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「エリシャの働き(4)」
甲斐慎一郎
列王記第二、7章
イスラエルの「王の心は非常に複雑な気持ちでした。彼はエリシ
ャを殺すように命令した後、恐怖心を抱いたのか、それとも良い動
機によるのかわかりませんが、決心を変えるようになりました。す
なわち王は、宣告を下したことを取り消す目的で、自分のもとから
遣わした使者の後を追い、急いで出かけたのです」(A・イーダー
シャイム)。
一、主のことばを信じない王の侍従に対して刑罰を預言した
エリシャ(1、2節)
エリシャは、サマリヤが食料難と物価の高騰にあえいでいる時、
あすの今ごろ、サマリヤの門で、食料が非常に安く売られるように
なると仰せられた主のことばを告げました。しかし王が信頼してい
た侍従は、エリシャの言ったことを信じませんでした(1、2節)。
「そもそも神の約束はみな次のような二つのことを判断する試金
石となります。すなわち--私たちが信じる場合においてのみです
が--神の真実さの試金石であるとともに、私たちの信仰の試金石
です。まことにこの宣言は、これまで信じがたいことを預言し、し
かも信用を得ていた者が厳粛に主の名によって行ったにもかかわら
ず、この集まりの中に疑惑を表明した人がいました。実に信仰の試
験はここにあります。過去において信じたという信仰では不十分で
あり、信仰は常に現在の行為なのです」(A・イーダーシャイム)。
エリシャは、神の約束を信じない侍従に対して刑罰を預言しまし
た(2節)。神は、約束されたこと、そしてその約束を信じる者に
対して真実ですが、それとともに約束を信じない者に刑罰を加える
ことにおいても真実です。ですからエリシャの宣言を信じない侍従
は、預言の成就を見ることができても、その恩恵に浴することがで
きないのです。
二 逃走したアラムの天幕から物を持ち出して隠した四人の
皮膚病の人たち(3~8節)
町の門の入口にいた四人の皮膚病の人たちは、前後をサマリヤの
ききんと敵国アラムに囲まれ、進退窮まっていました(4節)。し
かし死を覚悟してアラムの陣営に行った時、有り余るほどの食料と
銀や金や衣服を手に入れました(8節)。「窮すれば通ず」という
諺のとおりになりました。しかしこれは偶然に起こったことではな
く、主がご自身の御名と栄光のために干渉の御手を伸ばし、アラム
を退散させてくださったからです(6、7節)。
三、悔い改めて、アラムの逃走を王の家に知らせた四人の皮
膚病の人たち(9~11節)
この四人の皮膚病の人たちは、同胞が餓死寸前であることを知り
ながら、銀や金や衣服を隠していたので(8節)、「良い知らせ」
を王の家に伝えなければ、「私たちは罰を受けるだろう」と言いま
した(9節)。これは「もし福音を宣べ伝えなかったら、私はわざ
わいに会います」(第一コリント9章16節)と告白したパウロのこ
とばと好一対の取り合わせです。
四、アラムの逃走を確かめて、その陣営をかすめ奪ったイス
ラエルの民(12~17節)
イスラエルの王は、この良い知らせを聞いた時、全く信じなかっ
ただけでなく、アラムの策略にちがいないと愚かな判断を下しまし
た(12節)。しかし王がひとりの家来の進言をいれて、アラムの陣
営を偵察させたので、それが事実であることがわかり、民はアラム
の陣営をかすめ奪いました。その結果、主のことばのとおりにサマ
リヤの門で、食料が非常に安く売られただけでなく、例の侍従は民
に踏みつけられて死にました(13~17節)。
五、エリシャの預言したことばのとおりに刑罰を受けて死ん
だ王の侍従(18~20節)
この出来事の終わりの部分には、故意にこの事件に関する事情が
再び記されています。神は、約束された祝福を与えることに真実で
あるとともに、神の約束を信じない不信仰を罰することにおいても
真実であることを示そうとしています。この二つのことは、イスラ
エルに対する教訓であるとともに、古今を通じてすべての人に対す
る教訓なのです。
拙著「ソロモンと王たちの生涯」29「エリシャの働きき(4)」より転載
