ユーカリの木陰で里の行

ユーカリの木陰で里の行

PR

×

Free Space

[マックあつこ・AKO MAKの著書]


『Tamagoー39歳の不妊治療』  Kindle電子書籍 790円


『Tamagoー39歳の不妊治療』単行本 2.310円


『インスタント・ニルヴァーナ 上巻』  Kindle電子書籍 390円


『インスタント・ニルヴァーナ 中巻』  Kindle電子書籍 590円


『インスタント・ニルヴァーナ 下巻』  Kindle電子書籍 390円


『Someday, IVF at 39』  Kindle電子書籍 490円


詳しくは、 マックあつこのHP で
​

Ako MakのHP
​

Copyright © Ako Mak 2018

Profile

マックあつこ

マックあつこ

Freepage List

Archives

2026.10
2026.09
2026.08
2026.07
2026.06
2026.05
2026.04
2026.03

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

2012.06.23
XML
カテゴリ: 文学・執筆
メルボルン
裏庭のジャグジーのカバーにも氷が張るようになって、久しい。
ひどく朝型&寒がりの身には堪える季節ではある。

そんななか、
雀野日名子 さんの小説 『太陽おばば』 を読んだ。
ね、何やら温かそうなタイトルでしょ。

そうして、読後――
切なく心に残る話だったので、


はっ 、そうだった、思えばこのブログのカテゴリーは、
今年頭から「子育て」ではなく、
「読書・コミック」ブログにしたのだっけ(苦笑)。

まずは『太陽おばば』の帯からご紹介を。



 パワフルなおばあさんとの交流が始まる。
 耶知子さんは不思議な力で、
 身近な人々の最後にまつわる心のすれ違いを解決させてゆく。

 そんな耶知子さんと過ごすうちに、
 舞はライターとして書かなければならない本当に大切なことを見つけていた。
 この世に残すことができない新たな命の代わりに、
 自分にしか残せないものを―。」

この小説は、
不妊症が原因で離婚し、人生の再出発を図る30代半ばの女性と、
伴侶と死別した後に家を引き払い、高齢者用賃貸アパートで、
人生の終焉を迎えようとする60代後半の女性、
ふたりの物語である。

主人公の 舞 は、不妊症と離婚によって傷つき、


「命」を残せない身体だと言われ苦しんだ末に、
ならば残すべき「命」のある、他の人の「命」を残そうと
自叙伝ライターを目指す。

物語は舞の視点を通して、一人称で描かれているのだが、
一方、
耶知子 さんは、
北向きの侘びしいアパートを終の棲家としながらも
惨めさなど微塵も感じさせず、大らかで、陽気。
舞をドン底から引き揚げてくれた、魅力的な女性として描かれる。

何よりもおばばは、人生の「最後」を迎える人たちを前にするとき、
その心の扉を開いて、「奇蹟」を起してしまうのだった。
何やら不思議な力もあるようで、
ミステリアスなキャラクターなのである。

死にゆく人とご家族や縁者とのこじれた心の糸を解くため
尽力するおばばだが、
実は自分の娘とはうまくいっていない。

おばばが舞に語ったところでは、
3歳の孫娘がいるが、
疎遠になった娘とは何十年も会っていない、と言う。
太陽おばばにはミステリアスな影、悲しい過去もあるのだった。

物語が進むにつれ、この影の部分が明らかになってゆく。
もちろん、ラストのどんでん返しで、
物語はますます深く、濃くなる。

太陽おばば、耶知子さんが舞に語った現実に、
周囲から舞に伝えられた事実、
そこに心霊世界の現実が重なって、
耶知子さんの真実が明かされてゆく。

とても、とても 切ない 。
切なく、胸に迫りくる物語だった。

良い作品というものは、どれもそうだと思うけど、
読後、
私たちを「心で」考えさせてくれるのだ。

『太陽おばば』を閉じた後、
私には心に残る強烈なイメージが2つあった。

1つは、
冬空の下、シャッターを下ろした商店街のアーケードで、
等身大のひかるちゃん人形を膝にのせ一人ベンチに座っている、おばば。

それと、
舞がおばばを娘さん一家の元に送り届けるシーンである。
夜闇にぽつんと建った一軒家。
暖色系の灯りが漏れる出窓のカーテンから、
ひかるちゃんと思しき、小さな子供が顔をのぞかせ手を振っている、
という幻想的なシーンは、切なく心に残った。

映画『シックス・センス』を思わせる
ドラマチックなどんでん返しゆえに、
エピソードの一つ一つが読後、ますます輝いてくるのだ。

おおっと、
これ以上書いてしまったら、読む楽しみを汚してしまいそうだから、
ここらで、お暇を。

著者の雀野日名子さんは過去に短編作品で、
『幽』怪談文学賞や
日本ホラー小説大賞短編賞を受賞されたというだけあって、
現実世界の中に、神秘世界を描くのがとてもお上手だ。

あの世と、この世、
見えない霊的な世界とのバランス感覚が絶妙なの。
そうしてこれこそが、私がこの作品に感銘を受けた理由であろう。

メルボルンからではなかなか日本の書籍を手に入れるのは難しいのだけど、
また彼女の作品を探して読んでみたいと思う。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.07.01 15:54:20
コメント(2) | コメントを書く
[文学・執筆] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: