★アカネのアノネα
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荻野目慶子が書いた今は亡き二人の監督との愛の物語(荻野目の言葉)。 今は亡きと言っても、この本が出た昨年秋には深作欣二監督は健在だった。 監督はこの本の出版を知って、ならばその前にと自らの癌を発表したと言われている。別れた愛人に自分の生死に関る重大事を勝手に喋られたらたまらんと思ったのだろうか。 で、この本だが荻野目の文章がうまい。構成も上手で余程優秀な編集者がついていたのだろうと思わせる。 前書きに当たる最初の6ページで内容をすべて語っている。本文はその内訳、理由付けといったところだけど、心情を隠さずに丁寧に語って、太宰治、ミラン・クンデラ他芸術家らの名前も出てきて彼女が勉強家で芸熱心であることが良く伝わってくる。 半分は好奇心で読み始めた本だけど、読み応えあり。単なる暴露本に終わらず、読んだ後どっしりとやりきれなさが残った。 一人の女性が20~30代のほとんどを不倫の闇のなかで過ごし、なぜこうも死の影に震えながら生きているのかと痛ましくさえ思えてくる。 疑問がひとつ。 二年半の付き合いだった河合監督とは監督の自死をもって終了するのだが、河合夫人に対して荻野目は好感を持ち、夫人の人柄を誉める箇所が何回も登場する。スキャンダルに身を隠している時、唯一心の支えが夫人の励ましであったとも。 反対に深作監督夫人については一行も触れていない。 そればかりか九年半にも及ぶ不倫関係を事細かく綴り、なれそめ、癌が発見された時のこと&その経過、二人で監督の故郷に遊んだことなど。それだけ喋ったら怒るよと言うくらい。 とくにこっそりと入院中の監督を見舞いに行き、その時監督が荻野目の買ったパジャマを着ていたとか。監督の家族への遠慮や気遣いは全然感じられないんだよね。九年半も続いた自信から?それとも深作夫人に挑戦?いつの日も喋るのは愛人、本妻は寡黙・・の条理。 不倫が悪いなんて常識的なこと言わないけど、大人の男女の行動はそれなりのリスクは覚悟の上じゃなかった? 荻野目自身本文の中で書いている。◇◇人と関係してゆくことには、何て大きなリスクを伴ってゆくのだろう。恋に落ちる時には想像のつかないような運命が待ち受けていることがある。人は結ばれてみなければ本当には判らないものだ。恋をする時にはそんな覚悟も必要であることを、私はこの体験で知った。◇◇ 聡明な荻野目が監督の死の直前にあえてこの本を出したってこと、理由はたった一つだと思うのだけど・・。 ~~~それはは読書論じゃなくなるから、また次回ね。
February 8, 2003
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