ユーカリの木陰で里の行

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2008.08.21
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カテゴリ: 子育て
来年、三歳になる息子の幼稚園選びで、
モンテッソーリ・スクール の説明会に行ってきた。

この学校は、イタリアの女性教育家、
モンテッソーリの提唱する教育法に基づいて運営されている。
子どもの自発性を基本としながら、
子ども同士の競争意識ではなく、協調と助け合い精神によって、
自由に、いきいきと学ぶ姿勢を培ってゆくのだ。
クラスも同じ年の子たちで構成されるのではなく、
三学年にわたる子どもたちが同じ教室で一緒に学んでいる。


ここの幼児部、サイクル1で学んでいた。
地元の公立幼稚園入学の抽選に落ちたがゆえの選択ではあったけど、
極端に内気だったメェには合っていたと思う。
なにしろ当時の彼女ときたら、自分と同じ年くらいの子が、
店先に立っているだけで、中に入れないような子だったのだから。
それがモンテッソリに通った二年間で、
かなり自信をつけてくれたのだった。

にもかかわらず、
そこを辞めさせて公立の小学校にうつらせたのは、
娘の自信が飛躍的に向上して内気さが消えたわけではなく、
なんなんだろう、


一つには、メルボルンのモンテッソーリ・スクールは小学校までで
中高部がないので、子どもたちは多感な十代に、
アットホームに小さな世界から、突如、
競争激しい巨大マンモス校に放り込まれる、とか。

学園の外国語学習が、モンテッソーリの地である、

別段イタリア語が云々というわけではなく、
私としては娘に日本語を学んでもらいたかった、とか。

子どもにとって、一日の大半を過ごす学校って言うのは、
当たり前ながら、すごく重要な世界である。
ほぼ絶対ともいえるくらいに。
オーストラリアにあって、そこからぽっかりと
日本と言う存在が抜け落ちてしまうのが、
堪らなかったのだ。

孫たちと言葉が通じず話ができないなんて事態にならないよう
子どもに日本語だけは教えるように、と
両親から頼まれていたって事情もあった。
でもそれ以上に、子どもたちが、
まったく自分と違う人間になってしまうことが、
哀しかったのかもしれないな。
今思えば、う~ん、親のエゴですね。
そういえば、「Spanglish」だっけ?そんな映画がありましたよね。
裕福なWASPファミリーで、メイドをしながら
住み込みで子どもを育てる、メキシコ移民の母親と、娘の話。

実際、当時を振り返れば、メェが幼稚園で習ってきた、と
得意げに童謡を歌ってくれるときなんか、
一緒に歌いだすダディンをよそに、
歌詞を知らず合唱に加われない自分に、ふと淋しさを感じたり。
「先生が言ってたんだけど、ママ、ジーザスはねぇ」などと
娘が聖書の逸話を話してくれたときなんか、
愛らしい声を聞きながら、
キリスト教徒ではない身、腑に落ちない思いを抱いたり。
していましたよねぇ。

だけど、本当にそれで良かったのか?
と、この日、説明会に全員そろって来てくれた、
モンテッソーリの六年生を前に思った。
全員と言っても、小さな学校なので
十人ほどしかいなかったのだけれども、
彼らはいきいきと、
説明会に集まった親たちの質問に答えていた。
少しシャイそうな男の子でさえ、
二百人もの大人を前に、
自分の経験や気持ちを、ユーモアをまじえ、
明確に説明してくれたのだった。

いきいきと育った子どもたち、そんな印象を受けた。

私が考えていた以上に、
オーストラリアの小学校は競争が激しくて、
陰に陽に、子どもたちは、絶えず競争にさらされている。

メェは、自分は背が低い、と思っている。
五歳のバースデーパーティーの招待状を送った翌月、
クラスメイトから六歳の誕生日祝いの招待状が届くっていう
早生まれの娘だから、その月齢にすれば、
平均身長よりも高い、にもかかわらず。
自分の足はのろい、と思い込んでいる。
その年なりで、決して遅いわけではないのだけれども。

子どものころからそんなふうに自分の能力を
見極めてしまうのは、親としては、やはり、堪らない。

モンテッソーリの説明会の帰りにダディンにその話をしたら、
もともとモンテッソーリ派の夫、ただちに転校案を持ち出した。

え、いきなりそこまで飛ぶかっ!?
驚きつつも、現地校での娘のおどおどした姿に、
さっき見た、自信あふれる子どもたちの笑顔が重なって、
混乱するわたし。
とりわけ親友が転校してしまった後じゃあ、
心配や不安は募るばかりなのだった。

結局、本人の心に探りを入れた。
学校は楽しい?
モンテッソーリを覚えてる? 
来年からムゥはそこに通い始めるけど、
メェもそこの小学校に行きたい?
セーラみたいに転校したい?

可能な限り何気なく、
リラックスした雰囲気のなか娘の心理を探ろうとするんだ。
と、メェは一言。
「ねえ、マミィ、そんなことよりケロロが見たいよぉ」

そう…、ケロロね…

キャッキャッと、
「ケロロ軍曹」に大笑いする娘の朗らかな声に、
だけれども、ああ、心が溶けてゆく―。

結局のところ、親は子どもにベストであると
本人が思い込めることを与え、子を守ろうとするけれど、
つまるところは、子どもの柔軟さにはかなわないってこと。

もう学校の話は止めて、
私もメェとムゥに並んで、軍曹さんに笑ってました。

アコマク







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Last updated  2011.04.21 06:44:59
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