけらかんとした語り口で見せるという演出は共通したものがあると思います。
女衒というのは「主に若い女性を買い付け、遊郭などで性風俗関係の仕事を強制的にさせる 人身売買 の仲介業」(Wikipediaより)で、伊平治は「からゆきさん」と呼ばれる主に九州地方の貧しい家の出の娘たちを商っていました。
香港で貿易商になりたかったのだけど、妙な正義感を出して海賊に捕われている「からゆきさん」たちを助けてしまい、仕事がしたいという彼女たちに頼まれて娼館ビジネスを始めるというなりゆき。妙な一本気がある快男児の伊平治を緒方拳さんが熱演しています。
地 球の歩き方マレーシアを読んでいると、マレーシア全土に日本人墓地(現地でそのまま亡くなったからゆきさんのお墓)があるって書いてあったけど、それがこ れなんだ~と点と点が繋がる思い。いやしかしな~、そう遠くない昔に、貧困で売られた日本女性が東南アジア全域(アフリカ大陸まで流れたからゆきさんもいたらしい)でプロの娼婦をやっていたと思うと・・・ すげー時代があったもんだよなあ・・・ と驚くばかりです。従軍慰安婦のことは習ったけど、からゆきさんのことは大人になるまで全然知らな かったしなあ・・・。
それに、当時の日本人たちのたくましいことと言ったら・・・である。伊平治や内縁の妻しお(倍賞美津子)は中国語、英語、マレー語を操るマルチリンガルであり、外地でゼロからビジネス立ち上げて商売繁盛。21世紀のニッポンだって「これからはグローバル化の時代」なんて言っちゃってるけどさ~。 すでに遠い昔にグローバル化をなしえていたんじゃないかよ~! とも思う。
時代が変わり、「日本も国家とし ての体面を守らなきゃいけなくなったから、海外の公娼は廃止!」ということになるんだけど、「娘子軍(からゆきさんたち)を売るのがお国の為ばい!」と最後まで突っ走り続けた伊平治が、切ないけど、なんだか憎めずに味わい深いラストだった。しかも、ボルネオで子沢山マレー式生活、 ちょっと羨ましいぞ。
そうそう、劇中で伊平治としおが、マラッカでの娼館営業の許可をもらう為に中国人有力者の家を訪ねるシーンがありますが、そのお家がプラナカンハウスだった~。んで、茶器と急須がニョニャウェアでした。マラッカの骨董屋のおじさん、面白い映画を教えてくれてありがとう!
余談:劇中、からゆきさんがマレー人のお客と駆け落ちして逃げるというエピソードがあった。彼女たちがはマレー人がかける呪術のようなものにかかっており、それを防ぐためには、部屋の扉に豚の油(ラード?)を塗っておけ~と言うセリフがあったが、一体どういう意味なんだろうか?友人I、今度マレーっ子に聞いておいて~。
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