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「聖なる民と世俗の民」
甲斐慎一郎
ペテロの手紙、第一、2章9節
聖書には「聖なるものと俗なるもの、また汚れたものときよいも
のを区別する」(レビ10章10節)ことについて記されていますが、
これは人や民にもあてはまります。
一、聖なる民と世俗の民との対立
人類の始祖は、アダムとエバですが、その子のカインとアベルか
ら「聖なる民」と「世俗の民」が別れています。すなわちアベルは
「聖なる民」の先祖で、カインは「世俗の民」の先祖です(創世記
4章2~8節、ヘブル11章4節)。アベルが死んだので、セツが
「聖なる民」の先祖となりましたが、セツの子孫の大多数が「世俗
の民」となったので(同6章2~7節)、神は大洪水を起こして、
「世俗の民」を滅ぼし、セツの信仰を受け継いでいたノアを新しい
「聖なる民」の先祖としました。
しかしノアの子孫の大多数も「世俗の民」となったので、神は、
アブラハムを選び、「聖なる民」の先祖としました。そしてアブラ
ハムの子イシュマエル(世俗の民)を退け、イサクを「聖なる民」
の先祖として選び、イサクの子エサウは「俗悪な者」(ヘブル12
章16節)なので退け、ヤコブを「聖なる民」の先祖として選び、ヤ
コブから十二部族が生まれ、イスラエル民族を「主の聖なる民」と
して選ばれたのです(申命記14章2節)。
しかしイスラエル人の大多数も神に背いて「世俗の民」となった
ので、神は、イスラエル人を滅ぼしましたが、神は「聖なるすえ」
(イザヤ6章13節)を残し、その「聖なるすえ」が脈々と続き、キ
リストの弟子たちに受け継がれ、そしてキリスト者が「聖なる国民」
(第一ペテロ2章9節)として選ばれて、現在の私たちに至ってい
るのです。
二、ヘブライズムとヘレニズムとの対立
この世界の精神や文化には、大きく分けて二つの潮流があります。
一つは「ヘブライズム」で、もう一つは「ヘレニズム」です。
ヘブライズムは「ユダヤ教を含めたキリスト教の精神や文化」の
ことで、「神中心、宗教的、信仰的」で、人間が有限であり唯一神
への信仰が必要であると教えるものです。
ヘレニズムは、「古代ギリシャ(またローマ)の精神や文化」の
ことで、「人間中心、人間の自由と平等、合理主義」で、唯一神へ
の信仰は必要ではないと教えるもので、ギリシャ、ローマ時代に始
まりました。
「ヘブライズムとヘレニズムとの対立」は、聖書に始めから記さ
れています。ヘブライズムは「聖なる民の精神や文化」であり、ヘ
レニズムは「世俗の民の精神や文化」です。
紀元30年にキリスト教が誕生してから現在までの「ヘブライズ
ム」と「ヘレニズム」との対立を各世紀に従って述べるなら、次の
ようになります。緑の文字が「ヘブライズム」が優勢の時代で、赤
い文字が「ヘレニズム」が優勢の時代です。
◆
1世紀~3世紀--キリスト教と教会への迫害の時代です。
◆
4世紀(313年、ミラノ勅令)~16世紀(1517年、宗
教改革)--カトリック教会の黄金時代です。
◆
14世紀~16世紀--ルネサンス(文化復興運動、人間中心
の文化)の時代です。
◆
16世紀--ルター、ツヴィングリ、カルヴァン、ノックスら
による宗教改革です。
◆
17世紀--清教徒革命とクロムウェルの共和制に見るピュー
リタン運動です。
◆
18世紀--ジョン・ウェスレーとその後継者によるメソジス
ト運動です。
◆
1789年--フランス革命(自由、平等、友愛、しかし教会
を迫害した時代)。
◆
19世紀--世界の各地にリバイバル(信仰覚醒運動)が起き
た時代です。
◆
1859年~現代--ダーウィンが「種の起源」を発表して、
「進化論」によって神の存在を否定する「無神論」の宣伝の時代です。
世の終わりには、「汚れた者はますます汚れを行い......聖徒はい
よいよ聖なるものとされ」、次に来る世(来世)において「聖なる
民」は、天の御国に入り、「世俗の民」は地獄に行くのです(黙示
録22章11、14、15節)。
甲斐慎一郎の著書→ 説教集