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「真の文化」
甲斐慎一郎
ルカの福音書、12章13~21節
文化の対語は自然であり、文化の類語である文明の対語は野蛮で
すから、「文化とは、自然や野蛮な状態のままに止まることなく、
進歩や向上を図る人間の営みのことです」。人間の向上を図るもの
は、すべて文化です。自然や野蛮な状態のままに止まっている人間
以外の動物に文化はなく、人間の人間たるゆえんは文化にあるとい
うことができます。
文化の日に因み、人間をほんとうに向上させる真の文化について
学んでみましょう。
一、文化の種類
文化には、生活水準の向上をはじめ、学問、芸術、道徳、そして
宗教があります。これを人間の三つの要素である「からだ」と「心」
と「霊」に当てはめて分類するなら、次のような三つの文化になり
ます。
1.物質文化(からだ)
物質文化は、生活水準の向上で、これは、いわゆる文化生活のこ
とであり、この文化を支えているものは、科学技術の進歩や経済生
活の発達です。
2.精神文化(心)
精神文化には、学問(知識的な面)と芸術(感情的な面)と道徳
(意志的な面)があり、この文化を支えているものは、教育の普及
や文化活動です。
3.宗教文化(霊)
宗教文化は、人間の最大の問題である罪からの救いであり、この
文化を支えているものは信仰です。
二、文化の目的
金持ちの農夫は、「安心して、食べて、飲んで、楽しめ」と言い
ましたが、神は、「神の前に富まない者は」と言われました(19、
21節)。
1.「食べて、飲んで」
物質文化の目的は、物の豊かさです。科学技術が進歩し、経済生
活が発達すれば、安全で便利そして快適な生活になりますが、物質
文化は、これ以上のことをすることはできないことを忘れてはなり
ません。
2.「安心して、楽しめ」
精神文化の目的は、心の豊かさです。教育が普及し、文化活動が
盛んになれば、ある程度の心の満足は得られますが、正しい信仰に
よる罪の解決がなければ、精神文化では、道徳的な退廃を防ぐこと
はできません。
3.「神の前に富む」
宗教文化の目的は、霊の豊かさです。罪からの救いを受け、神の
前に富む者となることこそ真の向上をもたらす真の文化です。
三、真の文化
神の前に富む者となるとは、どのようなことでしょうか。
1.信仰に富む
真の神を忘れて、高ぶったり、「たよりにならない富に望みを置」
いたりせず、「私たちにすべての物を豊かに与えて楽しませてくだ
さる神に望みを置く」ことです(第一テモテ6章17節)。
2.善行に富む
「人の益を計り、良い行いに富み、惜しまずに施し、喜んで分け
与える」ことです(同6章18節)。
3.いのちに富む
「まことのいのちを得るために、未来に備えて良い基礎を自分自
身のために築き上げる」ことです(同6章19節)。
物質文化と精神文化と宗教文化の中で最も大切なものは、宗教文
化です。物質文化と精神文化がどれほど発達し、向上しても、正し
い宗教文化がなければ、道徳が退廃し、物質文化も精神文化も衰退
し、やがて滅亡してしまうからです。物質文化と精神文化を支えて
いるのは、正しい宗教文化なのです。