『内緒にしてくれる?』

『内緒にしてくれる?』

2006年03月22日
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カテゴリ: その後暦
挨拶がおざなりになるのを避けたくて手伝ってもらわなかった引越しも終え、数日後。


「何か持っていったほうがいいよね…お菓子とか」
高速に乗ってから彼が手土産のことを気にしていた。
「ん~どっちでもいいよ~。うちの母、そういうの気にしないしね」
最初は「そっか」と納得していた彼。
でも「やっぱり手ぶらじゃ、なんかなぁ」と高速を降りてすぐあるコンビニに入り、箱入りのお菓子を買った彼。

彼はスーツ姿ではなかったけど、心はすごく紳士的になってました。
(彼のスーツ姿を見たことなかったので見たかったのに~)



実家といってもしがない市営住宅(汗)…建物も古いし部屋の中も襖とか柱とか飼い猫のせいでボロボロ。その猫が去勢するまでの数年間スプレーしっぱなしだったこともあって、色々対策したとはいえちょっと臭いもある。
そんなところを彼に見せるのは恥ずかしいなと思ってたけど…この先ずっと一緒にいる人にそんなのを隠してもしょうがない、私が10年と少し暮らした家…やはりここへ呼ぶべきだと思った。


階段を上っていると、後ろで彼が足を止めて彼が咳をしてた。
「大丈夫?」そう聞くと、
「うん…ちょっと、緊張してるかも」
と彼が言った。

私としては、『家族と彼を会わせるだけ』だった…
こういうのは2度目ってのもあって…甘く考えすぎてた。
彼にとっては初めてのことで…彼が緊張しているなんて考えもしなかった。

「○○(彼)のことは話してあるし、だいじょぶよ」
そんな彼の姿がとても愛しかった。


扉を開けると母が立って待っていた。
私はいつもどおり軽く挨拶をして靴を脱いで部屋へむかった。
彼も私について来ると思っていたら、来ないので戻ってみると靴を脱がずに立ったまま
「はじめまして、○○(彼の名字)といいます。」と震えた声で母に挨拶をしていました。
母も挨拶をして、彼を部屋へ入るよう促した。


部屋へ入ると彼は「これ、つまらないものですけど…」とさっき買ってきたお菓子を差し出した。
「ま~、別にいいのに」と母。
そのまま彼も母も座って、彼が正式に挨拶を始めた。



そのときの会話、目の前で聞いてたのに…はっきりと憶えてなかったりします…(汗)



たぶん、母は「わがまま娘だから大変だろうけど、よろしくね」見たいなコトを言っていたかな…
彼もあまり長い言葉は言ってなかった気がします。

ただ、彼が母に私のことを
「大切にしますので」
と、
本当に小さくか細い声で言ってくれたのだけは、はっきりと憶えています。

一生懸命に探した言葉なんだろうな…
その言葉を口にするのにどれだけの勇気を振り絞ってくれただろう…
今こうしてタイピングしながら思い出すだけで涙がこみ上げてきます。
実際のそのときも、私は母と彼がこうして会うことができ、こんな挨拶を交わすまでに至った事に感激しまくっていた気がします。

それから少しだけ実家にとどまった後、彼の車で母と姉をアパートへ連れて行きました。
色々と部屋を見学した後、テーブルを囲んでお茶を飲みました。
なんでもない話をして…日が暮れる前に実家に送ることにしました。

とんぼ帰りしてアパートに着いた頃、姉からメールがありました。
「母が、心から安心したって。いい人だねって」
元結婚相手のときと違ってほっとする…と、後日母からも直接聞きました。
あまり長居が好きでない母と姉も、このアパートの部屋には「もっといたかったな~」って思ったそうです。


ほんの数日前には元結婚相手が別れの挨拶をした場所に、
今度は彼が挨拶をしに来た。
そう考えるととても奇妙な出来事。
そういう事になんの拒否反応も示さず、彼を彼として受け入れてくれた母や姉には本当に感謝している。

そして、頑張ってくれた彼。



彼と私の仲は、もう内緒ではなくなりました。








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最終更新日  2006年03月22日 19時00分02秒
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